Vino Storia

ワインのお話

山梨 / 塩山

機山洋酒工業(キザンワイナリー)

KIZAN WINERY

武田信玄の菩提寺のそばで、家族だけで甲州とブラック・クイーンのワインを造り続けている小さなワイナリーです。

  • 見学 不可
  • 試飲あり
  • ショップ
瓦屋根の白い塀の向こうに、手入れされた松の木と2階建ての古い日本家屋が見える
写真: さかおり / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

見学・予約

見学
不可(工場や畑の案内は受けていない、と公式サイトにある)

営業案内

営業時間
売店 9時〜16時
定休日
定休日はないが、作業の都合で休むことがある
9月・10月の仕込みの時期は売店を休む(2026年は10月25日から通常営業)
試飲
売店で試飲して買える(作業の都合で試飲に応じられない日がある)
ショップ
あり(「機山ワイン館」の売店。オンラインストアもある)

少ない人数で畑と醸造をしているため、仕込みなどの作業中は十分な時間が取れないことがあります。グループは人数によって受けられないことがあります。
9月と10月は売店が休みです。営業時間の変更は公式の Facebook と Instagram で知らせています。
試飲をするなら、運転しない人と一緒に行くか、塩山駅からバスかタクシーを使ってください。
ワインは海外へは送っていません。 情報は2026年11月3日時点で公式サイトなどから確かめたものです。条件は変わるため、お出かけの前に公式サイトでご確認ください。

アクセス

住所
山梨県甲州市塩山三日市場3313
電車で
JR中央本線 塩山駅から車で10分、またはバスで恵林寺停留所まで行き、歩いて5分(山梨県の観光サイト。2022年10月時点の情報)
車で
中央自動車道 勝沼インターチェンジか一宮御坂インターチェンジから車で20分(山梨県の観光サイト。2022年10月時点の情報)
駐車場
普通車5台(山梨県の観光サイト。2022年10月時点の情報)

ワイナリーの話

機山洋酒工業とは?

機山洋酒工業(KIZAN WINERY)は、山梨県甲州市の塩山(えんざん)にある、家族だけで営む小さなワイナリーです。ワインは「キザンワイン」の名で出しています。「機山」は、武田信玄の法名にちなむ名前で、信玄の菩提寺の恵林寺(えりんじ)は、ワイナリーから歩いて5分ほどのところにあります。

公式サイトは、自分たちの畑のぶどうを中心に、東山梨の畑で育ったぶどうだけを使うと書いています。2023年の仕込みでは45トンのぶどうを搾り、そのうち3割ほどが家族の畑のもの、残りは近くの農家から買ったものでした。定番は、日本で古くから育てられてきた甲州(こうしゅう)の白ワインと、ブラック・クイーン(Black Queen)の赤ワインの2本です。公式サイトは甲州のワインを、この地でワインを造る自分たちの「アイデンティティそのもの」と呼んでいます。


笛吹川の砂の畑

白い壁と赤いれんがの建物に「機山ワイン館」の看板がかかり、前のテラスに木のテーブルといすが置かれている
家族が「新館」と呼ぶ機山ワイン館(2021年10月)さかおり / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

家族の畑はおよそ1ヘクタールで、甲州とブラック・クイーンのほか、シャルドネ(Chardonnay)、メルロ(Merlot)、プティ・ヴェルド(Petit Verdot)を育てています。公式サイトによれば、果実味の豊かなキザンワインのスタイルは、笛吹川(ふえふきがわ)が運んだ水はけのよい砂の土から生まれます。笛吹川の左岸にあるシャルドネの畑は、9月のはじめに熟し、いちばん早く収穫されます。メルロは、塩山の松里(まつさと)地区の、ゆるやかな南向きの斜面の畑で育てています。

公式サイトの英語のページは、日本でぶどうを育てる難しさを率直に書いています。花の咲く7月と収穫の前の9月に雨が多く、病気が出やすいこと、土が酸性に傾きがちなこと、畑が小さく段になっていて機械を入れにくいことです。

その苦労は、公式サイトの「Topics」にも残っています。畑の様子とその年の天気を書きためてきた記録で、2003年の号までさかのぼって読めます。2026年10月24日付の記事によれば、2026年は7月と8月の天気はまずまずでしたが、9月に入るとほとんど毎日雨になりました。甲府盆地の9月の雨の量は平年の倍、日照時間は半分ほどだったといいます。それでも雨の合間を縫って収穫を進め、10月7日に家族の畑の甲州を摘み取って、その年の収穫を終えました。


歩み

雑誌『サライ』の記事によれば、ワイナリーを設立したのは1930年(昭和5年)、いまの当主・土屋幸三の祖父です。土屋家はもともと塩山の松里の地主で、祖父は世界恐慌のときに石炭の商売をたたんで地元に戻り、ワイン造りを始めました。公式サイトは、土屋家が90年以上にわたって塩山でぶどうを育て、ワインとブランデーを造ってきたと書いています。

3代目の幸三は、微生物学の博士号を取ったのち、1994年にワイン造りの仕事に就きました。公式サイトによれば、伝統的なフランスの品種から、世界の基準で高い品質のワインを造ることを志したといいます。妻の由香里も醸造家で、オーストラリアのアデレード大学(ローズワージー校)で醸造を学びました。

ラベルにも歴史があります。1970年代に、戦後の日本を代表する画家の宇佐美圭司が「KIZAN WINE」のラベルをデザインしました。微妙な色の移り変わりのラベルの上には「We are proud of」と添えられています。キザンワイナリーは、この色の移り変わりをモチーフに、すべてのラベルを新しくしました。ぶどうの出来がよかった年の単一品種のワインを、長く寝かせてから不定期に出す「アートラベル」のシリーズもあります。


代表的なワイン

キザンワインの白ワインは、甲州だけで造ります。グラスからさまざまな果物を思わせる香りが立ち、控えめな酸が味の骨格になります。白ワインでは嫌われがちな、わずかな渋みも、甲州では欠かせない役を担うと公式サイトは書いています。英語のページは、山菜やたけのこ、貝や魚、海藻と合わせることを勧めています。

キザンワインの赤ワインは、新潟の川上善兵衛が生み出した黒ぶどう、ブラック・クイーンだけで造ります。野趣のある果実の香りと豊かな酸があり、渋みは軽めでも飲みごたえがあります。赤い果実や湿った土を思わせる香りがあるとされています。

キザンセレクション メルロは、松里地区のメルロを主体に、年によってプティ・ヴェルドを少し合わせた赤ワインで、樽の香りとなめらかな渋みが長く続きます。

ブランデー ラ フリュテスト(La Flûtiste)は、甲州のワインを、フランスのコニャック地方で伝統的に使われるシャラント型の蒸留器で蒸留し、オークの樽で15年以上寝かせたブランデーです。

調査時点(2026年11月3日)の公式オンラインストアの価格は、キザンワインの白ワインと赤ワイン(どちらも2024年、750ミリリットル)が1,595円、キザンセレクション メルロ(2024年、同)が2,330円、ラ フリュテスト(700ミリリットル)が7,980円でした。

基本情報

創業
1930年(昭和5年。いまの当主の祖父がワイナリーを設立した年。雑誌『サライ』の記事による)
人物
土屋幸三(3代目。1994年からワイン造りを担う)
土屋由香里(醸造家。オーストラリアのアデレード大学で醸造を学んだ)
代表的なワイン
キザンワイン白 / キザンワイン赤 / キザンセレクション メルロ / ブランデー ラ フリュテスト
公式サイト
kizan.co.jp

塩山のほかのワイナリー

塩山のワイナリー一覧へ