グレープリパブリックとは?
グレープリパブリック(GRAPE REPUBLIC)は、山形県南陽市の新田(しんでん)にあるワイナリーです。2015年に会社を設立してぶどうを育て始め、2017年9月に醸造施設が完成しました。
このワイナリーの仕込みの中心にあるのは、スペインから直接輸入した陶器のかめ17基です。会社はこれを「アンフォラ(anfora)」と呼んでいます。公式サイトによれば、収穫したぶどうを機械で実と枝に分けたあと、足で踏んで潰してアンフォラに入れ、ほかの菌が入らないよう二酸化炭素とともに密閉すると、ぶどうが自分で発酵してワインになるといいます。
会社はこの造りを「Made from 100% Grapes」という言葉で表しています。原料は南陽の風土で育ったぶどうだけで、ぶどうの栽培にも、除草剤や殺虫剤などの農薬、肥料を使っていません。醸造でも、酸化防止剤を加えず、糖や酸を足さず、発酵には自然の酵母だけを使っています。
デラウェアの町の丘
公式サイトは、南陽市を「北に丘陵、南に沃野が広がる」土地と紹介しています。1日の寒暖の差が大きく、湿度が低く、土の水はけがよいことから、ぶどうづくりに向いているといいます。
南陽でもともと名産として育てられてきたのは、食べるためのぶどうのデラウェアです。グレープリパブリックもデラウェアを主に育てていて、看板の白ワインの多くはデラウェアから生まれています。2019年と2020年には、カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロ、カベルネ・フラン、サンジョヴェーゼ、ネッビオーロ、ガメイ、アルバリーニョ、ソーヴィニヨン・ブランなど、ヨーロッパのワイン用の品種も植えました。
公式サイトの説明では、自社で育てている畑は合わせて3ヘクタールで、足りない分は地元の農家からぶどうを買っています。ヨーロッパの品種から取れる量はまだ少ないものの、年々増えているそうです。
会社がこの町で目指しているのは、ワインをつくることだけではありません。南陽でも耕す人のいない畑が目立つようになり、ここで質の高いぶどうとワインをつくることで、新しく農業を始める人や新しいワイナリーを呼び込み、その畑をよみがえらせたいと書いています。社名の「グレープリパブリック」は「ぶどう共和国」のことで、町全体をそう呼べるようなワイン産地にしたい、という願いを込めています。
歩み
2015年8月に株式会社グレープリパブリックが設立され、同じ年にぶどうの栽培を始めました。畑は、最初から有機農業で耕しています。2017年9月には醸造施設が完成し、アンフォラでの仕込みが始まりました。
醸造の責任者は、1989年に神戸市で生まれた矢野陽之(やの はるゆき)です。調理師学校を出て神戸のイタリア料理店で働き、ソムリエの資格を取ったあと、イタリア、オーストラリア、ニュージーランドでぶどうの栽培とワインの醸造を学びました。ニュージーランドでは、グレープリパブリックの助言役でもあるアレックス・クレイグヘッド(Alex Craighead)に師事しています。2018年に帰国して南陽市に移り住み、2019年から醸造責任者を務めています。
2024年8月には、初めての飲食店「グレープリパブリック ヴィネリア サローネ」を神奈川県鎌倉市の小町に開き、自社のワインを売るショップも併設しました。
代表的なワイン
ビアンコ(Bianco)は、山形県産のデラウェアだけでつくる辛口の白ワインです。2024年産は、果皮ごと12時間漬け込んでうまみを引き出し、ぶどうを房ごと密閉して発酵させる「マセラシオン・カルボニック(macération carbonique)」で仕込んだデラウェアを少し加えています。色は麦わら色がかった黄色で、洋梨やリンゴの香りにトロピカルフルーツの余韻が重なり、熟したグレープフルーツのようなさわやかな酸があるとされています。暑い年だったため、デラウェアを早めに摘んで酸を残したと会社は説明しています。アルコール分は11.5%です。
アンフォラ ビアンコ(Anfora Bianco)は、デラウェアにナイアガラとロザリオ・ビアンコを合わせ、アンフォラで8か月寝かせた辛口の白ワインです。色はゴールドがかった黄色で、マスカットのようなさわやかな香りが、アンフォラでの熟成でやわらかく立ち上るといいます。青リンゴのようなみずみずしさに、甘夏のような柑橘の酸と、ジャスミン茶のようなほのかな渋みが重なります。
ヌメロ チンクエ(numero cinque)は、南陽市新田の自社の畑で育てたメルロ、サンジョヴェーゼ、ネッビオーロからつくる赤ワインです。3品種をいっしょに仕込み、古い樽で10か月熟成させています。イチゴやプラムのような赤い果実の香りに、樽からのほのかなスモーキーさが加わり、酸はおだやかで渋みもやわらかいとされています。鰤の照り焼きのような料理がすすめられています。
調査時点(2026年11月3日)の公式オンラインショップの税込価格は、いずれも750ミリリットルで、ビアンコ 2024が3,190円、アンフォラ ビアンコ 2024が3,960円、ヌメロ チンクエ 2024が4,620円でした。
