ルミエールワイナリーとは?
ルミエールワイナリーは、山梨県笛吹市一宮町(いちのみやちょう)の南野呂(みなみのろ)にあるワイナリーです。会社は1885年(明治18年)の創立としています。勝沼の町から国道20号を甲府の方へ2キロほど行った、甲府盆地の東側のゆるやかな斜面にあり、ショップとレストランのまわりに自社のぶどう畑が広がっています。社名のルミエール(Lumière)はフランス語で「光」のことで、会社は日本のワイン文化に光を与える存在でありたいと説明しています。
ここには、1901年(明治34年)に花崗岩を積んで地下に築いた発酵槽が残っています。会社が「石蔵発酵槽」と呼ぶもので、国の登録有形文化財になり、文化庁が認定した日本遺産「葡萄畑が織りなす風景」の構成文化財にも入っています。そして、いまもこの石の槽でワインが仕込まれています。
扇状地に築いた石の発酵槽
公式サイトによれば、ルミエールの畑は、日川(ひかわ)や京戸川(きょうどがわ)が山から運んできた土砂が積もってできた扇状地の上にあります。表土の下には花崗岩の礫や砂が重なり、岩は「花崗閃緑岩」と、砂岩・頁岩・粘板岩です。花崗閃緑岩はもとはとても固い岩ですが、風化するとぼろぼろに崩れやすく、水はけがよくて、ぶどうの根が深く張れるすき間があるといいます。地下15メートルには伏流水が流れていて、会社はこの土を「日本でも、最もぶどう栽培に恵まれた土壌条件」と書いています。自社の畑では、草を生やしたまま育て、土を耕さずにいます。
石蔵発酵槽は、この扇状地の傾きを利用して造られました。会社の説明では、東京で「神谷バー」を開き、茨城県の牛久でワイン醸造場(いまの牛久シャトー)を築いた神谷傳兵衛(かみや でんべえ)の指導を受けたもので、ヨーロッパの型にならった横蔵式の地下発酵槽としては日本で初めてのものだったとしています。

温度を管理する機械の無かった時代に、地中の温度の安定を利用して発酵を落ち着かせようとした設備だと、会社は説明しています。この槽で仕込むのが、マスカット・ベーリーAの赤ワイン「石蔵和飲(いしぐらわいん)」です。見学ツアーでは、畑と醸造棟とともに、この発酵槽と地下のセラーを見て回ります。
畑を見渡す場所には、ワイナリーレストラン「ゼルコバ(Zelkova)」があります。店の名前はケヤキの学名で、会社は約900年この地に立ち続けてきたケヤキにちなむとしています。窓からはぶどう畑と南アルプスが見え、夜は甲府の街の灯りが見えるといいます。料理は山梨の食材を使ったフレンチで、2026年秋のコースには、「富士の介」や県産の牛肉、シャインマスカットが使われていました。
歩み
創立者の降矢徳義(ふるや とくよし)は、1885年に「降矢醸造場」を始めました。1895年に次男の降矢虎馬之甫(こまのすけ)が社名を「信玄印甲州園」とし、1901年に石蔵発酵槽と地下の貯蔵庫ができました。会社の年表には、1909年に日本の南極探検隊にワインを寄付し、長い航海のあとも品質が落ちなかったとして感謝状を贈られた、という話も残っています。
1943年に株式会社甲州園となり、1957年には、経営を立て直すために塚本俊彦が入社しました。経済学を学んできた塚本は、醸造を初歩から学んだといいます。1976年に社長となり、1983年からはスロベニアの首都リュブリャナの国際ワインコンクールで審査員を務めました。会社によれば、2006年にはこのコンクールで最も優れた赤ワインに贈る「ツカモト賞」が設けられています。
1992年に社名をいまの「ルミエール」に改め、2005年に木田茂樹が社長に就きました。2006年に新しい醸造棟、2010年に新しい社屋とレストラン「ゼルコバ」ができています。会社の年表は、2021年に「光 甲州2018」が英国の国際ワインコンクール、デキャンター・ワールド・ワイン・アワードでプラチナ賞を受けたと書いています。
代表的なワイン
会社が創立のころからの教えとして掲げるのは「本物のワインを造るには本物のブドウを育てること」です。ショップには40種類を超えるワインが並び、山梨の甲州(こうしゅう)でつくる白ワインやスパークリングワインから、ヨーロッパ系の品種を樽で熟成させた赤ワインまであります。甲州は山梨で古くから育てられてきた日本のぶどうの品種です。
光 甲州(ひかり こうしゅう)は、自社の畑の甲州を樽で発酵させ、22か月樽で熟成させた白ワインです。カリンやアプリコットのような香りにほどよい樽の香りが重なり、まろやかな果実味と柔らかな酸のある、コクのある辛口とされています。
スパークリング 甲州は、ワイナリーのある南野呂の甲州を、瓶の中でもう一度発酵させて泡を生み、20か月熟成させてから仕上げています。きめの細かい泡と、和の柑橘のようなすがすがしい香りが特徴です。
石蔵和飲は、山梨県産のマスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A、ラベルの表記は「ベイリーA」)を石蔵発酵槽で仕込んだ限定の赤ワインです。マスカット・ベーリーAは、新潟の川上善兵衛が生み出した日本の黒ぶどうです。苺のような香りと酸に柔らかな渋みのある、親しみやすい味わいだと会社は書いています。
シャトールミエールの赤ワインは、タナ(Tannat)やメルロー、カベルネ・ソーヴィニヨンなどを小さな樽で15か月熟成させた、重めの赤ワインです。ダークチェリーのような香りにバニラのニュアンスがあり、豊かな渋みと酸が溶け込んでいます。
調査時点(2026年10月27日)の公式通販の税込価格は、石蔵和飲 2024 が2,420円、スパークリング 甲州 2023 が3,520円(入荷待ち)、シャトールミエールの赤ワイン 2016 が4,400円、光 甲州 2023 が4,730円でした(いずれも750ミリリットル)。

