ラベルヴィーニュとは?
ラベルヴィーニュ(La belle vigne)は、山梨県甲州市勝沼町勝沼にある小さなワイナリーです。公式サイトは自らを「勝沼の河原にある小さなワイナリー」と名乗っています。名前はフランス語で、belle は「美しい、素敵な、見事な」、vigne は「ぶどう」の意味だと説明しています。
ワイナリーのある勝沼で造っていますが、ぶどうは勝沼のものだけではありません。甲州市の塩山(えんざん)、北杜市の明野(あけの)、富士山のふもとの富士河口湖町と、山梨県内の離れた土地のぶどうを、産地ごとに別のワインに仕込んでいます。そのなかで、つくり手が最初にぶどうの栽培に関わったのは、ワイナリーではなく河口湖のピノ・ノワール(Pinot Noir)の畑でした。
河原のワイナリーと、県内の畑
ワイナリーへの道順は、勝沼インターチェンジから勝沼バイパスを甲府の方へ進み、下岩崎の交差点を右に折れて、ぶどう橋を渡ってすぐ右、と公式サイトにあります。河原のそばの、ワイナリーがいくつか集まる一角です。公式サイトによれば、この「勝沼ワイン村」には、ラベルヴィーニュを含めて8つのワイナリーが集まり、売店やレストランもあります。隣の番地には、同じ村のドメーヌ・ジンがあります。
ぶどうの産地は、ワインの名前を見ると分かります。デラウェア(Delaware)と、タンクで発酵させる甲州(こうしゅう)は、甲州市の塩山で育ったものです。甲州は日本で古くから育てられてきた白ぶどうです。樽で発酵させる甲州と、黒ぶどうのマスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)は、勝沼で育ったものです。シャルドネ(Chardonnay)とカベルネ・ソーヴィニヨン、メルロは、県の北西にある北杜市明野のものです。
ピノ・ノワールは、富士河口湖町大石(おおいし)で自分たちが手入れをしている畑で育てています。公式のお知らせによれば、ワイナリーを始める前に最初に関わったのがこの畑で、借り受けた畑も合わせて、2022年に初めてピノ・ノワールのワインを仕込みました。ラベルには、畑とそこから見える富士山の絵を載せています。
自分たちで借りた畑もあります。2021年2月のお知らせには、しばらく使われていなかった山ぎわの畑を借り受け、植わっていた巨峰をアジロン(アディロンダック、Adirondack)に変えようと、枝を継いだことが書かれています。この畑では、2019年にはスズメバチとカラス、2020年には収穫の間際にほとんどの実をカラスに食べられたそうです。紙の袋を掛けておいても、カラスは上手に袋を破って色づいた実を食べていく、とつくり手は書いています。
歩み
公式サイトに「勝沼に小さなワイナリーを始めました」と載ったのは、2019年5月です。その年の9月から、デラウェア、アディロンダック、マスカット・ベーリーA、カベルネ・ソーヴィニヨン、甲州を収穫して仕込みました。11月には山梨のワインツーリズムに加わり、新酒のデラウェアとアジロンを多くの人に試飲してもらった、とお知らせにあります。そのころはまだ村全体の工事が遅れていて、勝沼ワイン村の第一期がグランドオープンしたのは2020年7月23日でした。
2020年に仕込んだマスカット・ベーリーAと甲州は、地理的表示「山梨(GI Yamanashi)」を取りました。山梨で育ったぶどうだけを使い、決められた造り方を守ったワインに表示できる、産地の名前です。2021年2月にはインターネットでの販売を始めています。
公式サイトは、ぶどうの育て方にはさまざまな考え方がある、と書いたうえで、自分たちは土づくりから自然との調和を考え、ワインにもなるべく負荷をかけずに「育てるように醸造」すると説明しています。
代表的なワイン
甲州 樽発酵は、勝沼の甲州を、ぶどうに付いている天然の酵母で、樽の中で発酵させた白ワインです。甲州らしい香りに樽の香りがほのかに重なる、メリハリのある味わいとされ、2022年からは百舌鳥(もず)の絵のラベルになりました。緑色の瓶に詰めています。同じ甲州でも、塩山のぶどうをタンクで発酵させた甲州は透明の瓶で、ろ過せずに詰めた、すっきりした辛口です。海の幸や鶏肉の料理によく合うとされています。どちらも GI Yamanashi を取っています。
デラウェアは、塩山で完熟させたデラウェアだけを使い、糖を足さずに天然の酵母で醸し、ろ過せずに瓶に詰めた辛口の白ワインです。若いうちのフレッシュな味わいも、しばらく瓶の中で寝かせた味わいも楽しめる、と説明されています。
テロワールシリーズの「河口湖ピノ」は、大石の畑のピノ・ノワールだけでつくる辛口の赤ワインです。酸味の釣り合いがよく、スパイスや茶葉の香りがあるとされています。同じシリーズの「明野」は、カベルネ・ソーヴィニヨンとメルロを半分ずつ合わせた、果実味の豊かな赤ワインです。
勝沼のマスカット・ベーリーAだけで造った2017年と2018年の赤ワインも、ワイナリーで売っています。調査時点(2026年10月27日)のオンラインショップでは、2017年が税込2,420円でした。オンラインショップには2021年のワインまでしか載っておらず、ほかの銘柄の値段は電話かメールで確かめる必要があります。





