ふらのワインとは?
ふらのワイン(Furano Wine)は、北海道富良野市の清水山(しみずやま)にあるワイン工場で、正式には「富良野市ぶどう果樹研究所」といいます。富良野市が経営する、いわゆる自治体ワイナリーです。山の中腹に建つレンガ造りの建物で、ぶどうを仕込み、樽や瓶で寝かせ、瓶に詰めるところまでを行っています。
公式サイトによれば、1960年代の富良野には、野山に自生する山ぶどうのほかに、ぶどうの木はありませんでした。それでも「ワインの本場・ヨーロッパと気候風土が似ている」という理由でワイン造りへの機運が高まり、市は醸造用のぶどうを育てるところから始めました。いまも、使うぶどうは全て富良野産だと書いています。輸入したぶどうを使うワイナリーもある中で、「ワイン事業による地域の農業振興」という最初の方針を守っているという説明です。
石の多い畑と、深い雪
最初のぶどう畑は、1973年に山部(やまべ)地区の石の多い土地に拓かれました。富良野のぶどうの多くは、いまも市内の契約農家が育てています。
公式サイトは、上御料(かみごりょう)地区の森口英昭さんの話を載せています。粘土質で固い土に石がごろごろと混じり、雪解けは遅く、吹きだまりでは見上げるほどの雪に埋もれる土地で、ぶどうが育つかどうか半信半疑で始めたそうです。いまは土地ごとに合う肥料を、最低3年かけて比べて選んでいるといいます。
2006年から10年間、富良野市醸造用ぶどう耕作組合の組合長を務めた山部の天間幸博さんは、何をどう作ればよいか分からなかった始まりのころを「手探り状態でしたね」と振り返っています。畦や土手、使っていない畑でも作れると思われていたぶどうが、1980年代から一つの作物として管理されるようになりました。2007年に研究所が選果の仕組みを入れると、それまで通っていた質の実がはじかれるようになり、そこから生産者全員と1対1で話し合ったと書かれています。

歩み
1972年に富良野市ぶどう果樹研究所が置かれ、ワインの試験醸造が始まりました。1975年にフランス生まれの交配品種「セイベル(Seibel)」系の2品種をワインの原料に決め、1976年にワイン工場ができています。スキーのワールドカップなどで試作品を出したあと、1978年に「ふらのワイン」として売り出しました。果実酒の製造免許が下りたのは1980年です。
山ぶどうは、富良野の野山に昔から自生していました。研究所はこの糖度の高い山ぶどうを、セイベル13053と掛け合わせて新しい品種をつくり、「ふらの2号」と名付けています。この品種を使った赤ワイン「羆の晩酌」が出たのは2001年です。
2005年には、木についたまま自然に凍ったぶどうを搾るアイスワインを、富良野の寒さを活かして売り出しました。研究所はこれを「国内初となる商品化」と書いています。2017年には研究所が市の経済部から独立した部になり、2022年に設立50年を迎えました。
代表的なワイン
羆の晩酌(ひぐまのばんしゃく)は、ふらの2号とツヴァイゲルトレーベ(Zweigeltrebe)でつくる赤ワインです。樽で1年、瓶で1年寝かせ、山ぶどうらしいコクと酸があるとされています。720ミリリットルで3,080円です。
ツバイゲルトレーベ アシリフラヌイは、清水山の直営の畑で採れたツヴァイゲルトレーベだけを使い、畑から採った野生の酵母で3週間ほど発酵させた赤ワインです。ブルーベリーやカシスのような黒い果実、スミレ、メントールの香りがあり、飲み口は軽く、酸がよく伸びると説明されています。「アシリフラヌイ」はアイヌ語の「新しい富良野」から付けた名前で、野生酵母を使う特別なシリーズです。2024年の瓶は、日本ワインコンクール2026の欧州系品種の赤ワインの部門で金賞を受けました。研究所は「北海道勢初の赤ワインでの金賞」と書いています。750ミリリットルで4,070円です。
いちばん手に取りやすいのは、ブランドの名前をそのまま付けたふらのワインの赤ワインと白ワインで、どちらも720ミリリットルで1,760円です。赤ワインはセイベル13053と生食用の品種、白ワインはセイベル5279でつくっています。
白ワインには、ドイツ系のケルナー(Kerner)、バッカス(Bacchus)、ミュラー・トゥルガウ(Müller-Thurgau)、リースリング(Riesling)も使っています。ケルナーだけの白ワインは720ミリリットルで3,080円、リースリングだけの白ワインは4,070円です。2005年に売り出したアイスワインは、いまは、ふらの2号でつくる「アイスワイン『F』ルージュ」が200ミリリットルで7,700円で並んでいます。工場の売店でしか買えない「工場限定」の赤ワインと白ワイン(どちらも2,530円)もあります。ロゼワインは、もともと「市民還元用」として売り出したもので、地元で長く飲まれてきたと紹介されています。
価格は、調査時点(2026年10月27日)の公式サイトの商品一覧にある税込の値です。

