ベルウッドヴィンヤードとは?
ベルウッドヴィンヤード(BELLWOOD VINEYARD)は、山形県上山市(かみのやまし)の久保手(くぼて)にある小さなワイナリーです。代表の鈴木智晃(すずき ともあき)さんが、少人数でぶどうを育て、ワインを仕込み、ショップを開けています。
鈴木さんは、地元山形のワイナリーで19年間、醸造と栽培に携わってきた人です。そのうちに、ぶどうを育てるところから、ワインを造り、売るところまでを自分でやりたいと考えるようになり、2017年に独立して、久保手で新たに農業を始めました。最初に手がけたのは、跡を継ぐ人のいなかったデラウェア(Delaware)の畑です。
ラベルは手紙の切手をかたどっています。公式サイトはその考えを、こう書いています。
一杯のワインは、山形・上山の風土を綴った「お便り」です
久保手の畑と、ダムの中の貯蔵庫
ワイナリーは、国道458号から西へ1本入った市道沿いにあります。近くにはコストコの上山店があり、そこから坂を上った先に、ワイナリーが「ポツンと」建っていると公式サイトは案内しています。看板は出していません。
畑の始まりは2017年の春です。後継者のいないデラウェアの畑45アールを引き継いでワイン用に育て始め、隣の耕作放棄地20アールには、ピノ・ノワール(Pinot Noir)、ピノ・グリ(Pinot Gris)、メルロ(Merlot)を植えました。その後も植え替えを進め、2021年の時点で、ヨーロッパ系の品種が約90アール、種のあるまま育てるデラウェアが約10アールになっています。ヨーロッパ系は、ピノ・ノワール、ピノ・グリ、ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)、メルロ、カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)、アルバリーニョ(Albariño)、プティ・マンサン(Petit Manseng)の7品種です。
このワイナリーにしかない貯蔵庫が、上山市の山あいにある前川ダムの中にあります。

山形県の資料によれば、県は管理するダムの中で酒を貯蔵する実験を2024年9月から始めました。日本酒の蔵が蔵王ダムを、ワイン会社1社が前川ダムを使い、前川ダムには2024年9月20日と10月2日の2回で、約4,500本のワインが運び込まれています。1983年にできた前川ダムは、岩や土を積み上げた「ロックフィル」という形式で、中には管理用の通路(監査廊)がいくつも通っています。その中は一年を通して10℃ほどに保たれているといいます。電気を使わずに冷涼さを保てることも、県がこの実験の狙いに挙げている点です。
ベルウッドヴィンヤードは、このダムで熟成させたワインを「ダム熟成 Élevage en barrage(エルヴァージュ・アン・バラージュ、フランス語で「ダムでの熟成」)」として、2026年5月16日に売り出しました。公式サイトは、光も振動も届かない静けさの中で眠ったワインが、角が取れてまろやかになったと書いています。同じ日にかみのやま温泉で開かれた「山形ワインバル」では、県の発表どおり、ベルウッドヴィンヤードのブースでダム貯蔵のワインが約300杯分振る舞われました。
歩み
2017年に独立した鈴木さんは、最初の3年間、ほかの醸造所に仕込みを頼む委託醸造でワインを出しました。この年の5月にピノ・ノワールを植え、翌2018年にソーヴィニヨン・ブラン、2019年にカベルネ・ソーヴィニヨンを植えています。デラウェアの房に笠をかける作業や収穫には、応援する人たちが手伝いに来ていました。
2020年に念願の自社のワイナリーが完成し、その秋から自分の醸造所での仕込みが始まりました。ワイナリーショップは2020年11月14日に開きました。鈴木さんは、とりあえずの形で開け、手が空いたときに少しずつ手づくりで仕上げていると書いています。
2024年には、応援する人を会員として迎える「サポーター制度」を始めました。猛暑の中の農作業や、直前まで決まらない収穫日に、遠くの人へ手伝いを頼む難しさがあり、2025年度は募集を見送ったと、鈴木さん自身が公式サイトで書いています。2026年度は「ENTRE NOUS(アントレ・ヌ、フランス語で「私たちのあいだで」)」の名前で、ワインのセットや、ショップでの割引を中心にした形に改めて再開しました。
代表的なワイン
ワインは、いくつかのシリーズに分けて出しています。名前の多くはフランス語です。
コレクション ヴァンペティアン(Vin Pétillant)は、フランス語で「微発泡のワイン」を意味するシリーズです。デラウェアのブラン(白ワイン)とオランジュがあり、2026年10月10日に2026年のぶどうのものが発売されました。オランジュはフランス語で「オレンジ」のことです。ほかに、マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)やロゼの「ル・ペタル(花びら)」なども、このシリーズで出ています。
コレクション スペリオールには、甲州(Koshu)やソーヴィニヨン・ブラン、ピノ・ノワールとブラック・クイーンを合わせた赤ワインなどが並びます。日常向けのコレクション クラシックには、マスカット・ベーリーAの赤ワインやロゼがあります。
ドメーヌ クロッシュとキュヴェ デ ザミは、熟成させてから出すシリーズです。調査時点のネットショップには、ドメーヌ クロッシュの2021年のデラウェア オランジュや、キュヴェ デ ザミの2021年のマスカット・ベーリーAが出ていました。ダム熟成のワインも、この二つのシリーズの名前で出ています。
味わいの説明は商品ページにあるはずですが、年齢の確認の画面で止まり、調査では読めませんでした。
調査時点(2026年10月27日)の公式ネットショップの税込価格は、ヴァンペティアンのデラウェア ブランとオランジュ(2026年)が2,420円、スペリオールの甲州(2025年)が2,750円、ドメーヌ クロッシュのデラウェア オランジュ(2021年)が4,400円、ダム熟成のソーヴィニヨン・ブラン(2023年、ドメーヌ クロッシュ)が4,400円、ダム熟成のメルロ(2021年、キュヴェ デ ザミ)が5,500円でした。容量は商品ページで確かめられていません。

