勝沼醸造とは?
勝沼醸造(Katsunuma Winery)は、山梨県甲州市勝沼町の下岩崎(しもいわさき)にあるワイナリーです。日本で古くから育てられてきたぶどうの品種「甲州(こうしゅう)」だけでつくる白ワインのシリーズ「アルガブランカ(ARUGABRANCA)」で名前を知られるようになりました。
公式サイトの言葉は「良いワインは良いぶどうから」です。そのうえで、同じ甲州ぶどうでも、育った畑の土と高さが違えば香りも味も違ってくると考え、畑のある地区ごとにワインを分けてつくっています。
三つの土地と、ひとつの品種
日本遺産の説明によれば、甲州市には新旧あわせて30ほどのワイナリーがあり、ぶどう畑が町を囲んでいます。そのなかで勝沼醸造の公式サイトは、ぶどうを育てている土地を三つ挙げています。
祝(いわい)は標高400メートル前後で、富士山の火山灰が積もった黄色みのある土です。栄養に乏しい土で、ここの甲州からは、柑橘よりも、白い桃のような甘い果物の香りが出るといいます。口に残るかすかな苦みが、和食のうまみと合う、と会社は説明しています。大和(やまと)は標高500メートルほどの水はけのよい砂礫(されき)の土で、昼と夜の気温の差が大きく、風通しがよい土地です。ワインは澄んだ果実味と豊かな酸をもつとされています。金山(かねやま)は標高350メートルの粘土質の土で、皮の厚いぶどうがゆっくり熟し、余韻の長いワインになり、だしや寿司と合うといいます。
畑では肥料を控え、そのぶんこまめに手を入れて病気を防いでいます。垣根に仕立てて木と木の間を詰め、一本の木につける房を減らして、甘みと味の濃いぶどうにしています。
甲州は実が大きく水分が多いので、搾り方が浅いと水っぽい果汁になります。勝沼醸造はぶどうに負担をかけないよう時間をかけて搾り、皮と実のあいだにあるうまみまで引き出しています。しっかり搾ると出てくる甲州ならではの苦みも、消さずに個性として残しているといいます。
歩み
始まりは1937年です。初代の有賀義隣が、製糸業を営むかたわら、個人でワインを造りはじめました。1941年には近くの農家29人が加わって「金山葡萄酒協同醸造組合」になります。戦時中の1942年には、軍の求めでワインの副産物から酒石酸(しゅせきさん)を集める仕事も始めたと、公式の年表にあります。戦後は清涼飲料水もつくり、1949年に株式会社となって、1954年に町の名前が変わったのに合わせていまの社名になりました。
ワイン用のヨーロッパ系品種を試しに植えたのは1990年、わずか20アールからでした。翌1991年には、畑を見渡す丘に直営のレストラン「レストランテ 風」を開いています。1999年に有賀雄二が社長になり、2004年に甲州ワインの新しい銘柄としてアルガブランカを発表しました。2007年には日本航空の国際線に載り、2008年にはフランスのパップ・クレマン社との提携でヨーロッパへの輸出も始まっています。

ワイナリーの母屋は、公式サイトによれば築140年の日本家屋です。文化庁の日本遺産「日本ワイン140年史」は、この主屋兼事務所と樽の貯蔵庫を、甲州市の「伝統あるワイナリー」の一つとして構成文化財に挙げ、主屋を明治時代の建物で昔の姿をよく残していると紹介しています。和風の建物のワイナリーが多いことを、日本遺産の説明はこの土地ならではの特徴としています。
公式のツアーのページによれば、母屋の黒い暖簾をくぐるとテイスティングのカウンターがあり、その奥に、小川の音が聞こえ、ぶどう畑を見渡せるテラスがあります。入ってすぐの蔵には貯蔵庫と、リーデル社の手づくりのグラスを集めたグラスギャラリーがあります。丘の上のレストランテ 風は、長崎の大浦天主堂を手本にした建物で、窓からぶどう畑と秩父の山々が見えるといいます。
代表的なワイン
アルガブランカ イセハラは、伊勢原(いせはら)という一つの畑の甲州だけでつくる辛口の白ワインです。公式通販の説明では、畑は勝沼町の外、隣の笛吹市にあります。香りと酸と甘さの釣り合いに、この畑の個性が出るとされています。
アルガブランカ クラレーザは、甲州市の甲州でつくる辛口の白ワインです。発酵が終わったワインを澱(おり)の上にしばらく置いて、うまみを移す「シュール・リー(sur lie)」という造り方をしています。通販の説明は、味噌や醤油、わさびを使った和食とよく合うとしています。
アルガブランカ ブリリャンテは、勝沼町の甲州でつくる辛口のスパークリングワインです。甲州ぶどうのやさしさと、はじけるような爽やかさがあると説明されています。
アルガブランカ ピッパは、樽の香りをまとわせた甲州の白ワインです。通販の説明は、果実味と樽の香りの釣り合いがよく、複雑で優雅な味わいとしています。
調査時点(2026年10月27日)の公式通販の税込価格は、クラレーザ(2025年、750ミリリットル)が2,475円、イセハラ(2024年、同)が6,600円、ピッパ(2022年)が5,500円、ブリリャンテ(2021年、同)が7,150円でした。





