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モンテプルチャーノ

モンテプルチャーノのワイン一覧


モンテプルチャーノとは?

モンテプルチャーノ(Montepulciano)は、イタリア中部のアドリア海側、アブルッツォ(Abruzzo)州を中心に育つ黒ぶどうです。色が濃く、渋みのほどよい赤ワインになり、皮をワインに漬けておく時間を短くすればロゼワインにもなります。代表的なワインは、州の名前を後ろに付けた「モンテプルチャーノ・ダブルッツォ(Montepulciano d’Abruzzo)」です。

頭上に張った棚から、黒く熟したぶどうの房がいくつも垂れ下がっている
収穫前のモンテプルチャーノ。10月のはじめ、テーラモ県の棚仕立ての畑Peter Forster / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

名前は、トスカーナ州の丘の町モンテプルチャーノと同じです。ただ、その町でつくる「ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチャーノ(Vino Nobile di Montepulciano)」は、このぶどうではなく、サンジョヴェーゼ(Sangiovese)を7割以上使う赤ワインです。ノービレに使うサンジョヴェーゼは、地元ではプルニョーロ・ジェンティーレ(prugnolo gentile)と呼ばれます。町のワインについてはトスカーナのワインの記事で触れています。

ラベルで見分けるときは、「Montepulciano」がどこに置かれているかを見ます。「Montepulciano d’Abruzzo」のように先頭にあれば、ぶどうの名前です。「Vino Nobile di Montepulciano」「Rosso di Montepulciano」のように「di(〜の)」のあとにあれば、トスカーナの町の名前です。

アブルッツォのぶどうがなぜトスカーナの町の名前で呼ばれているのかは、手元の資料では確かめられませんでした。アブルッツォのワインの決まりが記録として挙げているのは、アブルッツォの内陸の盆地を旅した人が1792年に書いた紀行文で、これがこのぶどうについての最初の記録だとしています。1854年には、盆地の町スルモーナ(Sulmona)の郷土史家が「いちばん多いぶどうはモンテプルチャーノで、早く熟すものと、コルディスコ(cordisco)すなわち遅く熟すものがある」と書きました。コルディスコという古い呼び名は、2023年に国の品種登録簿で正式な別名として加えられています。起源については、遺伝子の研究がアブルッツォ南部からマルケ南部、モリーゼのあたりを示している、とイタリアのワインの専門サイトQuattrocaliciは説明しています。


どこで育てられているか

いちばん多いのはアブルッツォ州で、北隣のマルケ(Marche)州、南隣のモリーゼ(Molise)州にも植わっています。栽培面積は、アデレード大学のデータベース(イタリアの値はEU統計局の2020年)で3万ヘクタールあまりです。黒ぶどうではサンジョヴェーゼに次いで2番目の広さで、2025年のイタリアの調査(ISMEA/AGEA)でも順位は変わりません。この調査では、2005年から3割ほど減ったとされています。

アブルッツォの畑は、アドリア海と、グラン・サッソ(Gran Sasso)やマイエッラ(Maiella)の山々とのあいだの丘にあります。北のトロント川から南のトリーニョ川まで、幅20〜25キロ、長さ125キロほどの丘の帯で、畑は標高700メートルまで上ります。仕立ては、頭の上にぶどうの葉を広げる「アブルッツォ式の棚(pergola abruzzese)」が昔からのものです。

黄色く色づいたぶどう畑の列が手前から続き、奥に畑と林の丘が重なっている
10月のフォーロ川の谷。キエーティ県カザカンディテッラ付近のぶどう畑maury3001 / CC BY 3.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

このぶどうは、はじめ内陸のペリーニャ谷(Valle Peligna)に限られていたとされます。19世紀の終わりに海沿いの丘へ広がり、第二次世界大戦のあとに、州でいちばん多く植えられた黒ぶどうになりました。


モンテプルチャーノが主役のワイン

産地と造り方が国の決まりで定められた名前を、原産地呼称といいます。DOCはその一つで、DOCGは条件がさらに厳しい区分です。モンテプルチャーノが主役になる、おもな呼称は次のとおりです。

呼称州モンテプルチャーノの割合
モンテプルチャーノ・ダブルッツォ(DOC)アブルッツォ85%以上
チェラスオーロ・ダブルッツォ(DOC、ロゼワイン)アブルッツォ85%以上
コッリーネ・テラマーネ・モンテプルチャーノ・ダブルッツォ(DOCG)アブルッツォ90%以上(残りはサンジョヴェーゼだけ)
コーネロ(DOCG)マルケ85%以上(残りはサンジョヴェーゼだけ)
ロッソ・コーネロ(DOC)マルケ85%以上
ロッソ・ピチェーノ(DOC)マルケ35〜85%(サンジョヴェーゼと合わせる)

いちばん多く出回っているのは、州の丘の帯のほぼ全体でつくるモンテプルチャーノ・ダブルッツォ(Montepulciano d’Abruzzo)です。北のテーラモ県の丘だけに限ったのがコッリーネ・テラマーネ(Colline Teramane)で、2003年にDOCGになりました。1年以上ねかせてから売り出し、3年以上(うち1年以上は木の樽)ならリゼルヴァ(riserva)を名乗れます。アブルッツォには、トッロ(Tollo)の村だけのテッレ・トッレージ(Terre Tollesi)と、ペスカーラ県の谷のカザウリア(Casauria)という、村や谷の単位のDOCGもあります。

マルケ州では、アンコーナ(Ancona)のそばでアドリア海に突き出た岬のまわりのコーネロ(Cònero)が代表です。2年以上ねかせる決まりで、ラベルには必ず「リゼルヴァ」と入ります。

松の枝の下に、ぶどうの列が谷へ下っていく。遠くの丘の上に町が見える
コーネロの自然公園の中のぶどう畑。遠くの丘の上にオージモの町Bigstones / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

どんなワインになるか

モンテプルチャーノ・ダブルッツォの色は濃いルビーで、わずかに紫がかり、年を経るとガーネットに近づきます。香りはさくらんぼやブラックベリーのような赤い果実で、熟成したものにはジャムや、胡椒・たばこ・甘草のような香りが出てきます。味わいは辛口で、渋みは軽く、なめらかでまとまりがあります。

ふだん飲むモンテプルチャーノ・ダブルッツォは、収穫の翌年の2月から売り出され、1〜2年のうちに飲むものとされています。長くねかせるのは、地区の名前やリゼルヴァを付けたもの、コッリーネ・テラマーネやコーネロです。

同じぶどうから、チェラスオーロ・ダブルッツォ(Cerasuolo d’Abruzzo)というロゼワインもつくられます。色は「さくらんぼのようなピンク(rosa ciliegia)」で、濃さには幅があります。2010年までは、モンテプルチャーノ・ダブルッツォの一つの型として扱われていました。

「MONTEPULCIANO d'ABRUZZO CERASUOLO」と書かれた瓶と、濃いピンク色のワインが入ったグラス
2007年のチェラスオーロ。独立したDOCになる前で、ラベルには「Montepulciano d’Abruzzo Cerasuolo」とあるe_calamar / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons

モンテプルチャーノに合わせる食事

アブルッツォを代表する料理は、羊肉の串焼きのアッロスティチーニ(arrosticini)です。イタリア政府観光局によれば、1センチ角ほどに切った羊の肉を、長さ20センチまでの木の串に刺し、細長い炭火の焼き台で焼きます。グラン・サッソの山あいで暮らした羊飼いの食べ方から生まれたもので、手で持って熱いうちに食べ、オリーブオイルと塩をかけた焼いたパンを添えます。同じページは、飲みものにモンテプルチャーノ・ダブルッツォを挙げています。

パスタなら、マッケローニ・アッラ・キタッラ(maccheroni alla chitarra)です。卵を練り込んだ生地を、鋼の糸を張った木枠「キタッラ(ギター)」に載せて麺棒で押し、断面の四角い麺に切ります。観光局は、日曜の昼の料理である小さな肉団子パッロッティーネ(pallottine)と合わせるのがいちばんだと書いています。

マルケ州では、2016年に州の保護協会が、コーネロの赤ワインをアンコーナの干し鱈の煮込みや、コーネロの海岸の天然のムール貝モッショリ(moscioli)と合わせる催しを開きました。

日本の食卓で試すなら、ラム肉の串焼きやラムチョップの炭火焼き、小さな肉団子のトマト煮と太めの卵麺のパスタが、地元の料理に近い組み立てです。