オルネッライアのワイン一覧
オルネッライアとは?
オルネッライア(Tenuta dell’Ornellaia)は、トスカーナ州の海沿いの産地ボルゲリ(Bolgheri)にある農園で、同じ名前の赤ワイン「オルネッライア」のつくり手です。農園を始めたのは、フィレンツェのワインの家に生まれたロドヴィーコ・アンティノリ(Lodovico Antinori)で、いまはフィレンツェの別の旧家、フレスコバルディ家(Frescobaldi)が持っています。
ロドヴィーコは、はじめからボルゲリでワインをつくるつもりだったわけではありません。若いころにアメリカで働き、カリフォルニアに畑を持つことを考えていました。その彼に、足もとの土地を見直させたのは、アメリカで名の知られた醸造家でした。
畑のある土地
ボルゲリの土地は、ロドヴィーコの母の実家、デッラ・ゲラルデスカ家(della Gherardesca)のものでした。この一族は、トスカーナの海岸沿いに広い土地を持っていました。同じ一族の娘と結婚したのが、近くでサッシカイアをつくっていたテヌータ・サン・グイドのマリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ(Mario Incisa della Rocchetta)です。ロドヴィーコから見れば、マリオは叔父、サッシカイアを継いだニコロは従兄にあたります。
農園の公式サイトは、この土地の一部はかつて海の底にあり、砂と泥灰土(粘土を含む石灰質の土)、海の生き物の化石が残っていると説明しています。少し高いところでは粘土が現れ、大小の石灰質の小石が混じります。畑は何十もの小さな区画に分かれ、多くは南西を向いていて、海に沈む夕日の最後の光まで受けるそうです。畑のまわりには、地中海沿岸の低木の茂みと林が広がっています。

英国のワイン誌の記事によれば、ロドヴィーコが畑を植え始めた1980年代のはじめ、ボルゲリの多くはオリーブや果樹、野菜の畑で、ぶどうはそのあいだに混じる作物のひとつでした。
歩み
ロドヴィーコは1943年に生まれ、兄のピエロは、のちにフィレンツェの家業マルケージ・アンティノリ(Marchesi Antinori)を率いる人です。ロドヴィーコは1966年から1970年までニューヨークで、家のワインを扱う輸入元に勤めました。2015年の英国のワイン誌の取材では、そのころカリフォルニアでワインをつくることを考えていたと話しています。
1981年、ロドヴィーコはロシア生まれのアンドレ・チェリチェフ(André Tchelistcheff)を、ボルゲリのあるマレンマ(Maremma)に招きます。カリフォルニアで名の知られた醸造家で、その答えはすぐに出たそうです。
カリフォルニアのことは忘れなさい。ここが黄金郷だ。
ロドヴィーコは、母から受け継いだボルゲリの土地にぶどうを植え始めます。叔父の農園がサッシカイアだけをつくっていたのに対し、彼はチェリチェフの勧めで、より多くの品種を植えました。カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)とメルロ(Merlot)が中心で、トスカーナの代表的な黒ぶどうであるサンジョヴェーゼ(Sangiovese)は主役にしませんでした。ロドヴィーコはのちに、ここのサンジョヴェーゼは「なぜ私を飲むのか、と言っているようだ」と話しています。
最初のオルネッライアは、1985年に収穫した分です。1987年には、メルロだけでつくる単一畑のマッセート(Masseto)も生まれました。1992年からは、村の北にあるベッラリア(Bellaria)の土地にも畑を広げます。こちらは石が多く、ゆるやかに傾いていて、水はけがよいと、のちの醸造責任者は話しています。
ロドヴィーコはのちに、オルネッライアが評判を得たことで、ボルゲリが優れた土地だと認められ、独自の原産地呼称(その名前を名乗ってよい土地と造り方を、国が定めたもの)が生まれたと振り返っています。張り合う相手は、兄よりもむしろサッシカイアだったとも話しています。
農園は2000年前後からアメリカのモンダヴィ社が株を持つようになり、2005年にフレスコバルディ家がただ1人の持ち主になりました。ロドヴィーコはその後、ボルゲリの谷向かいの丘で、兄ピエロと新しい農園を始めています。オルネッライアの公式サイトの歴史のページには、いまは創業者の名前が出てきません。
代表的なワイン
オルネッライア(Bolgheri DOC Superiore)は、農園の名前を付けた赤ワインです。ボルゲリの呼称のうち、2年以上の熟成を求められる「スペリオーレ(Superiore)」で出しています。英国のワイン誌の記事では、カベルネ・ソーヴィニヨンを半分あまり、メルロを2割あまりに、カベルネ・フラン(Cabernet Franc)とプティ・ヴェルド(Petit Verdot)を合わせ、およそ18か月を樽で過ごすとされています。2023年の醸造家の説明は、色は深く鮮やかなルビー、香りはブルーベリーやブラックベリーに、炒ったアーモンドやカカオ、地中海の低木の香りが重なり、口当たりはふくよかでなめらかとしています。毎年1人の芸術家がその年の性格を表すラベルや作品をつくる「ヴェンデミア・ダルティスタ(Vendemmia d’Artista=芸術家の収穫)」が続いています。
レ・セッレ・ヌオーヴェ・デル・オルネッライア(Le Serre Nuove dell’Ornellaia)は、1997年に始まった2番目の赤ワインです。公式サイトは、同じ品種、同じ空の下でつくる「誇りある2番目のワイン」としています。いまの公式の表示はトスカーナIGT(州の中でつくればよい地理的表示)ですが、調査時点(2026年10月6日)の楽天市場には、2021年のものを「DOCボルゲリ・ロッソ」として売る店もありました。
レ・ヴォルテ・デル・オルネッライア(Le Volte dell’Ornellaia, Toscana IGT)は、いちばん手に取りやすい赤ワインです。白ワインには、ソーヴィニヨン・ブランを主にしたポッジョ・アッレ・ガッツェ・デル・オルネッライア(Poggio alle Gazze dell’Ornellaia, Toscana IGT)などがあります。
調査時点(2026年10月6日)に楽天市場で確認できた750ミリリットルの価格は、レ・ヴォルテの2023年が4,000円台から5,000円台、レ・セッレ・ヌオーヴェの2022年が8,000円台後半から1万2,000円ほど、ポッジョ・アッレ・ガッツェの2024年が1万2,000円台、オルネッライアの2022年が2万7,000円から4万3,000円ほどで、4万円前後の店が多くを占めていました。

訪ねるには
オルネッライアは、予約制のガイド付き見学を受け入れています(2026年10月6日時点の公式サイト)。門を入ると、昔からの畑と醸造所を回り、ヴェンデミア・ダルティスタの芸術家たちの作品、小さな樽の並ぶ熟成庫を見て、農園の古い年のワインを納めた「アルキヴィオ・ストリコ(Archivio Storico=歴史の書庫)」まで案内される流れです。夕暮れから始まる食事会や、畑の中のピクニックの案内もあります。
料金は公式サイトの案内ページには書かれておらず、予約の画面で確かめる形です。所在地はボルゲリの集落の近く(Località Ornellaia 191)です。ボルゲリの村や糸杉の並木道と合わせて回る場合も、事前に公式の予約ページで日時を確認してください。
