Vino Storia

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コルヴィーナ

コルヴィーナのワイン一覧


コルヴィーナとは?

コルヴィーナ(Corvina)は、北イタリアのヴェネト州、ヴェローナの街のまわりの丘で育つ黒ぶどうです。街の北のヴァルポリチェッラ(Valpolicella)の谷では、軽やかな赤ワインから、干したぶどうでつくる濃いアマローネまでの中心になります。街の西、ガルダ湖のほとりでは、淡い赤ワインのバルドリーノ(Bardolino)や、ロゼワインのキアレット(Chiaretto)になります。

名前は、イタリア語でカラスを意味する「コルヴォ(corvo)」から来たとされています。イタリアのワイン情報サイト、クアットロカリチ(Quattrocalici)は、カラスの羽のように黒いぶどうの色にちなむ名前だと説明しています。古代ローマの農書にある「コルビーナ(corbina)」、曲がったぶどうを指す語から来たとみる研究者もいて、由来はひとつに決まっていません。

枝から下がるコルヴィーナの房。青みを帯びた黒い粒が、白い粉をふいたように曇っている
コルヴィーナの房。青みを帯びた黒い粒が、白い粉をふいたように曇って見えるUrsula Brühl, Julius Kühn-Institut (JKI), Federal Research Centre for Cultivated Plants, Institute for Grapevine Breeding Geilweilerhof / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

いつからこの土地にあるのかは、資料によって書き方が違います。ヴァルポリチェッラのワインの決まりの文書は、19世紀の最初の品種の目録で、この谷のぶどうとして記録されたと書いています。イタリア語版ウィキペディアは1824年のポッリーニ(Pollini)の記述を最初の記録に挙げ、クアットロカリチは16世紀の文書に名前があるとしています。


どこで育てられているか

コルヴィーナは、ほとんどがヴェネト州のヴェローナ県で育てられています。クアットロカリチによれば、中心はヴァルポリチェッラとバルドリーノの一帯で、州の外では隣のロンバルディア州のガルダ湖のあたりにわずかにある程度です。

アデレード大学のワイン経済研究センターの品種別データベースでは、畑はおよそ7,300ヘクタールです(EUの統計局 Eurostat の2020年の値)。ヴェネト州が2025年に発表した2024年の数字では、州内で7,000ヘクタールにわずかに届きませんでした。どちらでみても、ネッビオーロとほぼ同じ広さです。

国の品種登録簿が載せる別名は、クルイーナ(Cruina)ひとつです。ワインの決まりの文書では「コルヴィーナ・ヴェロネーゼ(Corvina Veronese)」と書かれています。

ヴァルポリチェッラの畑では、ぶどうの木を棚に仕立てる「ペルゴラ(pergola)」が主流です。決まりの文書によれば、棚の葉が夏の直射日光から房を守り、実はゆっくり熟していきます。イタリア語版ウィキペディアは、コルヴィーナを、実が日に焼けやすく、水不足にも弱い品種だと説明しています。

棚仕立てのぶどうの葉の下に下がる房。緑の粒と黒く色づいた粒がまじっている
8月のヴァルポリチェッラ。棚の下で、コルヴィーナの粒が緑から黒へ色づいていくJonathanischoice / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

丘の斜面には、石を積んだ段々畑も残っています。決まりの文書はこの空積みの石垣を「マローニェ(marogne)」と呼び、畑を整え直すなかで、古い段々畑も修復されてきたと書いています。

石を積んだ段々畑の石垣。段の上に、葉を落としたぶどうの木と棚の支柱が並んでいる
冬のヴァルポリチェッラ。石積みの段の上に、葉を落とした棚仕立ての木が並ぶAaron Epstein / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

コルヴィーナが主役のワイン

DOCとDOCGは、産地や造り方が国の決まりで定められたイタリアの原産地呼称で、DOCGはそのうち生産の条件がもっとも厳しい区分です。表は、主な呼称と使うぶどうの割合です。

ワインどんなワインかコルヴィーナロンディネッラ
アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ(DOCG)干したぶどうでつくる辛口の赤ワインコルヴィノーネと合わせて45〜95%5〜30%
レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ(DOCG)干したぶどうでつくる甘口の赤ワインコルヴィノーネと合わせて45〜95%5〜30%
ヴァルポリチェッラ(DOC)赤ワインコルヴィノーネと合わせて45〜95%5〜30%
ヴァルポリチェッラ・リパッソ(DOC)赤ワインコルヴィノーネと合わせて45〜95%5〜30%
バルドリーノ(DOC)赤ワイン、ロゼワイン(キアレット)35〜95%5〜40%
バルドリーノ・スペリオーレ(Bardolino Superiore、DOCG)赤ワイン35〜80%10〜40%

ヴァルポリチェッラの四つは、同じ谷の同じぶどうからつくり分けます。収穫したぶどうを冬まで陰干ししてから仕込むのが、辛口のアマローネと、甘口のレチョート(Recioto)です。リパッソ(Ripasso)は、ヴァルポリチェッラのワインを、アマローネやレチョートを搾ったあとの皮の上でもう一度発酵させたものです。陰干しの造り方はアマローネの記事にあります。

表の「コルヴィノーネと合わせて」は、コルヴィノーネ(Corvinone)という別の黒ぶどうのことです。粒の大きい品種で、イタリア語版ウィキペディアによれば、1993年まではコルヴィーナの系統のひとつと考えられていました。品種登録簿に別の品種として載ったのも1993年です。ヴァルポリチェッラの四つのワインは、いまも二つを合わせて数えるので、決まりの上ではコルヴィノーネだけでつくることもできます。

もうひとつの相棒のロンディネッラ(Rondinella)は、ツバメ(rondine)から来た名前とされ、皮の色がツバメの羽に似ているから、と説明されています。クアットロカリチによれば、遺伝子の研究で、ロンディネッラはコルヴィーナの子だと確かめられています。ヴァルポリチェッラの決まりの文書は、色を添えるのはロンディネッラ、骨格と長く保つ力を与えるのはコルヴィーナとコルヴィノーネ、と役目を書き分けています。

バルドリーノは、ガルダ湖の東岸の丘でつくるワインです。決まりの文書が引く1900年の本は、この地方のワインを「色の淡い」ワインと書いていました。いまこの呼称を代表しているのは、ロゼワインのキアレットです。果汁に皮を漬けておく時間をごく短くして、色素の一部だけを移してつくります。このつくり方は、1896年にガルダ湖で、上院議員で作家のポンペオ・モルメンティ(Pompeo Molmenti)が考えたと伝えられています。黒ぶどうを白ワインのように仕込む技術を、フランスで学んでいたそうです。

棚に仕立てたぶどう畑の向こうに、瓦屋根の古い農家と糸杉が見える
8月のバルドリーノ。棚に仕立てたぶどう畑の向こうに、古い農家が見えるErwin Kreijne / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons(周囲の黒い飾り枠を切り落とし、長辺1280pxに縮小)

どんなワインになるか

クアットロカリチによれば、コルヴィーナのワインは酸がしっかりしていて、渋みのもとになるタンニンはきめが細かいとされます。若いうちに飲むヴァルポリチェッラやバルドリーノでは、さくらんぼ、酸味の強いさくらんぼのマラスカ(marasca)、こしょう、スミレの香りがします。リパッソやアマローネのように厚みのあるワインになると、酒に漬けた果実、甘いスパイス、カカオ、ハーブの香りが出てくるとしています。

呼称ごとの決まりの文書によれば、ヴァルポリチェッラはルビー色で、さくらんぼとバラを思わせる香りがあり、みずみずしい味わいのあとに、ほどよい渋みとかすかな苦みが残ります。バルドリーノは明るいルビー色で、さくらんぼ、いちご、ラズベリーにシナモンや黒こしょうが重なります。キアレットは明るいピンクで、ラズベリーやすぐりなどの小さな果実の香りがします。

20世紀のはじめの書き手たちは、バルドリーノを「サラティーノ(salatino)」と評したそうです。「ほんのり塩気のある」といった意味の言葉で、決まりの文書はいまもこれを、近くの産地の似たワインとの違いとして挙げています。


コルヴィーナに合わせる食事

イタリア政府観光局のサイトは、ヴァルポリチェッラ・クラッシコ(Valpolicella Classico)を、ヴェローナの料理の王様と呼ぶボッリート・ミスト(bollito misto)に合わせるよう勧めています。何種類もの肉を煮た料理で、ペアラ(pearà)というソースを添えます。肉のだし、かたくなったパン、牛の骨髄、たっぷりの黒こしょうでつくる、とろみのあるソースです。

同じサイトは、バルドリーノを食前に飲むワインとして挙げ、スペリオーレには、ガルダ湖の南の村ヴァレッジョ・スル・ミンチョ(Valeggio sul Mincio)のトルテッリーニ(tortellini)を合わせています。肉の詰めものをした小さなパスタです。甘口のレチョートには、アーモンドを使ったほろほろと崩れる焼き菓子、スブリゾローナ(sbrisolona)です。

日本の食卓で試すなら、牛すじや鶏を煮たポトフに黒こしょうをたっぷりきかせたもの、ひき肉の水餃子、アーモンドを使った焼き菓子が、地元の料理に近い組み立てです。