Vino Storia

ワインのお話

プロドゥットーリ・デル・バルバレスコ

プロドゥットーリ・デル・バルバレスコのワイン一覧


プロドゥットーリ・デル・バルバレスコとは?

プロドゥットーリ・デル・バルバレスコ(Produttori del Barbaresco)は、北イタリアのピエモンテ州、バルバレスコ(Barbaresco)の村にある協同組合のワイナリーです。自分の畑を持つ農家が組合員になってぶどうを持ち寄り、一つの醸造所でワインにしています。1958年に村の19人の農家で始まり、いまは50人あまりが組合員です。つくっているのは、ネッビオーロ(Nebbiolo)という黒ぶどうの赤ワインだけです。

この組合の名前が知られているのは、大勢の農家のぶどうを合わせた1本のバルバレスコとは別に、出来のよい年には組合員の畑を地名ごとに分けて瓶に詰めてきたからです。アジリ(Asili)、ラバヤ(Rabajà)、オヴェッロ(Ovello)といった九つの地名が、それぞれのラベルに入ります。


タナロ川を見下ろす村

バルバレスコは、アルバ(Alba)の街の北東にある丘の上の村です。村の北側をタナロ川(Tanaro)が流れ、高台からは川の向こうの平野と、遠くのアルプスの山並みまでが見渡せます。組合の醸造所とワインショップは、村の中心の広場に面しています。

高台から見下ろした、林のあいだを蛇行する川と、その向こうの平野。遠くに雪をかぶったアルプスの山並みが連なる
バルバレスコの村の高台から見下ろしたタナロ川。遠くにアルプスの山並みが連なる(2021年11月)Giorgio Galeotti / CC BY 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

組合が畑の名前を付けて出す九つの地名は、どれもこの村の中にあり、地形がそれぞれ違います。組合を率いるアルド・ヴァッカ(Aldo Vacca)が2019年のインタビューで話したところでは、オヴェッロは村の畑でいちばん北にあり、高いところから川へ向かって切り立った崖で落ちています。ポーラ(Pora)の丘も北側は川へ落ちる崖で、季節になるとそこで、この地方の名物のトリュフが採れるといいます。アジリは南西を向いたすり鉢のような斜面で、川から離れているぶん、夏は暖かく風が穏やかだそうです。


村の司祭と19人の農家

この村で協同の醸造所が開かれたのは、1958年が初めてではありません。組合の沿革によれば、1894年にアルバの王立醸造学校の校長ドミツィオ・カヴァッツァ(Domizio Cavazza)が、9人の農家や地主と醸造所を開き、ワインに村の名前を付けて売り出しました。カヴァッツァは1913年に亡くなり、醸造所は1920年代、ファシズムの時代に閉じられます。

第二次世界大戦のあと村に来た若い司祭、ドン・フィオリーノ・マレンゴ(Don Fiorino Marengo)は、カヴァッツァの試みをもう一度やれば、農家を貧しさから抜け出させられると考えました。1958年、19人の農家を集めて組合を立ち上げます。最初の年のワインは司祭の家の中庭で仕込まれ、それまでのようにぶどうのまま売るよりも、はっきり多い稼ぎになったと組合は書いています。1960年には、村の塔のふもとに醸造所ができあがりました。

手前の斜面に若葉のぶどうの木が並び、奥のなだらかな丘にも畑が広がる。丘の上に家並みが見える
バルバレスコの丘のぶどう畑(2011年5月)Ziegler175 / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

そのあと30年にわたって組合を切り盛りしたのは、書記のチェレスティーノ・ヴァッカ(Celestino Vacca)でした。司祭が決めた決まりを、彼は守り通します。つくるのはバルバレスコだけで、組合員はネッビオーロをすべて組合に納めます。利益は、納めたぶどうの量だけでなく、質に応じて分けられました。組合は、どれも当時としては新しい決まりだったと説明しています。


畑ごとに瓶を分ける

1967年、組合は初めて、畑の地名を付けたバルバレスコを出しました。アルド・ヴァッカは2019年のインタビューで、同じ年に村のガヤが単一畑のワインを初めて出したことに触れ、「ガヤがやったから、組合もやったのだと思う」と話しています。

はじめのころは4本か5本ずつで、顔ぶれも年によって違いました。九つの地名がそろって出るようになったのは1978年からです。ヴァッカが挙げた記録では、1967年から2014年までに単一畑のワインが出たのは24の年で、おおむね2年に1度でした。組合は、九つの畑のワインを「すぐれた年」にだけつくるとしています。

組合員は、それぞれ自分の畑を自分のやり方で耕しています。ヴァッカによれば、組合は冬に勉強会を開いて相談に乗りますが、畑の仕事を指図はしません。醸造所では、ぶどうにできるだけ手を加えないようにしているといいます。英国のワイン誌は、九つのワインがどれも同じ造り方でつくられ、土地の違いがそのまま出るようにしていると紹介しました。同じ造り方で並べるからこそ、畑の違いが味の違いとして残る、というのが組合の考え方です。


代表的なワイン

バルバレスコ(Barbaresco DOCG)は、村のあちこちの畑のぶどうを合わせた、組合の基本の1本です。1958年からつくられていて、組合は「会社の歴史をつくってきたワイン」と呼んでいます。大きな木の樽で20か月ほど熟成させます。卵を練り込んだパスタや、肉の料理に合わせるよう組合は勧めています。

バルバレスコ・リゼルヴァは、九つの畑のワインです。リゼルヴァ(riserva)は熟成を長くとったワインにつく呼び名で、バルバレスコでは4年あまりねかせることが条件になります。組合はこれを樽で30か月ほど熟成させ、収穫から4年後に売り出します。アジリについて組合は、若いうちは「内気」で、年を重ねるにつれて強い個性を見せる、エレガントなバルバレスコと書いています。英国のワイン誌は、オヴェッロの2011年を、スパイスと赤い果実の香りに革のような気配があり、ふくよかでありながら細やかな酸が品を添える、と評しました。

ランゲ・ネッビオーロ(Langhe DOC)は、バルバレスコより広い「ランゲ」の範囲の呼称で出す赤ワインです。村のいくつもの畑のネッビオーロを使い、組合は、この品種を知るのにちょうどよい1本としています。

調査時点(2026年10月6日)に楽天市場で確認できた750ミリリットルの価格は、ランゲ・ネッビオーロが3,500円から4,000円ほど、バルバレスコが5,300円から6,200円ほど、畑の名前の付いたリゼルヴァが8,500円から9,500円ほどでした。


村の広場のワインショップ

組合のワインショップは、バルバレスコの村の中心の広場にあります。公式サイトによれば、開いているのは月曜から金曜の9時から13時と14時から18時、土曜と日曜の10時から18時です(2026年10月6日時点)。1960年代から店先でワインを売ってきて、かつては村でただ一つ、誰でも入れる醸造所だったといいます。

店ではランゲ・ネッビオーロと村の名前のバルバレスコのほか、地図や本も扱っています。スタッフが組合の歴史や造り方を説明し、最後に少し試飲ができると案内されています。予約が要るかどうかは書かれていないので、訪ねる前に公式の連絡先で確かめてください。