河内ワインとは?
河内ワイン(Kawachi Wine)は、大阪府羽曳野市(はびきのし)の駒ヶ谷(こまがたに)にあるワイナリーです。始まりは1934年、金銅徳一(こんどう とくいち)が開いた「金徳屋洋酒醸造元」で、いまも金銅家が代々受け継いでいます。2024年には創業90年を迎え、記念のワインを出しました。
この年の秋、室戸台風が関西を直撃し、河内のぶどう棚は大きな被害を受けました。会社の年表によれば、徳一はこれをきっかけに、ぶどう農家を支える策としてワイン造りを提案し、自ら取り組むことにしました。果実酒の製造免許を取ったのは、その年の10月1日です。
会社はいま、自分たちのワインを「和飲」と書き表しています。
河内の土地と人間に育てられたワイナリーだからこそ、西洋のワインを追い求めるのではなく、ここでしか作れない葡萄酒をつくりたい。
日本の家庭料理にも気軽に寄り添うワインを届けたい、と会社案内は続けています。
駒ヶ谷と河内飛鳥のぶどう
年表は、この土地のぶどうの話から始まります。明治の中ごろ、果物を育てるのに向いた駒ヶ谷や河内飛鳥(かわちあすか)を含む羽曳野のあたりで、ぶどうの栽培が始まりました。昭和のはじめには栽培が最も盛んになり、会社はこのころ河内一帯の生産高が全国1位だったと書いています。台風の被害は、そうした産地のさなかに起きたことでした。
なかでも会社が歴史の長さを強調しているのが、デラウェア(Delaware)です。商品の説明には、大阪・河内のデラウェアづくりには100年を超える歴史がある、と書かれています。河内ワインはこのデラウェアを、毎年の新酒にも、甘口にも、オレンジワインにも、泡のワインにも仕立てています。
自社の畑もあり、駒ヶ谷で穫れたデラウェアには、ラベルに「駒ヶ谷」の名を入れています。ワインの名前の「金徳葡萄酒」は、創業のときの屋号「金徳屋」から来ています。
歩み
創業のあと、金徳屋はワインのほかに、ブランデーやリキュールも造って売りました。1968年に二代目の金銅一(はじめ)が継ぎ、1978年には河内のぶどうだけを使った「河内ワイン」を売り出しています。会社の年表は、その後イベントにも出ながら販売を広げ、大阪の地ワインの味と名前を知ってもらったと振り返っています。
1996年に株式会社河内ワインとなり、1997年には三代目の金銅徳郎の思いがかなって「河内ワイン館」ができました。いまの見学会の受付もここです。1階はワインショップで、カウンターでは20種類ほどを試飲できます。2階の展示ホールには、初期のころのラベルや瓶、写真や資料が並び、だれでも無料で見られます。
「河内ワイン」という名前のワインを出しているのは、この会社だけではありません。柏原市のカタシモワイナリーは、自社のワインを「カタシモ河内ワイン」と書き分けていくと案内しています。
団体向けの見学プランの一つ「PRESIDENT コース」では、四代目の代表が自らワイナリーを案内します。
代表的なワイン
金徳葡萄酒 デラウェアは、選んだデラウェアから年に一度だけ造る限定の白ワインです。もぎたてのぶどうを頬張っているようなフレッシュな香りと、広がりのある酸があり、和食にも合うと会社は説明しています。2026年の新酒は9月28日に売り出されました。
KIEI 駒ヶ谷デラウエアは、自社の畑で穫ったデラウェアを、発酵の途中で止めて甘さを少し残したセミスイートの白ワインです。アルコールは10%と軽めで、デラウェアの香りとうまみがたっぷり感じられるとされています。同じ駒ヶ谷のデラウェアを3週間、皮ごと漬け込んで発酵させた「KIEI 駒ヶ谷デラウェア オレンジ」もあります。
KIEI Private Reserve Merlotは、2018年に完熟したメルロー(Merlot)を選び、古い樽で18か月熟成させた赤ワインです。香りと酸、果実味と渋みのつり合いがとれていて、食事と合わせて楽しみたい一本だと会社は書いています。商品ページには「四代目当主お気に入りの一品」とあり、900本の限定です。
ふだんの食卓向けの金徳葡萄酒には、マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)の赤ワインもあります。華やかな果実の香りに軽い口当たりで、渋みは控えめとされています。同じシリーズのメルローは、2018年に穫れたぶどうを1年樽で寝かせたもので、会社はそのほのかな樽の香りとやさしい果実の香りを「素朴で暖かい駒ヶ谷の空気」にたとえています。創業90年を記念したシャルドネとメルローには、創業者と同じ「徳一」の名が付いています。
調査時点(2026年10月27日)の公式サイトの税込価格は、金徳葡萄酒 デラウェア(750ミリリットル)が1,980円、KIEI 駒ヶ谷デラウエア 2024(740ミリリットル)が2,200円、KIEI 駒ヶ谷デラウェア オレンジ 2023(750ミリリットル)が2,750円、KIEI Private Reserve Merlot 2018(750ミリリットル)が5,280円でした。

