テヌータ・サン・グイドのワイン一覧
テヌータ・サン・グイドとは?
テヌータ・サン・グイド(Tenuta San Guido)は、トスカーナ州の海沿いの産地ボルゲリ(Bolgheri)にある農園で、赤ワイン「サッシカイア(Sassicaia)」のつくり手です。テヌータはイタリア語で「農園、地所」を意味します。ワインのほかに、競走馬の牧場と、野鳥の保護区も持っています。
サッシカイアは、ひとりの侯爵が足もとの土を見て、フランスのボルドーを思い浮かべたところから始まりました。マリオ・インチーザ・デッラ・ロケッタ(Mario Incisa della Rocchetta)は、この土地の砂利と石の多い土が、ボルドーのグラーヴ(Graves)地区によく似ていると考え、ボルドーの品種カベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)を植えました。家族のために始めたそのワインは、いまでは「ボルゲリ・サッシカイア」という自分だけの原産地呼称(その名前を名乗ってよい土地と造り方を、国が定めたもの)を持っています。
畑のある土地
地所は2,500ヘクタールあり、内陸の丘から、海辺の砂丘と湿地まで13キロにわたって続きます。そのなかを、ボルゲリの村へ向かう糸杉の並木道が通っています。詩人ジョズエ・カルドゥッチ(Giosuè Carducci)が少年時代を過ごし、のちに並木を詩に書いた土地で、農園の公式サイトはカルドゥッチの手紙から「1838年から1849年4月まで、そこで暮らした」という一節を引いています。

ぶどう畑は、この広い地所の5パーセントほどしかありません。ボルゲリの丘が北東からの風をさえぎり、夏には海からの風が畑を冷やします。サッシカイアの畑は、海に近い低い土地と、標高300メートルを超える丘の上の両方に散らばっています。土は泥灰土(粘土を含む石灰質の土)を含むところ、石や小石の多いところ、粘土の混じるところとさまざまで、ワインの名前はこの石の多い土から来ていると農園は説明しています。
歩み
マリオは1899年にローマで生まれ、家はピエモンテの出でした。ピサの大学で農業を学び、1930年にトスカーナの旧家の娘クラリーチェ・デッラ・ゲラルデスカ(Clarice della Gherardesca)と結婚します。ボルゲリの地所は、クラリーチェが受け継いだものでした。1942年には一家がボルゲリに移り住み、マリオはフランスの品種を試し始めます。
1944年、城塞の残るカスティリオンチェッロ(Castiglioncello)の丘に、1ヘクタールあまりのカベルネ・ソーヴィニヨンの畑が植えられました。標高はおよそ400メートルです。もっとも、最初の畑はカベルネだけではなく、カナイオーロやチリエジオーロ、白ぶどうも混じっていたと農園自身が書いています。カベルネ・ソーヴィニヨンに絞り込んでいったのは、1960年から1968年にかけてでした。同じ公式サイトの別のページには「1942年から」という書き方もあり、何を始まりと数えるかで年が揺れています。
できたワインは、1945年から1967年まで家族と親しい友人だけで飲まれていました。初めて売りに出たのは1968年に収穫した分で、発売は1971年です。妻の実家を通じた親戚にアンティノリ家があり、その縁で若い醸造家ジャコモ・タキス(Giacomo Tachis)が加わりました。1960年代からは息子のニコロ(Nicolò)が父を手伝い、海外へ売り込んでいきます。
広く知られるきっかけは1978年でした。イギリスの雑誌『デキャンター(Decanter)』がロンドンで開いた、銘柄を隠したカベルネの試飲会で、1972年のサッシカイアが世界の33本のなかで1位になります。
マリオは自然を大切にした人でもありました。1959年には地所の一部の湿地を渡り鳥の保護区にし、そこはのちに世界自然保護基金(WWF)の保護区になります。マリオは1983年に亡くなりました。

サッシカイアの畑は、まずボルゲリの呼称のなかの一区画として認められ、2013年に独立した呼称「ボルゲリ・サッシカイアDOC」になりました。DOC(Denominazione di Origine Controllata)は、イタリアの原産地呼称のひとつです。農園は、1つの農園のためだけの呼称を持った最初のイタリアワインだとしています。認証機関の統計でも、2024年にこの呼称を使った事業者は1社でした。
いまは孫の世代のいとこ5人が家を受け継ぎ、名誉会長のニコロのもとで、経営は家族の外から迎えた経営陣が担っています。
代表的なワイン
サッシカイア(Bolgheri Sassicaia DOC)は、カベルネ・ソーヴィニヨンを主に、カベルネ・フラン(Cabernet Franc)を合わせた赤ワインです。決まりでは、カベルネ・ソーヴィニヨンが8割以上で、売り出すまでに2年以上ねかせ、そのうち18か月以上を小さな樫の樽で過ごします。色は濃いルビーかガーネット、香りは豊かで上品、味は辛口でふくよかで、力強さと調和があるとされています。瓶は濃い色のボルドー型と決まっています。
グイダルベルト(Guidalberto)は、2000年に収穫した分から出ている赤ワインです。カベルネ・ソーヴィニヨンにメルロ(Merlot)を合わせ、メルロは並木道沿いの粘土と沈泥の多い畑に植えられました。名前は、19世紀のはじめに糸杉の並木を計画した一族の祖先、グイダルベルト・デッラ・ゲラルデスカにちなみます。
レ・ディフェーゼ(Le Difese)は、2002年に収穫した分から出ている、いちばん新しいワインです。カベルネ・ソーヴィニヨンに、トスカーナ各地のサンジョヴェーゼ(Sangiovese)を合わせています。名前はイノシシの牙のことで、ラベルに金色で描かれています。
グイダルベルトとレ・ディフェーゼは、サッシカイアの呼称ではなく、トスカーナ州の中でつくればよいトスカーナIGT(地理的表示)で出ています。
調査時点(2026年10月4日)に楽天市場で確認できた750ミリリットルの価格は、レ・ディフェーゼの2023年が3,000円台後半から5,000円ほど、グイダルベルトの2023年が6,000円台、サッシカイアの2022年が3万5,000円前後でした。
訪ねるには
農園は、醸造所や畑のガイド付き見学を行っていません。直接の販売もせず、各国の取引先を通して売っています(2026年10月4日時点の公式サイトの案内)。
湿地の保護区は別で、農園のブログ(2025年10月23日)によれば、湿地がもっとも生き生きとする11月から4月にかけて、予約制でガイド付きの見学を受け入れています。1回15人までで、個人や家族向けは月に一度の日曜日です。条件は変わるため、訪ねる前に公式の案内を確認してください。
