カーブドッチとは?
カーブドッチ(Cave d’Occi)は、新潟市西蒲区の角田浜(かくだはま)にあるワイナリーです。新潟の市街地から南西へ車で30分ほど、日本海に沿って横たわる角田山(かくだやま)のふもとにあり、まわりをぶどう畑が囲んでいます。名前は、フランス語でワインの貯蔵庫を指す「カーヴ(cave)」に、創業者の落希一郎(おち きいちろう)の名字を合わせたものです。
1992年に初めてぶどうを植えたとき、新潟は「ワイン未開の地」だったと会社は書いています。それでも、ワイナリーがまだない場所で、自分たちの畑のぶどうからワインのすべてを造りたいと考えて、この砂丘地を選びました。目指したのは、自分たちで育てたワイン用のぶどうだけで造る日本ワインです。その看板になっているのが、スペインの大西洋岸から来た白ぶどうのアルバリーニョ(Albariño)です。
砂の畑と、海からの風

会社は、角田山のふもとを選んだいちばんの理由を、ワイン造りの環境が整っていたことだとしています。まず、土が砂地です。砂地は水はけがよく、繊細なワインが生まれるといわれる一方で、養分が乏しいので、毎年たい肥を入れ、畑に草を生やしたまま育てる草生栽培を続けているといいます。
海が近く、一年中、海から西風が吹くので、ぶどうが病気になりにくいことも利点に挙げています。夏は気温が上がって雨が少なく、新潟には珍しく、冬に雪がほとんど積もらない一帯だとも書いています。
この畑には、創業からこれまでに40種以上のぶどうが植えられてきました。2025年1月時点の一覧には、シャルドネ(Chardonnay)、リースリング(Riesling)、ピノ・ノワール(Pinot Noir)、メルロ(Merlot)、スペイン北西部のメンシア(Mencía)、フランス南西部のプティ・マンサン(Petit Manseng)など、19種が並んでいます。会社は、ワイナリーにとって最も大切なのは「土地にあったぶどう品種」を見つけることで、それさえ見つかれば質の高いワインを安定して造れると書いています。
その答えのひとつになったのが、アルバリーニョでした。2005年にスペインの大西洋岸の港町のバルで、このワインに出会ったのがきっかけだといいます。育てやすく病気に強いうえに、この砂の土でしか引き出せないジャスミンや中国茶のような香りが出る、と会社は説明しています。
歩み
公式サイトによれば、ワイナリーを国道から800メートルも奥に入った不便な場所に置いたのは、ワイナリーはぶどう畑に囲まれているのが当然だと考えたからでした。当時は、スイカ畑の轍(わだち)の残る道を進んでたどり着く客が一日に数組で、来た人は必ず醸造所と畑に案内していたといいます。
場所を新潟に決めたのには、首都圏から来やすいという理由もありました。会社は事業のはじめから「買いに来ていただくこと」を掲げていたと書いています。客が増えるにつれ、レストランやベーカリー、ショップができ、畑の道は舗装された市道になりました。いまの敷地には温泉のある宿泊施設「ヴィネスパ」とホテル「トラヴィーニュ」もあり、会社は自らを「滞在するワイナリー」と呼んでいます。
まわりにはその後、フェルミエ、ドメーヌ・ショオ、カンティーナ・ジーオセット、ルサンクワイナリーといったワイナリーが集まり、一帯は「新潟ワインコースト」を名乗っています。ワイナリーで造るビールもあり、2023年からは「カーブドッチ ブルーイング(CAVE D’OCCI BREWING)」として、ワインの醸造で残ったぶどうの皮や樽を使ったビールを、ワインと同じ750ミリリットルの瓶で出しています。
創業者の落希一郎は、のちに新潟を離れ、北海道の余市町でオチガビワイナリーを開きました。オチガビの公式サイトは、落が新潟の砂地でワイナリーを営んだ期間を「1991年から2012年まで」と書いていて、カーブドッチの書く1992年とは1年ずれています。
代表的なワイン
カーブドッチのワインには、品種の個性と土地を表すことを目指す「セパージュシリーズ」のほか、動物の絵をラベルに描いた「どうぶつシリーズ」、生食用のぶどうで造る「FUNPYシリーズ」があります。
アルバリーニョは、会社が「カーブドッチの代名詞」と呼ぶ白ワインです。スペイン北西部のリアス・バイシャス(Rías Baixas)では「海のワイン」として知られる品種で、会社は、新潟とは年間の雨の量が近く、どちらも海に近い水はけのよい土で育つと説明しています。2025年は例年の倍近く収穫でき、仕込みを8つに分けて試したそうです。ジャスミンや凍頂烏龍茶、白い桃の香りに、ディルやクローブ、バニラが重なり、口に含むと硬いミネラル感に、品種らしい酸と苦み、豊かな果実味が広がるとされています。
サブル(Sable)は、フランス語で「砂」を意味する名前の通り、砂の土を表すことを目指した看板のワインで、白ワインと赤ワインがあります。2025年の白ワインは、アルバリーニョ、リースリング、セミヨン(Sémillon)、ヴィオニエ(Viognier)、ヴィダル・ブラン(Vidal Blanc)の5品種を合わせたもので、白い桃やジャスミン、凍頂烏龍茶、ライムの香りに、余韻には塩気も感じるといいます。赤ワインはボルドーの品種を合わせたもので、ブラックチェリーやいちじく、杉の木の香りに、量感のある果実味と力強い渋みがあるとされています。
山形と新潟の契約農家のアルバリーニョで造る「アルバリーニョ ルノー(Le Nord)」もあります。会社は、自社の砂の畑と、粘土の強い山形の畑とでは、同じ品種でもまったく違うワインになると書いています。
調査時点(2026年10月27日)の公式オンラインショップの価格は、アルバリーニョ(2025年)が6,490円(売り切れ)、サブルの白ワインと赤ワイン(2025年)がそれぞれ6,930円、アルバリーニョ ルノー(2025年)が4,620円でした。



