火山のある海辺と、内陸の丘
イタリア南部の、ティレニア海に面した州で、州都はナポリ(Napoli)です。百科事典のトレッカーニによれば、海沿いはおおむね平らで、そこにカンピ・フレグレイ(Campi Flegrei)やヴェスヴィオ(Vesuvio)の火山が盛り上がり、内陸はアペニン山脈の石灰岩の山が連なる起伏の多い土地です。年の平均気温は、海沿いで16度前後、内陸のアヴェッリーノ(Avellino)では13度ほどです。
州の農業局の資料では、2022年のぶどう畑は2万5,000ヘクタールあまりで、その4割ほどが内陸のベネヴェント県(Benevento)にあります。ベネヴェントの街を中心とする歴史的な地方サンニオ(Sannio)は、白ぶどうのファランギーナ(Falanghina)で知られます。その南のアヴェッリーノ県はイルピニア(Irpinia)と呼ばれる丘の土地です。タウラージ(Taurasi)の決まりによれば、その産地のアリアニコの畑は標高400メートルから700メートルほどの高さにあり、冬に雪が降ることも珍しくありません。
アリアニコと、イルピニアの白ワイン
赤ワインの中心は黒ぶどうのアリアニコ(Aglianico)です。イルピニアのタウラージと、ベネヴェント県のアリアニコ・デル・タブルノ(Aglianico del Taburno)は、どちらもこのぶどうを85パーセント以上使います。3年以上ねかせてから売り出すタウラージを、イルピニアの保護協会は「南のバローロ」と呼んでいます。白ワインには、それぞれ同じ名の白ぶどうを主体にするフィアーノ・ディ・アヴェッリーノ(Fiano di Avellino)とグレーコ・ディ・トゥーフォ(Greco di Tufo)があります。グレーコ・ディ・トゥーフォの決まりによれば、19世紀にトゥーフォの村で硫黄の大きな鉱床が見つかり、その硫黄が手に入るようになってイルピニアじゅうにぶどう畑が増えました。硫黄をまいて房を病気から守るやり方も、このとき生まれたといいます。
産地や品種、造り方の条件を満たしたワインだけが名乗れる名前を「原産地呼称」といい、そのうち条件のより厳しい区分をDOCGと呼びます。イタリア農業省の呼称一覧(2026年3月時点)では、カンパーニア州のDOCGは4、DOCは15です。産地をゆるやかに示す区分(IGT)は、2026年5月の省の一覧で10あります。
雨の多い山と、ギリシャ人が開いた海辺
トレッカーニによれば、雨は高い山ほど多く、年に2,000ミリを超えるところもあります。少ないのはカンピ・フレグレイなどの海沿いと、ベネヴェントの盆地です。海から山へ上がると、地中海の低い茂み(macchia)、ナラと栗の林、ブナの林と移り変わり、上は牧草地です。地震の多い土地で、1476年と1980年の地震は大きな被害を出しました。
紀元前8世紀から、ナポリ湾の岸にはギリシャ人の植民市が開かれました。イスキア島のピテクーサ(Pithecusa)とクーマ(Cuma)で、ナポリはそのクーマが築いた町です。ナポリはローマの時代にもギリシャの色を長く残しました。9〜10世紀のアマルフィ(Amalfi)は、ほぼ自治を保ち、州のどの町よりも栄えました。12世紀から1860年まで、州の歴史はシチリア、ナポリ、両シチリアと名を変えた王国の歴史と重なります。
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