サドヤとは?
サドヤ(SADOYA)は、山梨県甲府市の北口、JR甲府駅から歩いて5分ほどのところにあるワイナリーです。公式サイトは「大正6年創業」、つまり1917年の創業としています。敷地の中にワインブティック、フランス料理のレストラン、そして約700坪(2,300平方メートルあまり)の地下セラーがあります。
サドヤのワインの始まりは、昭和のはじめの一通の手紙です。会社の説明によれば、フランスではぶどうの品種を土地の気候に合わせて選び、ワイン専用の品種でワインを造っていることを知り、日本でもワイン専用の品種を育てようと決めました。そこでフランスの苗木の栽培家に手紙で連絡を取り、苗木を日本へ送ってもらったといいます。
甲府の北に開いた畑
1936年、サドヤは甲府市の善光寺(ぜんこうじ)地区に畑を拓き、フランスから届いた醸造用の品種の苗木を植えました。会社の説明では、そのとき植えた品種は40種類ほどにのぼります。いまの「サドヤ農場 善光寺」です。
公式サイトによれば、この畑は標高300〜350メートルの斜面にあり、広さは3ヘクタールです。土は堆積岩を主にした石の多い褐色の土で、火山灰の影響が少なく、水はけがよいと説明されています。メルロ(Merlot)、セミヨン(Sémillon)、甲州、マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)のほか、色の濃い黒ぶどうのタナ(Tannat)や、ソワノワール(Soi Noir)への植え替えも進めています。仕立ては、頭の上に棚を張って長い枝を伸ばす「長梢(ちょうしょう)棚仕立て」です。
畑はほかに二つあります。甲府市東光寺の0.2ヘクタールの畑は甲州を中心に育てる研修用の畑で、2024年には北杜市明野町に、標高670〜740メートルの「サドヤ農場 明野」を手に入れました。明野の畑は平らで、カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)やピノ・ノワール(Pinot Noir)、シャルドネ(Chardonnay)などを、善光寺とは違って垣根に仕立てています。
歩み
苗木を植えてから、ワインになるまでには時間がかかりました。公式の年表では、植えた欧州の品種で醸造を始めたのが1939年、宮内庁への納入が始まったのが1940年です。会社は、納得のいく品質のワインが造れるようになるまで10年かかったと書いています。
当時の日本では、本格的な辛口のワインはまだ珍しいものでした。会社によれば、はじめは売れ行きが厳しく、海外からの客が多いレストランで使われるようになって、少しずつ広がっていったといいます。
1945年、甲府の空襲で醸造場は全焼しました。翌1946年は天候に恵まれ、建て直した醸造場で、会社が「極上」と呼ぶワインができました。1950年、このワインに「シャトーブリヤン1946」という名前が付けられます。フランス語でブリヤン(Brillant)は「輝く」という意味で、会社は「輝き続けるように」という思いを込めたと説明しています。
その後、1989年には南フランスに農場「シャトー・レアル・ドール」を手に入れました。敷地のレストランの名前「レアル・ドール」も、ここからきています。
代表的なワイン
シャトーブリヤンは、1950年から続く、収穫年の入ったサドヤの看板のワインです。赤ワインと白ワインがあります。
シャトーブリヤンの赤ワインは、善光寺などサドヤの農場で育てたカベルネ・ソーヴィニヨンとメルロでつくる辛口です。会社は、ビーフシチューやすき焼き、子羊のグリルに合わせることを勧めています。
シャトーブリヤンの白ワインは、善光寺の畑のセミヨンでつくる辛口です。ぶどうを房ごと、茎を取らずにそのまま搾ることで、茎からくる渋みや青くささが果汁に混じるのを防いでいます。果汁はフランス産のオークの樽で発酵させ、いったん澱(おり)を引いてから再び樽で寝かせ、そのあと一升瓶に移して熟成させます。会社はこれを「サドヤ独自の育成法」と呼んでいます。地下セラーの見学では、樽の熟成庫とともに一升瓶の貯蔵庫も回ります。会社はこのセラーを「時が止まったような空間」と紹介しています。
もう一つのシリーズLiel(リエル)は、畑の名前をそのまま付けたワインです。「Liel 甲府甲州」は甲府市産の甲州の白ワイン、「Liel 明野」は2024年に手に入れた明野の畑のぶどうでつくります。
調査時点(2026年11月3日)の公式オンラインショップの税込価格は、シャトーブリヤンの赤ワイン(2023年、750ミリリットル)と白ワイン(2022年、720ミリリットル)がどちらも6,600円、Liel 甲府甲州とLiel 明野カベルネソーヴィニヨン&メルロ(750ミリリットル)がどちらも2,970円でした。



