ドメーヌQとは?
ドメーヌQ(Domaine Q)は、山梨県甲府市の北東部、桜井町(さくらいちょう)にある小さなワイナリーです。運営する株式会社甲府ワインポートの敷地には、醸造所のほかに直営のワインショップと、ステーキを出すレストラン「ボルドー」が並んでいます。公式サイトはここを「ワインが生まれ、ワインが行き交うワインポート」と呼んでいます。
名前の表記は資料によって違います。いまの公式サイトと通販は「ドメーヌQ」、2021年の山梨大学の発表は「ワイナリードメーヌ久」、山梨県の観光サイトは「ドメーヌ・久」と書いています。
フランス語の「ドメーヌ(Domaine)」は、自分の畑のぶどうでワインをつくる生産者を指す言葉です。県の観光サイトは、この名を名乗る理由を、ブルゴーニュの生産者と同じようにピノ・ノワール(Pinot Noir)を育てているからだと紹介しています。会社はピノ・ノワールを「日本では珍しい」「栽培が難しく収量も少ない」黒ぶどうと書き、これを自社の畑だけで育てて赤ワインにしています。
甲府盆地を見おろす南の斜面
畑は、甲府盆地を見おろす南向きの斜面にあります。会社は、この土地の良さを三つ挙げています。南向きで日当たりがよいこと、南アルプスから冷たい風が吹きおりて風通しがよいこと、そして石が多く痩せた花崗岩(かこうがん)の土で水はけがよいことです。
ただ、甲府の夏は厳しく、会社によれば、醸造の時期にあたる夏から秋には日中の気温が40度を超える日もあります。そのため発酵のタンクは一つずつ温度を管理し、白ワインは10〜18度、赤ワインは25〜35度と、ぶどうの品種ごとに温度を決めて発酵させています。醸造場は36坪ほどの広さで、年に1万5千本から2万本をつくっています。
ピノ・ノワールのほかに、会社は「甲府のぶどう文化を守りつつ」新しいワインをつくると書き、デラウェア(Delaware)、ネオ・マスカット(Neo Muscat)、イタリアの白ぶどうトレッビアーノ(Trebbiano)などを挙げています。デラウェアは、色づく前に早摘みしたものを「青デラ」と呼んで、夏の新酒に使っています。
歩み
会社の設立の年や、ピノ・ノワールを植えた年は、公式サイトにも県の観光サイトにも書かれていません。資料から分かるのは、2021年からあとの取り組みです。
2021年12月、ドメーヌQは山梨大学、甲府市の酒販店マツムラ酒販と共同で、ロゼのスパークリングワインを出しました。甲府市でとれたマスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)と甲州(こうしゅう)だけを使い、山梨大学ワイン科学研究センターが武田神社で採った酵母で発酵させたワインです。甲府市のブランド「甲府之証(こうふのあかし)」の認定品にもなりました。ラベルには、甲府市の市章の「甲」の字にちなんだ亀甲の模様と、市の花ナデシコが描かれています。
夏の新酒「ヌーヌーボー」も、この会社の顔になっています。2022年10月時点の県の観光サイトは発売を「8月の中旬」と書いていましたが、いまは7月31日に出すようになりました。2026年は原料のぶどうが足りず、つくれた本数が減ったと、会社は通販で知らせています。公式サイトは2026年3月に新しくなりました。
代表的なワイン
ヌーヌーボー(Nounoubeau)は、甲府市の北東部で育った青デラを6月の末に摘んで仕込み、7月31日に出す白ワインです。県の観光サイトは、秋に出る新酒「ヌーボー」よりさらに早いワインとして紹介しています。リンゴ酸のきりっとした酸と、青りんごのような風味があり、会社は食前酒にしたり、氷を入れて食事と合わせたりする飲み方を勧めています。味は中辛口です。
ピノ・ノワールは、自社の畑のピノ・ノワールだけでつくる赤ワインです。会社は、しっかりしたタンニン(渋み)と、ぶどうの風味が感じられるワインだと説明しています。マスカット・ベーリーAと合わせたミディアムボディの「ルージュQ」もあります。
甲府スパークリングロゼパッションは、2021年に生まれたロゼのスパークリングワインの流れをくむ1本です。甲府市のマスカット・ベーリーAと甲州を、武田神社のお堀で採った酵母で仕込んでいます。ラズベリーのような華やかな香りに、甲州のこくと酸が重なると説明されています。
甲州を皮ごと漬けこんで仕込んだオレンジワイン「甲州黄金色(こがねいろ)」は、日本ワインコンクール2026で金賞と部門最高賞を受けたと会社は伝えています。2025年のものは、調査時点で売り切れでした。
調査時点(2026年10月27日)の公式の通販の税込価格は、ヌーヌーボー2026(720ミリリットル)が2,420円、ピノ・ノワール2022(同)が5,500円、甲府スパークリングロゼパッション2023(同)が2,970円でした。



