Vino Storia

ワインのお話

ピエモンテ

手前にぶどう畑と小道があり、左上から針葉樹の枝がかかる。その先にぶどう畑に覆われたなだらかな丘が重なって続く。遠くの丘の上に村が見え、空は青く晴れている
ラ・モッラから見た、夏のバローロのランゲの丘とぶどう畑Davide Tomatis / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)
トリノフランススイス1 アルタ・ランガ12 アスティ23 バルバレスコ34 バルベーラ・ダスティ45 バルベーラ・デル・モンフェッラート・スペリオーレ56 バローロ67 ブラケット・ダックイ78 カネッリ89 ドリアーニ910 ドルチェット・ディ・ディアーノ・ダルバ1011 ドルチェット・ディ・オヴァーダ・スペリオーレ1112 エルバルーチェ・ディ・カルーゾ1213 ガッティナーラ1314 ガヴィ1415 ゲンメ1516 ニッツァ1617 ロエロ1718 ルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェッラート1819 テッレ・アルフィエーリ19
名前になっている村 地域の名前の呼称。生産規定が挙げる村をまとめた範囲のなかほど 点が重なるところは少しずらし、元の位置へ線を引いています。 地図: Istat(CC BY 4.0・加工あり)
  1. アルタ・ランガ Alta Langa
  2. アスティ Asti
  3. バルバレスコ Barbaresco
  4. バルベーラ・ダスティ Barbera d'Asti
  5. バルベーラ・デル・モンフェッラート・スペリオーレ Barbera del Monferrato Superiore
  6. バローロ Barolo
  7. ブラケット・ダックイ Brachetto d'Acqui
  8. カネッリ Canelli
  9. ドリアーニ Dogliani
  10. ドルチェット・ディ・ディアーノ・ダルバ Dolcetto di Diano d'Alba
  11. ドルチェット・ディ・オヴァーダ・スペリオーレ Dolcetto di Ovada Superiore
  12. エルバルーチェ・ディ・カルーゾ Erbaluce di Caluso
  13. ガッティナーラ Gattinara
  14. ガヴィ Gavi
  15. ゲンメ Ghemme
  16. ニッツァ Nizza
  17. ロエロ Roero
  18. ルケ・ディ・カスタニョーレ・モンフェッラート Ruchè di Castagnole Monferrato
  19. テッレ・アルフィエーリ Terre Alfieri

山の麓にある、丘の帯

イタリアの北西の端にある州です。西と北はアルプスをはさんでフランスとスイスに、南はアペニン山脈をはさんでリグーリアに接しています。州の名前は「山の麓」という意味で、三方を山に囲まれた内側をポー川(Po)の平野が占めます。州都はトリノ(Torino)です。

ぶどう畑が集まるのは、山と平野のあいだにある幅の広い丘の帯です。アルバ(Alba)の街の南に広がるランゲ(Langhe)、タナロ川の左岸のロエロ(Roero)、アスティ(Asti)からアレッサンドリアにかけてのモンフェッラート(Monferrato)がよく知られ、北のアルプス寄りにはガッティナーラやゲンメがあります。バローロ、バルバレスコ、アスティの決まりは、どれもぶどう畑に丘陵地を求め、谷底の土地を外しています。バローロの決まりによれば、このあたりはかつて海で、海が退いたあとに丸い背をした丘が残りました。

三つの品種と、数の多い原産地呼称

ネッビオーロ(Nebbiolo)は、バローロとバルバレスコに使う黒ぶどうで、この二つにはほかの品種を混ぜられません。バルベーラ(Barbera)は、アスティとアレッサンドリアの丘に広く植わっている黒ぶどうです。白ぶどうのモスカート・ビアンコ(Moscato bianco)からは、辛口から甘口まである泡のワインのアスティと、甘口ワインのモスカート・ダスティがつくられます。モスカート・ダスティのアルコール分は4.5〜6.5パーセントと、ワインとしては低めです。

産地や品種、造り方の条件を満たしたワインだけが名乗れる名前を「原産地呼称」といい、そのうち条件のより厳しい区分をDOCGと呼びます。ピエモンテ州が2025年に公表した資料では、この州のDOCGは19、DOCは41で、呼称の数は州としてイタリアで最多です。産地をゆるやかに示す区分(IGT)は、この州にはひとつもありません。

山に守られた気候と、峠を押さえた王家

州を囲む山は、地中海から来る暖かく湿った空気も、北からの冷たい空気もさえぎります。Treccaniの百科事典によれば、そのためこの州の気候は大陸性でありながら、比較的おだやかです。低い土地では夏と冬の気温の差が大きく、平野の冬は雪が多く、霧もよく出ます。丘の産地どうしでも違いがあり、アスティのまわりの丘は風の弱い土地です。州の南東の端にあるガヴィ(Gavi)では、冬が長く厳しい一方、夏は平野より涼しく風が通ると、それぞれの生産規定が書いています。

13〜14世紀以降、この土地の歴史は、アルプスの向こうのサヴォワ(Savoie)から出たサヴォイア家(Savoia)の国づくりと重なります。サヴォイア家ははじめ、山と峠とそこへ通じる道を押さえて力をつけました。19世紀まで王国は山の両側に領地を持っていて、Treccaniは、アルプスが両側を隔てるのではなく、つなぎとめていたと書いています。この王国が大きくなった先に、19世紀のイタリアという国の誕生がありました。1562年に都が移されたトリノと、そのまわりの宮殿や別邸は、1997年に「サヴォイア王家の王宮群」として世界遺産になりました。ランゲ・ロエロとモンフェッラートのぶどう畑も、2014年に「ピエモンテのぶどう畑の景観:ランゲ=ロエロとモンフェッラート」として登録されています。