仲村わいん工房とは?
仲村わいん工房(Nakamura Wine Koubou)は、大阪府羽曳野(はびきの)市の飛鳥(あすか)地区にある、小さなワイナリーです。ぶどうはすべて自分の畑で育て、契約農家は持っていません。栽培から醸造、瓶詰め、ラベル貼りまでを自分たちで行い、造る量は年に1万本足らずです。工房は製造所だけで、ワインは大阪市東住吉区の仲村酒店で売っています。工房と畑の見学は、2019年から受け付けを休止しています。
この工房は、ひとりの父親の宣言から始まりました。公式サイトの歩みは、そのときのことをこう書いています。
65歳でいきなり「ワインをつくる」って。しかも葡萄から。
無茶やろ!って誰もがそう思う中、一人でどんどん山を開墾してしもた。
ブロックを積んだ飛鳥の斜面
1988年、祖父の代から受け継いできた飛鳥の土地で、初代の仲村光夫が「ワインを作る」と言い出しました。公式サイトによれば、光夫は5,000平方メートルの畑に6万個ものブロックを運び入れ、山の斜面に一つずつ人の力で積んで、水はけのよい畑をひとりで開きました。
いま工房が育てている畑は、すべて飛鳥地区にあります。公式サイトの工房紹介は、持っている畑を合わせて2.2ヘクタールほどとし、四つの名前を挙げています。いちばん広い小ヶ谷(こがたに)畑にはメルロー(Merlot)やカベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)、小芝(こしば)畑にはデラウェア(Delaware)とリースリング(Riesling)、三ツ辻(みつつじ)畑にはデラウェアとマスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)と甲州(こうしゅう)、八丁橋(はっちょうばし)畑には甲州が植わっています。2014年に新しく借りた畑を合わせて、いまは3ヘクタールほどになったそうです。
化学肥料は使わず、農薬を控え、除草剤も使いません。二代目の仲村現二は、花を摘んで実の数を減らし、さらに一粒ずつ手で選り分けています。効率が悪く、たくさんは造れないけれど、おいしいワインにするには外せない作業だ、と公式サイトの「造り手のおもい」は伝えています。
2005年10月から翌年3月まで、毎日新聞の大阪版はこの工房を「大阪メルロー スズメバチが教える葡萄畑から」という題で22回にわたって連載しました。
歩み
光夫は醸造の免許を取るのに6年をかけ、1993年にワイナリーが始まりました。その熱意に引かれて、大阪市内で酒店を営んでいた息子の現二も、ワイン造りを手伝うようになります。昼は羽曳野で畑仕事をし、夜は杭全(くまた)で酒屋の主人に戻る暮らしだった、と公式サイトにあります。
現二はいま、工房の代表者で、公式サイトは「二代目“がんこおやじ”」と呼んでいます。「造り手のおもい」には、現二の言葉としてこう書かれています。
今は年間1 万本の生産で精一杯やけど、自分の想いに賛同して助けてくれる人達がおるから、品質を落とさずもっと生産できるようにしていきたいと思ってる。
同じページには、化学系の研究職からぶどうの栽培に移り、山梨で学んで故郷に戻ってきた小椋英且など、栽培や醸造、販売を受け持つ人たちの言葉も並んでいます。
2019年6月、工房は「諸般の事情により」工房と畑の見学の受け付けを休止しました。
代表的なワイン
醸造には、ワイン造りを始めたときから、ぶどうに付いている野生の酵母を使っています。公式サイトは、特別な方法は無く、シンプルなぶんごまかしがきかない、と書いています。
仲村酒店のページに載っているのは、通年で売る銘柄と、量の少ない限定品です。メルロー主体の赤ワイン「蝶・大阪メルロ」と、カベルネ・ソーヴィニヨン主体の赤ワイン「花 カベルネ・ソービニヨン」が中心にあり、工房の主の呼び名を冠した赤ワイン「がんこおやじの手造りわいん」と、白ワイン「手造りわいん さちこ」もあります。限定品には、デラウェアやリースリング、イタリアの黒ぶどうバルベラ(Barbera)を単独で仕込んだものがあります。
味わいについて、販売を受け持つ五十川智弘は、初めて飲んだ人から「飲みやすくもあるけど、力強さと綺麗さがある」「これは日本のワインですか?」とよく言われる、と書いています。
公式サイトに載っている価格は、2017年と2018年のヴィンテージのもので、税抜です。720ミリリットルで、蝶・大阪メルロと花 カベルネ・ソービニヨンが3,560円、がんこおやじの手造りわいんと手造りわいん さちこが2,554円でした。いまの価格は仲村酒店に問い合わせてください。

