小布施ワイナリーとは?
小布施ワイナリー(Obuse Winery)は、長野県北部の小布施町(おぶせまち)にあるワイナリーです。自社の農場で育てたワイン用のぶどうだけでつくるワインを「ドメイヌ ソガ(Domaine Sogga)」という名前で出しています。ワイナリーは、ブルゴーニュのような小さなワイナリーであること、自社農場のワイン専用ぶどうを100パーセント使うこと、輸入のワインを一切混ぜないことを、自分たちの誇りとして挙げています。
公式サイトの入り口には、こう書かれています。
よくぞ諦めずに私達のワイン蔵をみつけだしてくれました。
のどかな田園と農村に囲まれてひっそりと建つ、探しにくい小さなワイナリーだと、自分たちで紹介しているのです。
雹のあとで
ドメイヌ ソガのワインのラベルには、ときどき「サンシミ(Sans Chimie)」という言葉が付いています。フランス語で「化学なしで」という意味で、化学合成の農薬を使わずに育てた畑のぶどうからつくったワインを指します。
ワイナリーによれば、日本でヨーロッパ生まれのワイン用ぶどうを有機栽培で育てるのは「無理だ」と、ぶどう農家やソムリエから言われ続けてきました。日本は高温多湿で梅雨と秋雨があり、乾いた土地で生まれたぶどうには向かない、という理由です。ワイナリー自身も、一度は諦めていたと書いています。
転機は2005年の雹(ひょう)の害でした。公式サイトはそのときのことを「なにかが吹っ切れ」たと書いています。それまで10年にわたって農薬を減らし、肥料を与えない栽培を試してきたムラサキ地区の畑で、化学合成農薬を使わない栽培を始めました。使うのは、100年以上前から使われてきた硫黄と石灰の合剤と、硫酸銅と石灰の合剤(ボルドー液)だけです。除草剤、殺虫剤、現代の殺菌剤は使いません。
2007年、フランスの有機栽培の造り手マーク・アンジェリ(Mark Angeli)とギー・ボサール(Guy Bossard)が小布施を訪れ、日本で挑戦するなら必ず第三者の認証を取るようにと勧めたといいます。費用と手間はかかりましたが、2011年7月、3枚の畑が有機JASの認証を取りました。ワイナリーは、カベルネやメルロなどヨーロッパ系のワイン用ぶどうでは日本初の出来事だったと書いています。認証を受けた畑は、2024年には315アールに広がっています。
畑はすべてヨーロッパ式の垣根仕立てで、看板のワインが生まれるのはムラサキ地区です。ワイナリーから歩いて5分のクマンド農場や、小布施のワイン畑の歴史が始まった場所だというカリダ農場もあります。
歩み
公式の年表によれば、創始者は曽我市之丞(そが いちのじょう)です。戦争中の1942年、生活の糧としてワインの製造免許で酒造りを始めました。当時はシードル(りんごの発泡酒)が中心だったといいます。1988年にブランデーの製造を始め、1995年からカベルネやメルロなどヨーロッパ系のぶどうの畑を広げていきました。
日本ワインがよく売れるようになった2013年、小布施ワイナリーは「減産宣言」を出します。名刺代わりのワインと呼んでいた「小布施ルージュ」「小布施ブラン」を2012年のぶどうで終わりにし、翌年の生産量は前の年より4割近く減りました。旅行誌への掲載も断るようにし、その分ワイナリーでゆっくり試飲してもらえるよう、試飲の場所を整えました。
2014年には国内のワインコンクールへの出品もやめています。海外のコンクールへの出品は、それより前からやめていました。
インターネットでの販売もしていません。各地域に1店ほどのワインショップや酒販店とだけ取引する「限定流通」で、ワイナリーは、売り手が飲む人と直接話して手渡す形を望んでいると書いています。
代表的なワイン
ドメイヌ ソガは、自社農場のぶどうだけでつくるシリーズです。化学合成農薬を使わない畑のメルロ サンシミ、カベルネ・ソーヴィニヨン サンシミなどの赤ワイン、シャルドネの白ワインがあり、シャンパンと同じ瓶の中で二度目の発酵をさせる方法のスパークリングワインも少しずつ造っています。
自社農場だけではぶどうが足りない分は、考えを理解してくれる2軒の農家から分けてもらっています。そのぶどうのワインはドメイヌ ソガの名前では売らず、ソガ ペール エ フィスというシリーズで出しています。
テイスティングルームは、築100年を超える古いワイン蔵を直したものです。冬は薪ストーブが焚かれています。ワイナリーにレストランは無く、その理由を「私達はワインとワイン葡萄をつくる職人だから」と書いています。代わりに公式サイトでは、町内でドメイヌ ソガを出す料理店を紹介しています。
