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ガルガーネガ

ガルガーネガのワイン一覧


ガルガーネガとは?

ガルガーネガ(Garganega)は、北イタリアのヴェネト州、ヴェローナ県とヴィチェンツァ県の丘で育つ白ぶどうです。辛口の白ワインソアーヴェの主役で、収穫したあと干してから仕込むと、甘口ワインのレチョート(Recioto)になります。

このぶどうには、遠く離れた土地にもうひとつの名前があります。シチリア島で「グレカニコ・ドラート(Grecanico Dorato)」と呼ばれてきたぶどうが、DNAを調べると同じ品種でした。国のぶどう栽培研究センターが2008年に発表した分析では、二つの名前で集めた株が、4本ずつそろって同じ遺伝子の型を示しています。国の品種登録簿にも二つの項目があり、どちらも1970年の登録で、互いを別名として載せています。

ヴェネトでは少なくとも1200年ごろから知られたぶどうで、13世紀の農書に、パドヴァのぶどうのひとつとしてこの名前が出てくるとされます。シチリアのグレカニコが記録に現れるのは、17世紀の終わりです。

「グレカニコ」はギリシャ(Grecia)を思わせる名前で、シチリアのDOCの規定は、ギリシャ人がこのぶどうを島に持ち込んだと書いています。研究者たちもこの名前からギリシャ起源を疑い、クレタ島の大学がまとめたギリシャの品種のデータとも照らし合わせましたが、同じ型の品種は見つかりませんでした。

同じ研究は、ガルガーネガが7つの白ぶどうと親子の関係にあることも示しました。トスカーナのトレッビアーノ・トスカーノ(Trebbiano Toscano)、ロマーニャのアルバーナ(Albana)、シチリアのカタラット(Catarratto)など、北から南まで散らばる品種です。ただし、ガルガーネガの親は分かっておらず、どちらが親でどちらが子なのかは決められていません。

緑の葉のあいだに下がる、熟して粒が薄い赤みを帯びたガルガーネガの房
熟したガルガーネガの房。粒が赤みを帯びているGiacomino Timillero / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(PNGをJPEGに変換)

どこで育てられているか

アデレード大学のワイン経済研究センターがまとめた品種別のデータベースでは、イタリアのガルガーネガの畑は1万3,000ヘクタールあまりです。EUの統計局(Eurostat)の2020年の値です。ヴェネト州の発表では、2024年の州内の畑は8,500ヘクタールほどでした。年も数え方も違う資料で、差が何によるのかは確かめられていません。

中心は、レッシーニ(Lessini)山地が平野に下りてくるすそ野です。ヴェローナ県の側にソアーヴェの産地があり、その東、県境を越えたヴィチェンツァ県の側にガンベッラーラ(Gambellara)の産地があります。ガンベッラーラの丘は標高250〜350メートルほどのなだらかな尾根で、土の多くは火山に由来します。サン・マルコ公園(Parco San Marco)には、玄武岩が柱のように並んだ岩場があります。

木の枝越しに見下ろす緑の丘とぶどう畑。谷の向こうに町が広がり、その先に霞んだ平野と山並みが続く
ガンベッラーラの丘から見た町と平野。2024年10月MZ14 / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

ガンベッラーラの生産規定によれば、1947年に地元のぶどう農家26人が協同組合のワイナリーをつくり、40ヘクタールだった畑は数年のうちに、いまの650ヘクタールまで広がりました。同じ規定は、ガルガーネガを「ヴェネト西部にほぼ限られる」ぶどうと呼んでいます。ところがシチリアでは、同じぶどうがグレカニコの名前で、島のいくつものDOCに使われています。


ガルガーネガが主役のワイン

主な呼称と、ガルガーネガの割合です。DOCとDOCGは、産地や造り方が国の決まりで定められたイタリアの原産地呼称で、DOCGはそのうち生産の条件がもっとも厳しい区分です。

ワイン州ガルガーネガの割合
ソアーヴェ(DOC)ヴェネト70%以上
ソアーヴェ・スペリオーレ(Soave Superiore、DOCG)ヴェネト70%以上
レチョート・ディ・ソアーヴェ(Recioto di Soave、DOCG)ヴェネト70%以上
ガンベッラーラ(DOC)ヴェネト80%以上
レチョート・ディ・ガンベッラーラ(Recioto di Gambellara、DOCG)ヴェネト100%
シチリアのグレカニコ(シチリアDOC)シチリア85%以上

ソアーヴェ・スペリオーレは、ソアーヴェとは別の呼称で、熟成させたリゼルヴァ(riserva)もあります。

レチョートの名前は、この土地の言葉で「耳」を意味するレチャ(recia)から来ています。ソアーヴェの規定によれば、房のわきに張り出した「翼(ala)」のような部分のことで、ぶどうを干すときはここで吊るしてきました。イタリア政府観光局は、干した房のいちばん上を選り分けた習わしから来た、と少し違う説明をしています。

レチョート・ディ・ソアーヴェは1998年に、ヴェネト州で最初のDOCGになりました。干すのに向く、粒と粒のあいだにすき間のある房だけを手で摘み、風通しのよい部屋で10月から翌年の2月ごろまで置いてから仕込みます。

天井の梁から、干しているガルガーネガの房がびっしりと下がる部屋。床には房を入れた籠と木箱が並ぶ
梁から吊るして干しているガルガーネガ。床の籠にも房が入っているGiacomino Timillero / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(PNGをJPEGに変換)

ガンベッラーラでは、房どうしが触れ合わないように手で組んだ「ピカイ(picai)」を、屋根裏や穀物倉に吊るします。干す期間は、昔ながらのやり方で60日から90日ほどです。ガンベッラーラの規定は、このぶどうを「よく、長くもつ」と書いています。


どんなワインになるか

ソアーヴェ・スペリオーレの規定によれば、ガルガーネガの皮は硬く、熟すと濃い黄色から、ほとんど赤みがかった色になります。酸が前に出る品種ではなく、糖分と、味の厚みになる成分とのつり合いに持ち味がある、と同じ規定は書いています。

ソアーヴェ・スペリオーレの色は麦わら色で、ときに濃く、緑や金色の輝きを帯びます。香りは広がりがあって花を思わせ、味わいには厚みがあり、かすかな苦みが残ります。規定は、この後味の苦みを、この土地で育ったガルガーネガに固有のものとしています。

隣のガンベッラーラの白ワインは淡い麦わら色で、香りは新鮮で繊細、味わいは辛口で中くらいの重さです。

レチョート・ディ・ソアーヴェは黄金色で、香りは強く、果実を思わせ、ときにバニラの香りを帯びます。味わいは甘く、ビロードのようになめらかです。

シチリアのグレカニコは、色が麦わら色、香りは繊細で、味わいは辛口からやや甘口まで幅があり、厚みがあります。

木のテーブルに置かれた白ワインの瓶とグラス。瓶のラベルに PLANETA、ALASTRO の文字
シチリアの生産者プラネタの白ワイン「アラストロ」。グレカニコを使ってつくるMichal Osmenda / CC BY-SA 2.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

ガルガーネガに合わせる食事

イタリア政府観光局は、レチョート・ディ・ソアーヴェをパンドーロ(Pandoro)と合わせて、食事の締めくくりにすることを勧めています。パンドーロはヴェローナ生まれの菓子で、19世紀の終わりにドメニコ・メレガッティ(Domenico Melegatti)が考案した、8つの角をもつ星形の、円錐形の焼き菓子です。同じ観光局の別のページは、バターの風味が豊かでやわらかいと紹介しています。

ヴェローナとガルダ湖のあいだの丘でつくる白ワイン、クストーツァ(Custoza)にも、ガルガーネガが使われます。観光局は、このワインに、太くて表面の粗い手打ちのパスタ「ビゴリ(bigoli)」をいわしのソースで和えた一皿を合わせています。

日本の食卓で試すなら、バターの多いやわらかな焼き菓子とレチョート、いわしのパスタと辛口のガルガーネガ、という組み立てが地元の料理に近い形です。