ぼんじゅーる農園とは?
ぼんじゅーる農園(Bonjour Nouen)は、長野県東御市(とうみし)の祢津(ねつ)地区にある、小さなワイナリーです。ぶどうを育てる農園と醸造所、予約制の直売所を、ひとつの屋号のもとで営んでいます。醸造所には「Domaine A. et Y. Minowa」というフランス語の名前もあります。
農園主の蓑輪康(みのわ やすし)は、医師として長く医療に携わってきた人です。ワインの愛好家でもあった蓑輪は、2008年に長野へ移ってぶどうを植えはじめました。自分の醸造所を開いたのは、それから13年後の2021年です。農園は「自園のぶどうだけでワインを造る醸造所(ドメーヌ)」を目指していて、本当に満足のいくぶどうが穫れるまで醸造所の設立を控えてきたと書いています。
ラベルには、品種名の前に「鞍掛」「祢津」「出場」「御堂」と、畑のある地区の名前が入ります。いつか自分たちのワインが地域の誇りとなる「地元の味」として食卓に届くように、という願いからだと農園主は記しています。
浅間の火山がつくった南向きの斜面
畑は東御市の北部、鞍掛(くらかけ)と祢津の地区にあります。農園によれば、なだらかな南向きの斜面で、日当たりと水はけに恵まれています。土は、有史以前の浅間烏帽子火山群(あさまえぼしかざんぐん)の噴火や地殻の動きでできたもので、区画ごとに性質が違うといいます。ピノ・ノワール、シャルドネ、アリゴテは、鞍掛のぶどうと祢津のぶどうを分けて仕込み、別々の銘柄にしています。土地の違いを、そのままワインの違いとして飲み比べられるようにするためです。
育てている品種は、ピノ・ノワール(Pinot Noir)、ガメ(Gamay)、ピノ・ムニエ(Pinot Meunier)、シャルドネ(Chardonnay)、アリゴテ(Aligoté)、ピノ・ブラン(Pinot Blanc)で、作付けはおよそ3ヘクタールです。
病気を防ぐために、巻きひげを取りのぞいたり、病気にかかった枝を焼いたりと、手間のかかる作業を続けているそうです。化学肥料や化学農薬にはできるだけ頼らず、病気を恐れて早めに摘み取ることもせず、ぶどうが十分に熟すのを待つ方針です。
畑の一部は一般に公開されています。案内のスタッフはいませんが、公式サイトのアクセスのページに畑ごとの緯度と経度が載っていて、現地には農園のロゴ「丸にぼん」を描いた小さな看板が立っています。まわりはほかの農家の畑と接しているので、その看板で区画を見分けてほしいということです。
歩み
農園は2008年に佐久市で始まりました。2010年に東御市にも畑を広げ、2011年には畑をすべて東御市へ移しています。このころの栽培面積は0.6ヘクタールほどでした。
醸造所を持たない間は、ほかのワイナリーにワインを造ってもらいました。農園の年表では、事業として醸造を委託しはじめたのが2013年、ワインを売りはじめたのが2014年です。2017年にはファンクラブをつくり、醸造所の準備に入りました。会費はワイン代の前払いとして扱われ、会員は毎年ワインを受け取るほか、収穫や苗植えの手伝いにも加わります。2025年のピノ・ノワールの収穫では、会員も畑に入ったと農園は書いています。
2021年3月に果実酒の製造免許を取り、醸造所を開きました。翌2022年に、自分の畑のぶどうだけで造って瓶に詰めた「鞍掛」と「祢津」を初めて出し、2024年に「出場(でば)」、2025年には新しく開いた御堂(みどう)地区の畑の「御堂」と、スパークリングワインの「ミノワ」が加わりました。2024年からは「鞍掛」と「祢津」の輸出も始めています。
事業はいまも個人で営まれ、専従は3人です。農園は、いずれ法人にして畑を自分で所有し、言葉の狭い意味でもドメーヌになることを目標に掲げています。
代表的なワイン
農園は醸造の目標を「日常的な食事に合わせやすいワイン」としています。ワインにとって大切な、適度な酸と新鮮な果実味を損なわないように気をつけているそうです。
祢津 ピノ・ノワールは、祢津地区のピノ・ノワールでつくる赤ワインです。フランス産のオーク樽で8か月熟成させています。重さは中くらいのミディアムボディで、辛口です。同じ品種を鞍掛地区で育てた「鞍掛 ピノ・ノワール」もあります。
鞍掛 シャルドネと祢津 シャルドネは、同じ品種を地区ごとに分けて仕込んだ辛口の白ワインです。アリゴテも二つの地区で別々に出していて、ウェブショップには飲み比べのセットがあります。
出場 ガメは、出場地区のガメでつくる赤ワインです。ピノ・ノワールと同じく、皮や種を果汁に漬けたまま発酵させる伝統的な造り方で、しっかりした色調と優美な質感を目指していると農園は説明しています。
ミノワ レ・クリュ ブリュットは、鞍掛と祢津のシャルドネとピノ・ノワールからつくる辛口のスパークリングワインです。
御堂 ブランは、御堂地区の新しい畑で穫れたピノ・ノワール、ピノ・グリ(Pinot Gris)、ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)、リースリング(Riesling)を一緒に仕込んだ白ワインです。2025年からは、同じ畑の赤ワイン「御堂 ルージュ」も出ています。
2025年は9月に雨の少ない日が続いたので、収穫を例年より10日ほど早め、9月9日から10月10日にかけて摘み取ったと農園は記録しています。この年のワインは11の銘柄になる予定です。
調査時点(2026年10月27日)の公式ウェブショップの税込価格は、御堂 ブラン(2025年、750ミリリットル)が2,860円、祢津 シャルドネと鞍掛 シャルドネ(2025年、同)が4,400円、出場 ガメ(2025年、同)が5,500円、ミノワ レ・クリュ ブリュット(同)が6,600円でした。祢津 ピノ・ノワールの2024年(4,400円)は売り切れていました。
