山﨑ワイナリーとは?
山﨑ワイナリー(YAMAZAKI WINERY)は、北海道三笠市の達布(たっぷ)にあるワイナリーです。公式サイトによれば、山﨑家はこの土地で4代にわたって農業を営んできました。農家が自分で稼げる道を探し、農産物の価値を高めることを考えてきた結果として、2002年にワイナリーを始めたといいます。
ワインに使うのは、達布の自分たちの畑で育てたぶどうだけです。公式サイトのどのページの下にも、そのことを書いた一文が入っています。北海道は、山﨑和幸さんを「北海道らしい食づくり名人」に登録したページで、山﨑ワイナリーを家族経営でぶどうの栽培から醸造まで一貫してワインを造る生産者として紹介しています。
地層が筋のように走る達布山
三笠市は、北海道の真ん中に連なる山々の西の端にある町です。北海道のマガジン『カイ』の三笠ジオパーク特集は、石狩平野を東へ抜ける風がほぼ最初にぶつかる丘が達布山(たっぷやま)で、その斜面に山﨑ワイナリーの畑があると書いています。達布山の名前は、アイヌ語の「タプコプ(頂上の円い山)」から来ているそうです。
同じ記事によれば、800万年ほど前の達布山は、珪藻(けいそう)という藻が降り積もる海の底でした。といっても土は一様ではありません。畑の表土の下には南北にいくつもの筋が走り、砂やシルト(砂より細かい土)、砂岩などでできていて、貝の化石がたくさん出るところもあるといいます。筋ごとに地力も水の回り方も違うので、いろいろな個性のぶどうができ、それを合わせることで複雑な味わいのワインになる、と山﨑太地さんは話しています。2025年に東京・丸の内で開かれた日本ワインのイベントでは、7種類の地層にまたがる畑を持ち、地層ごとに植える品種を変えていると紹介されました。
三笠は、アンモナイトの化石が多く見つかる町でもあり、2013年に日本ジオパークに認定されています。ぶどうの垣根は190センチほどの高さに仕立てていますが、冬になると木はすっぽり雪に埋まります。雪の中は外より暖かいため、雪がぶどうの木を寒さから守るのだと、イベントで説明されています。
歩み
『カイ』の記事によれば、山﨑家は富山から入植した一家で、2代目までは小麦やトウモロコシを主に育てていました。この斜面と土がよいぶどうを育てるのに向いていると見いだし、自分で育てたぶどうでワインを醸そうと決めたのは、父の和幸さんでした。
公式サイトの品種の一覧を見ると、最初にぶどうを植えたのは1998年です。白ワイン用のバッカス(Bacchus)、赤ワイン用のピノ・ノワール(Pinot Noir)とドルンフェルダーがこの年から育てられ、2000年にケルナーとツヴァイゲルト、2003年にシャルドネとメルローが加わりました。その後もソーヴィニヨン・ブラン(2009年)、ピノ・グリ(2010年)、リースリング(2012年)、アコロン(2019年)と品種を増やす一方で、ケルナーとドルンフェルダーは2019年に育てるのをやめています。畑の広さは14ヘクタールです。
ワイナリーは、息子たちの代に受け継がれています。2016年の『カイ』の記事の時点では、太地さんが栽培を、兄の亮一さんが醸造を担っていました。北海道新聞(2026年10月)は、代表の太地さんが室蘭工業大学の大学院で土砂災害を研究して工学博士の学位を取り、ワインなど地域の資源の生かし方を工学の目でも考えたいと話していることを伝えています。
代表的なワイン
ワインの名前には品種名を使い、同じ品種でも「青」「緑」「紺」といった色の名前を添えて造り分けています。
PINOT NOIR(ピノ・ノワール)は、1998年から育ててきた品種で、赤ワインには「青」「緑」「紺」のほか、若い木のぶどうで造る「若木」があります。CHARDONNAY(シャルドネ)には、樽で発酵させたものや「紺」などがあります。いちばん古くからある白ワイン用の品種のBACCHUS(バッカス)は、価格も手ごろです。
調査時点(2026年11月3日)の公式サイトのワインリストの税込価格は、BACCHUS 2025とZWEIGELT 2025が2,200円、PINOT NOIR 緑 2024が3,600円、PINOT NOIR 紺 2024とCHARDONNAY 紺 2025が4,400円でした。夏に新しいワインを出し、売り切れたものは在庫の欄に書き出しています。ピノ・グリで造るオレンジワイン「醸」など、ショップの店頭でだけ売るワインもあります。
