NIKI Hills Wineryとは?
NIKI Hills Winery(ニキヒルズワイナリー)は、北海道余市郡仁木町(にきちょう)の旭台(あさひだい)という丘にあるワイナリーです。33ヘクタールの敷地に、醸造所とぶどう畑のほか、庭、森、レストラン、宿泊施設までが入っています。
この丘は、ワイナリーができる前は耕作放棄地でした。オーナーの石川和則は広告会社のグループ(DACグループ)の経営者で、2014年に北海道へ来たのは社員研修所の建設地を探すためだったと、公式サイトに書いています。紹介された旭台に立ち、町並みの向こうに余市湾が広がるのを見て「何か運命的なものを感じました」というのが本人の言葉です。研修所の候補地は、その年のうちに、ぶどう畑をつくる土地に変わりました。
余市湾を見下ろす旭台
仁木町は、余市川に沿って明治以降に果物の町として開けてきた土地です。公式サイトは、この一帯でリンゴの栽培が130年ほど前に始まったと書いています。その果樹園も、農家の高齢化で跡継ぎがいなくなり、放っておかれる畑が増えていました。旭台もそうした土地の一つで、整備を始めたころは荒れ地だったといいます。
会社の説明では、仁木と余市は水はけがよく、昼と夜の気温の差が大きいので、糖度の高いぶどうが育ちます。余市湾からのぼる霧がその寒暖差をつくる、という書き方もしています。
敷地の森は、木が混みあって地面まで日が届かない状態でした。長野県黒姫で森の再生に取り組んでいたナチュラリストの故C.W.ニコル氏の助言を受けながら手を入れ、いまは森の中を歩くツアーも開いています。ワイナリーが仁木町を「準限界集落」と書き、町に人を呼ぶことを事業の目的に掲げているのも、この土地の事情から来ています。周りに新しくできるワイナリーを、ライバルではなく「ファミリー」と呼んでいます。
歩み
2014年に株式会社NIKI Hillsファームを、翌年に株式会社NIKI Hillsヴィレッジを設立しました。2015年10月に醸造所ができ、最初の年は余市の契約農家から買ったぶどうで仕込んでいます。自社の畑に初めて苗を植えたのは2016年で、自社の畑のぶどうでワインを造り始めたのは2019年です。
レストランを備えた宿泊施設は2017年に完成し、全体のグランドオープンは2019年7月7日でした。
2020年には、赤ワインの「YUHZOME 2018」がイギリスのワインコンクール「Decanter World Wine Awards」で金賞を受けました。ワイナリーはこれを「日本の赤ワイン初の金賞」と紹介しています。
総支配人の舟津圭三は、1989年の国際犬ぞり隊の一員として南極大陸を横断した人で、アラスカに20年住んだあと、2015年から北海道に移っています。醸造責任者の太田麻美子は、ここで収穫や仕込みを手伝ううちにワインに惹かれた人だと紹介されています。ニュージーランドのプリリ・ヒルズと、シャンパーニュのジャック・セロス(Jacques Selosse)で醸造を学び、2021年からは自分で醸造を手がけています。
代表的なワイン
ワイナリーは、目指すワインを「その土地を表しているようなワイン」と書いています。白ワインにはケルナーやバッカス、赤ワインにはツヴァイゲルトレーベを主に使います。
HATSUYUKIは、ケルナー(Kerner)だけでつくる辛口の白ワインで、ワイナリーがいちばん上に置く一本です。香りを引き出すために12度の低い温度で発酵させ、収穫の時期に幅をもたせたぶどうを、何種類かの酵母で仕込んでから合わせています。北海道らしいきりっとした酸があるとされています。同じケルナーを1か月ほど遅く摘み、一部が貴腐になったぶどうでつくる甘口の白ワイン「はつゆき LATE HARVEST」もあります。
YUHZOMEは、ツヴァイゲルトレーベ(Zweigeltrebe)の赤ワインです。ワイナリーが「北海道を代表する品種」と呼ぶ黒ぶどうです。ぶどうを果皮ごと発酵させてから樽で熟成させ、カシスのような赤い果実の味わいとスパイスの香りがあり、口当たりは軽いとされています。2022年は完売していて、いまは余市の契約農家のぶどうでつくる「Zweigelt 2024」が並んでいます。
NEIROは、余市町の安藝農園と廣瀬農園の、樹齢40年ほどのバッカス(Bacchus)でつくる、やや甘口の白ワインです。リンゴや梨、アカシアの香りに、果汁のような甘みと酸があり、あとから穏やかな塩気とほろ苦さがくるとされています。
自社の畑からは、シャルドネ(Chardonnay)、ピノ・ノワール(Pinot Noir)、メルロ(Merlot)のワインも出ています。2024年のピノ・ノワールは、甘酸っぱいベリーの果実味に紅茶やシナモンの香りが重なり、梅のキャンディのような酸があると説明されています。ワイナリーはこれに、皮目をあぶった〆ニシンを合わせることを勧めています。自社畑のシャルドネ2023年は売り切れていますが、2025年の Decanter World Wine Awards で金賞を受けたとワイナリーは書いています。
ワイナリーでしか売っていないワインもあり、ショップでは余市湾まで見渡しながら、グラスで飲み比べができます。
