Vino Storia

ワインのお話

北海道 / 余市

ドメーヌタカヒコ

Domaine Takahiko

果樹の森だった余市の丘にピノ・ノワールだけを植え、家族で畑と小さな蔵を守っているワイナリーです。

  • 見学 不可
垣根に仕立てたぶどうの木が斜面に何列も並び、奥に町並みと海に突き出た岬が見える
写真: daita saru / CC BY 2.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

見学・予約

見学
不可(ワイナリーと畑の一般の見学は受けていない

営業案内

試飲
なし(試飲・直売は行っていない。展望台で年に数回、試飲や限定品の販売を行う予定と案内)
ショップ
なし(全量を契約酒販店で販売)

訪ねてよいのはナナツモリ展望台だけです。畑の中やワイナリーの周りへの立ち入りは禁じられていて、公式サイトはドメーヌに来る前に必ず連絡するよう求めています。地図にはワイナリーではなく「ナナツモリ展望台」を入れてください。
ワインは全国の契約酒販店だけで売られています(公式サイトの「販売店/取扱店」に一覧)。余市駅の周りや札幌には、公式サイトが「タカヒコのワインが飲める店」として挙げる飲食店があります。
ワイナリーの中を見られるのは、毎年10月の収穫ボランティアの参加者向けのツアーだけです(2026年は9日間、各日約40名。募集開始から約5分で定員に達したと案内)。 情報は2026年11月3日時点で公式サイトなどから確かめたものです。条件は変わるため、お出かけの前に公式サイトでご確認ください。

アクセス

住所
北海道余市郡余市町登町
車で
ナナツモリ展望台は、中井観光農園の入口の近く、ニトリ観光果樹園から南へ約400メートルの公道沿い。醸造所とは別の場所
駐車場
ナナツモリ展望台に駐車場あり

ワイナリーの話

ドメーヌタカヒコとは?

ドメーヌタカヒコ(Domaine Takahiko)は、北海道余市町の登町(のぼりちょう)にあるワイナリーです。曽我貴彦(そが たかひこ)さんが家族と小さな蔵を営み、自分の畑「ナナツモリ」ではピノ・ノワール(Pinot Noir)という黒ぶどうを育てています。

「ドメーヌ(Domaine)」は、フランス語で自分の畑のぶどうからワインを造る生産者を指す言葉です。公式サイトで曽我さんは、日本人なのになぜ日本の言葉を使わないのかと今も自問していると書いたうえで、フランスの伝統の中で生まれたこの言葉の重さで自分を縛りたいのだと説明しています。名前に自分の名前を入れたのも、ワインは会社がつくるものではなく、自然を理解しようとする人間がつくる作品だと考えているからだといいます。

公式サイトが掲げる理想は、日本の風土に合い、日本の食卓に溶け込むワインです。果実の味よりも森のような繊細で複雑な香りを、ミネラル感よりもうま味を大切にしたい、と書いています。


果樹の森だった丘

余市町は、北海道の日本海側、積丹(しゃこたん)半島の付け根にある町です。雑誌『サライ』の取材記事(2017年)によれば、余市は海の影響で北海道の中では比較的暖かく、雨も少なめです。春から秋には内陸の羊蹄山(ようていざん)の方から南西の風が吹くため、ぶどうが病気になりにくいといいます。明治の頃から果樹の産地として知られてきました。

曽我さんが畑を買ったのは、年をとって畑を手放したいという果樹農家からでした。そこには、さくらんぼやりんご、プルーンなど7種類の果樹が植わっていたといいます。公式サイトは、7種類の果樹が育つ森だったこの畑の歴史を伝えるために、「ナナ・ツ・モリ(七ツ森)」と名づけたと書いています。2017年の取材の時点では、標高60メートルほどの南東向きの丘に4.6ヘクタールの畑があり、2.5ヘクタールにぶどうが植わっていました。公式サイトのワインリストは、いまの畑を6.7ヘクタールとしています。ナナツモリの畑はすべて有機栽培(ビオ)で管理されています。

この丘に余市のワイン用ぶどうの土台をつくったのは、地元の果樹農家たちでした。nippon.com の記事(2025年)によれば、1983年、7軒の果樹農家がりんごの木を切ってワイン用のぶどうの苗を植え、のちに「七人の侍」と呼ばれるようになります。曽我さんは同じ記事で、彼らのぶどうの質の高さと、余市がワイン用ぶどうの産地として出来上がっていたことが、余市を選んだ大きな理由だったと話しています。


歩み

曽我さんは長野県の出身で、実家は長野県の小布施(おぶせ)町のワイナリーです。独立する前は、栃木県足利市のココ・ファーム・ワイナリーでぶどうの栽培を担当していました。『サライ』の記事によれば、海外から輸入していたぶどうをすべて国産に切り替える時期に、日本各地のぶどう畑を回ったことで、北海道でも酸と熟度をあわせ持ったよいぶどうが育つと知ったといいます。

決め手になったのは、余市の農家、木村忠さんが育てたピノ・ノワールでした。2008年の木村農園のぶどうの一部は、当時長野の実家に身を寄せていた曽我さんの手に渡り、自ら手がけた最初のワインになったと nippon.com は書いています。畑の候補地は50か所を超えましたが、曽我さんは余市の中井観光農園で1年間の研修を受けたあと、2010年に登町の畑を買いました。自分の畑のぶどうが育つまでは、木村農園などのぶどうを買ってワインを造っています。

2014年には、曽我さんの発案で、9月はじめに余市のぶどう畑を開く「La Fête des Vignerons à YOICHI」が始まりました。2020年2月、「ナナツモリ ピノ・ノワール 2017」がデンマークのレストラン「ノーマ」のワインリストに載ったことで、北海道のワインが世界に知られるようになった、と nippon.com は伝えています。曽我さんのもとで学んで独立する人も増え、中井観光農園の中井瑞葵さんは、ドメーヌタカヒコで2年間の研修を受けたあと、2023年に自分のワイナリーを立ち上げました。


代表的なワイン

ナナツモリ ピノ・ノワールは、ドメーヌタカヒコがいちばん上に置くワインです。公式サイトによれば、2024年はナナツモリのピノ・ノワールだけを、房ごとタンクに入れて野生の酵母で発酵させ、古い樽を中心に12か月熟成させました。香りはクミンやシナモンのようなスパイスに黒い果実、草花やキノコの香りが重なり、うま味をともなう長い余韻が続くと書かれています。瓶詰めは12,500本で、公式サイトは2027年4月までは開けずに待ち、理想は4年以上寝かせてから、と勧めています。

ナナツモリ パストゥグランは、2021年からナナツモリに植えたツヴァイゲルト(Zweigelt)を、ピノ・ノワールと合わせた赤ワインです。ツヴァイゲルトは余市を代表する赤ワイン用の品種で、ピノ・ノワールだけのワインより色が濃く、タンニン(渋み)もしっかりしています。

ヨイチノボリ パストゥグランは、登地区の契約農家から買ったぶどうで造る赤ワインです。自分の畑のぶどうではないため、ラベルには「Domaine Takahiko」ではなく「Takahiko Soga」とだけ書かれています。

基本情報

創業
2010年(曽我貴彦が余市町登町に畑を買い、ドメーヌを立ち上げた年)
人物
曽我貴彦(代表。栽培・醸造)
代表的なワイン
ナナツモリ ピノ・ノワール / ナナツモリ パストゥグラン / ヨイチノボリ パストゥグラン
公式サイト
takahiko.co.jp

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