Vino Storia

ワインのお話

ヴェネト

急な丘の斜面いっぱいにぶどう畑が広がり、斜面の上に家が建つ。谷の向こうに村と緑の山が見え、遠くに平野がかすんでいる
ヴァルドッビアーデネのサント・ステファノから見た、初夏のプロセッコの丘Civvì / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)
ヴェネツィアオーストリアアドリア海1 アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ12 アーゾロ・プロセッコ23 バニョーリ・フリウラーロ34 バルドリーノ・スペリオーレ45 コッリ・ディ・コネリアーノ56 コッリ・エウガネイ・フィオール・ダランチョ67 コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネ・プロセッコ78 リゾン89 モンテッロ・ロッソ910 ピアーヴェ・マラノッテ1011 レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ1112 レチョート・ディ・ガンベッラーラ1213 レチョート・ディ・ソアーヴェ1314 ソアーヴェ・スペリオーレ14
名前になっている村 地域の名前の呼称。生産規定が挙げる村をまとめた範囲のなかほど 点が重なるところは少しずらし、元の位置へ線を引いています。 地図: Istat(CC BY 4.0・加工あり)
  1. アマローネ・デッラ・ヴァルポリチェッラ Amarone della Valpolicella
  2. アーゾロ・プロセッコ Asolo Prosecco
  3. バニョーリ・フリウラーロ Bagnoli Friularo
  4. バルドリーノ・スペリオーレ Bardolino Superiore
  5. コッリ・ディ・コネリアーノ Colli di Conegliano
  6. コッリ・エウガネイ・フィオール・ダランチョ Colli Euganei Fior d'Arancio
  7. コネリアーノ・ヴァルドッビアーデネ・プロセッコ Conegliano Valdobbiadene – Prosecco
  8. リゾン Lison
  9. モンテッロ・ロッソ Montello rosso
  10. ピアーヴェ・マラノッテ Piave Malanotte
  11. レチョート・デッラ・ヴァルポリチェッラ Recioto della Valpolicella
  12. レチョート・ディ・ガンベッラーラ Recioto di Gambellara
  13. レチョート・ディ・ソアーヴェ Recioto di Soave
  14. ソアーヴェ・スペリオーレ Soave Superiore

山から潟まで、幅の広い州

イタリアの北東部、ヴェネツィア(Venezia)を州都とする州です。北にはドロミーティの山々、西にはガルダ湖、中央から南にかけてはポー川の平野が広がり、東は潟からアドリア海へ抜けます。ヴェネトはイタリアでいちばん多くワインをつくる州で、州によれば2024年の輸出額は30億ユーロ近く、イタリア全体の37パーセントでした。

州でいちばん広く植わっている品種は、泡のワインのプロセッコ(Prosecco)に使う白ぶどうのグレラ(Glera)で、4万ヘクタールを超えます。次いでピノ・グリージョ(Pinot Grigio)、白ワインのソアーヴェに使うガルガーネガ(Garganega)が続きます。濃い赤ワインのアマローネを支える黒ぶどうのコルヴィーナ(Corvina)は7,000ヘクタールに届かず、グレラの6分の1ほどです。

泡、白ワイン、干したぶどうの赤ワイン

プロセッコの畑のうち、コネリアーノとヴァルドッビアーデネのあいだの急な丘は、2019年に「コネリアーノとヴァルドッビアーデネのプロセッコの丘(Le Colline del Prosecco di Conegliano e Valdobbiadene)」として世界遺産に登録されました。ヴェローナ(Verona)の東にはソアーヴェ(Soave)、北の谷にはヴァルポリチェッラ(Valpolicella)、ガルダ湖の東岸にはバルドリーノ(Bardolino)があります。湖の南端のルガーナ(Lugana)は、ヴェネトとロンバルディアにまたがる呼称です。

ヴァルポリチェッラのアマローネ(Amarone della Valpolicella)は、収穫したぶどうを数か月干し、重さが半分ほどになってから仕込む辛口の赤ワインです。干したぶどうを甘口に仕上げるレチョート(Recioto)の呼称も、ヴァルポリチェッラ、ソアーヴェ、ガンベッラーラにあります。産地や品種、造り方の条件を満たしたワインだけが名乗れる名前を「原産地呼称」といい、そのうち条件のより厳しい区分をDOCGと呼びます。ヴェネトのDOCGは14、DOCは29です(2025年3月時点)。

霧の出る平野と、潟から育った都

山と平野と海がそろうので、気候も場所によって大きく違います。Treccaniの百科事典によれば、北のドロミーティとカドーレ(Cadore)の山は寒く、雪が多く降ります。その南に連なる低い山地(Prealpi)と、平野の北寄りの一部は湿った大陸性の気候で、夏は暑く冬は寒く、霧がよく出ます。ガルダ湖のまわりと海沿いは地中海に近い気候です。

6世紀の後半からランゴバルド人(Longobardi)が内陸の町々を治めると、ビザンツ帝国の領分は海沿いと潟の島々に狭まりました。その島々に人が増え、9世紀から10世紀にかけて育った新しい町が、のちのヴェネツィアです。15世紀にはヴェネツィアがパドヴァやヴィチェンツァ、ヴェローナを治め、陸の領土を広げました。18世紀の終わりからはおもにオーストリアの支配を受け、1866年にイタリア王国に加わっています。「ヴェネツィアとその潟」は1987年に、16世紀の建築家パッラーディオ(Andrea Palladio)の建物を含む「ヴィチェンツァ市街とヴェネト地方のパッラーディオ様式の邸宅群」は1994年に、世界遺産に登録されました。