Vino Storia

ワインのお話

リグーリア

海に向かって落ちる急な斜面に、黄葉したぶどうの段々畑が帯のように連なる。右下の岬の上に色とりどりの家が集まる村があり、その先に青い海が広がる
ぶどうの段々畑と、海辺のマナローラの村(10月)Benjamin Smith / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

リグーリアに、DOCGはありません。

海に落ちる斜面の、細長い州

イタリアの北西、フランス国境からトスカーナとの境まで、地中海に沿って弓なりに伸びる細長い州です。州都はジェノヴァ(Genova)で、背後にはすぐアペニン山脈とアルプスの端が迫り、平らな土地がほとんどありません。ジェノヴァから西の海岸をリヴィエラ・ディ・ポネンテ(Riviera di Ponente)、東をリヴィエラ・ディ・レヴァンテ(Riviera di Levante)と呼びます。

ぶどうを植えられるのは、海に向かって落ちていく斜面です。人は石を積んで水平な帯をつくり、土を入れて畑にしてきました。こうした険しい斜面でのぶどう栽培は、畑仕事がきわめて難しいことから「英雄的な栽培(viticoltura eroica)」と呼ばれます。

白ワインが中心の州

主な品種は白ぶどうで、ジェノヴァより東のレヴァンテではヴェルメンティーノ(Vermentino)、西のポネンテではピガート(Pigato)が中心です。チンクエ・テッレ(Cinque Terre)の白ワインはボスコ(Bosco)、アルバローラ(Albarola)、ヴェルメンティーノからつくられ、ぶどうを干してつくる甘口ワインのシャッケトラ(Sciacchetrà)もあります。赤ワインでは、フランス国境に近いドルチェアックアのロッセーゼ(Rossese)が知られています。

産地や品種、造り方の条件を満たしたワインだけが名乗れる名前を「原産地呼称」といい、そのうち条件のより厳しい区分をDOCGと呼びます。リグーリアには、DOCGがひとつもありません。2025年3月時点でDOCは8つ、産地をゆるやかに示す区分(IGT)は4つです。東端のコッリ・ディ・ルーニ(Colli di Luni)は、トスカーナにまたがる呼称です。

おだやかな海辺と、海運で栄えた共和国

Treccaniの百科事典によれば、背後の山並みが守りとなり、海もすぐそばにあるため、リヴィエラの気候は「並外れておだやか」です。とくに西の端はリグーリア・アルプス(Alpi Liguri)が高く広い壁になっていて、サンレモ(Sanremo)では1月の平均気温が9度を超えます。雨は秋から冬と春に多く、ジェノヴァのあたりと東のレヴァンテでよく降り、西のポネンテは晴れる日が多いとされます。おだやかな気候のもとで、海岸には亜熱帯の植物も育ちます。

中世の町々の歴史は、勢力を広げるジェノヴァとの関係に大きく左右されました。16世紀の終わりから17世紀のはじめ、ジェノヴァ共和国が金融と海運の力の絶頂にあったころに整えられた「新しい通り(Strade Nuove)」と、パラッツィ・デイ・ロッリ(Palazzi dei Rolli)と呼ばれる邸宅群は、2006年に世界遺産に登録されました。邸宅は、国の賓客を泊める宿として元老院が指定した私邸でした。リグーリアの方言は州の外でも、サルデーニャ島のカルロフォルテ(Carloforte)やコルシカ島のボニファシオ(Bonifacio)で話されています。