Vino Storia

ワインのお話

キャンティ

キャンティのワイン一覧


キャンティとは?

キャンティ(Chianti)は、サンジョヴェーゼ(Sangiovese)という黒ぶどうを主役にした、辛口の赤ワインです。収穫の翌年の春から売り出せる若いワインのほかに、2年以上ねかせたリゼルヴァもあります。2026年の改定で、ロゼも名乗れるようになりました。

産地はトスカーナ州の内陸で、フィレンツェ、シエナ、アレッツォなど6つの県の丘に広がります。畑として認められるのは丘の斜面だけです。生産規定によれば、夏は雨が少なく、8月の平均気温は23度を超えます。

フィレンツェリグーリア海ティレニア海キャンティ
トスカーナ州の中のキャンティ。産地は、フィレンツェやシエナなど6つの県の丘に広がる 小さな点は、この州のほかの DOCG です。 地図: Istat(CC BY 4.0・加工あり)
林と畑が重なる緑の丘が、遠くの山並みまで続いている。手前に白い花の咲いた枝
ポンタッシエーヴェ村のアコーネから見た、キャンティ・ルフィナの丘。4月Janus / パブリックドメイン / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

名前が似ていますが、キャンティとキャンティ・クラシコ(Chianti Classico)は別の呼称です。キャンティの決まりは、フィレンツェとシエナのあいだの「いちばん古い産地」を別の決まりに任せていて、そこにはキャンティ用の畑を登録できません。キャンティの産地は、その周りに広がっています。

クラシコ側の規定によれば、1716年にトスカーナ大公コジモ3世の布告が、キャンティを名乗れる土地の境を定めました。19世紀に評判が広まると、周りの土地でも同じ造り方のワインがつくられ、キャンティとして売られるようになったといいます。1932年、国は広がった産地を7つの地区に分けました。キャンティ側の規定はこれを「典型的なキャンティ」の産地がはじめて区切られた年として書き、クラシコ側の規定は、古い地区が「クラシコ」を名乗れるようになった年として書いています。クラシコは1996年に独立した呼称になりました。

トスカーナ州の県の地図に、キャンティの地区を色分けして示した図。中央にクラシコ、その周りにコッリ・フィオレンティーニ、コッリ・セネージ、コッリ・アレティーニなど
キャンティの地区(2007年の作図)。中央の地区がクラシコ。2026年に加わったテッレ・ディ・ヴィンチは描かれていないKattivik / CC BY 2.5 / Wikimedia Commons

いまのキャンティには、地区名を添えられる区分が8つあります。コッリ・アレティーニ(Colli Aretini)、コッリ・フィオレンティーニ(Colli Fiorentini)、コッリ・セネージ(Colli Senesi)、コッリーネ・ピザーネ(Colline Pisane)、モンタルバーノ(Montalbano)、モンテスペルトリ(Montespertoli)、ルフィナ(Rufina)、テッレ・ディ・ヴィンチ(Terre di Vinci)です。ラベルでは「Chianti Rufina」のように地区名が続きます。「Chianti Classico」も同じ形に見えますが、キャンティの地区ではなく別のDOCGで、瓶には黒い雄鶏の印を付ける決まりがあります。


どんなワインか

通常のキャンティは、収穫の翌年の3月1日から売り出せます。ルフィナなど一部の地区名つきは、それより遅くなります。リゼルヴァ(riserva)は、翌年の1月1日から数えて2年以上熟成させます。

色はいきいきとしたルビーで、熟成するとガーネットに近づきます。香りは強く、ときにスミレ(mammola)の香りがあります。味わいは辛口でサピド(sapido=味がしっかりある)、渋みは軽く、時間とともにやわらかく、なめらかになります。アルコール分は11.5%以上です。

搾ったばかりのワインに少し干したぶどうを加え、ゆっくりもう一度発酵させる「ゴヴェルノ・アッルーゾ・トスカーノ(governo all’uso toscano)」という古い造り方も認められています。

下半分を藁で包んだ丸い瓶が棚に並んでいる。ラベルに CHIANTI の文字
藁で包んだ瓶、フィアスコに詰めたキャンティArnaud 25 / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

藁などで包んだ丸い瓶、フィアスコ(fiasco)にも決まりがあります。キャンティをフィアスコに詰めるなら法律が定める伝統の形に限られ、使った瓶の再利用は禁じられています。保護協会は、1920年代にフィアスコ入りの日常のワインという姿が、とくにアメリカで好まれたと書いています。


使われているぶどう品種

サンジョヴェーゼを60%以上使います。残りにはトスカーナ州で栽培が認められている品種を混ぜてよく、白ぶどうは合わせて10%まで、カベルネ・フランとカベルネ・ソーヴィニヨンは合わせて15%まで(コッリ・セネージでは10%まで)です。この下限は2026年の改定で70%から下がりました。

キャンティ・クラシコは、サンジョヴェーゼが80%以上で、混ぜてよいのは黒ぶどうだけです。同じ州には、ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ(Brunello di Montalcino)など、サンジョヴェーゼが主役のDOCGがほかにもあります。

朝の光に照らされたぶどう畑の列と、丘の上の農家。空一面にうろこ雲
フィレンツェ県チェルタルドの近くのぶどう畑。9月の朝Francesco Sgroi / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

価格帯

調査時点(2026年9月23日)に楽天市場で見つかった、750ミリリットルの単品の価格です。セットやケース売り、ハーフなどの瓶、キャンティ・クラシコは除いています。

確認できた本数価格の幅中央値
キャンティ(地区名なし)373本825円〜10,692円1,760円
キャンティ(地区名つき)75本1,650円〜5,424円2,750円
キャンティ・スペリオーレ33本1,958円〜4,180円2,805円
キャンティ リゼルヴァ119本1,265円〜15,444円3,080円

地区名なしは、ほとんどが1,000円台から2,000円台でした。地区名つきは、ルフィナとコッリ・セネージがほとんどです。価格は税込の表示で、送料は含みません。同じワインを複数の店が売っているので、本数は銘柄の数ではありません。


キャンティに合わせる食事

イタリア政府観光局は、キャンティの土地の料理として、ゆでた野菜を固くなったパンと煮込むスープリボッリータ(ribollita)と、鶏レバーのペーストを塗ったクロスティーニ(crostini)を挙げています。フィレンツェのあたりの煮込みペポーゾ・デッリンプルネータ(peposo dell’Impruneta)は、肉をワインで何時間も煮て胡椒で味をつけた料理で、観光局はキャンティ・ルフィナを合わせています。

日本の食卓で試すなら、牛すね肉の黒胡椒煮込み、レバーペーストをのせたバゲット、野菜とパンのスープが、地元の料理に近い組み立てです。