蒼龍葡萄酒とは?
蒼龍葡萄酒(Soryu Winery)は、山梨県甲州市勝沼町の下岩崎(しもいわさき)にあるワイナリーです。創業は1899年で、はじめは村の農家がぶどうを持ち寄り、必要な分だけワインを仕込んで分け合う共同醸造の会社でした。
社名の「蒼龍」は、中国の故事で東西南北を守る神々のうち、東を守る神の名から取ったと会社は説明しています。ワイナリーのある勝沼は、甲府盆地の東の側にあります。
いまの蒼龍葡萄酒は、毎年およそ800キロリットルのワインを仕込む、中小のワイナリーの中では群を抜いて大きな造り手です。そのかたわらで、勝沼の自社畑の甲州(こうしゅう)から本数を限った白ワインを造り、コンクールで賞を重ねています。会社は、この二つの仕事を「道は一見二つに見えるかもしれませんが、じつは目的地はひとつ」と書いています。
日川のほとりの畑

勝沼町の真ん中を、日川(ひかわ)という川が東西に流れています。蒼龍葡萄酒の自社畑は、この日川の両岸に沿ってあります。
公式サイトによれば、畑は標高350メートルほどの平地で、土は砂や小石の混じった水はけのよい砂礫(されき)質です。甲州のほか、黒ぶどうの甲斐ノワール(Kai Noir)、シャルドネ(Chardonnay)、メルロ(Merlot)、プティ・ヴェルド(Petit Verdot)を、頭の上に棚を張る「棚仕立て」で育てています。オレンジワインに使う甲州は、棚ではなく垣根(かきね)に仕立てた畑のものです。
代表銘柄の一つ「日川渓谷 甲州樽発酵」の説明には、この川沿いの畑を「1899年創業当初より所有する自社畑」と書いています。会社の始まりから、同じ川のそばでぶどうを育ててきたことになります。
売店は、旧甲州街道の勝沼支所交差点からメルシャンの方へ坂を上りきった角にある、オレンジ色の屋根の建物です。会社は「プロヴァンス風」と紹介していて、1階の売店には三角の出窓から日が差し込みます。
歩み
創業の年、勝沼ではすでに日本のワイン造りが動き出していました。1877年に祝村(いわいむら、いまの甲州市勝沼町)の人々が大日本山梨葡萄酒会社をつくり、高野正誠と土屋龍憲の二人の若者をフランスへ送っています。蒼龍葡萄酒は、この二人と創業家が親戚にあたると書いています。
共同醸造の時代が終わったのは1943年です。鈴木重富が農家の持っていた株をすべて買い取り、個人の免許でワイナリーの経営を始めました。会社によれば、ワインが市場に出回るようになったのはここからです。ほかの会社の名前で売るワインや、調味料の原料としてのワインも引き受けて、造りの経験を積んでいきました。
全国に名前が知られるきっかけは、1996年に売り出した「無添加わいん」です。酸化防止剤や合成保存料を使わないワインで、会社は、濃縮した果汁からこうしたワインを造る方法は全国で初めてだったと説明しています。生のぶどうでは難しかった、一年を通じて同じ品質で出す仕組みができ、赤ワインがよく売れていた時代に大きく広がりました。新しい社屋と醸造設備がそろったのもこの時期で、1999年に社屋が完成し、2000年に株式会社になって鈴木卓偉が初代の社長に就いています。
2000年代の後半からは、甲州に力を入れたワイン造りが始まります。醸造を率いるのは、社長の次男の鈴木大三です。勝沼で生まれ、北海道の大学を出てしばらく北海道で働いたあと、家業を継ぐと決めて2004年に入社しました。2011年には、山梨大学が独自に認定している「ワイン科学士」の称号を取っています。醸造のスタッフはみな30代以下だと、公式サイトは紹介しています。
代表的なワイン
シャトーソウリュウ 日川渓谷 甲州樽発酵は、日川沿いの自社畑の甲州を、樽の中で発酵させた白ワインです。グレープフルーツのような柑橘の香りに、樽からくる焙煎の香りが重なり、酸がやさしく、厚みのある辛口とされています。2025年のワインは、2026年の日本ワインコンクールで金賞を受けました。
シトラスセント甲州は、名前のとおり柑橘(シトラス)の香りを前に出した甲州の白ワインで、その年のぶどうでつくる新酒として毎年11月3日に発売されます。原料の甲州は「ノンボルドー」、つまり銅と石灰を混ぜた昔ながらの殺菌剤「ボルドー液」を使わずに育てたもので、会社はそれによって香りがよりさわやかになると説明しています。
ヴァンドール甲州 自社農園 ORは、勝沼の自社農園の垣根で育てた甲州を、皮も種もいっしょに漬け込んで発酵させたオレンジ色のワインです。和柑橘の香りに、ほのかな苦みとさわやかな酸があるとされています。
山梨県のサイトの取材記事では、会社が勧める1本として「勝沼の甲州 樽熟成」を挙げています。勝沼町産の甲州だけを使い、地元のワイナリーの集まりの品質審査に合格したワインだけが詰められる「勝沼ボトル」に入っています。
調査時点(2026年11月3日)の公式通販の税込価格は、日川渓谷 甲州樽発酵(2025年、750ミリリットル)が2,981円、シトラスセント甲州(2025年、720ミリリットル)が1,870円、ヴァンドール甲州 自社農園 OR(2023年、750ミリリットル)が5,511円でした。





