北海道ワインとは?
北海道ワイン(Hokkaido Wine)は、北海道小樽市の朝里川温泉にあるワイナリーです。1974年に設立され、小樽の本社の醸造所では、道内の各地と全国の農家から届くぶどうでワインを造っています。会社は、輸入した原料に頼らず国産のぶどうだけでワインを造ってきたこと、加熱殺菌をしない「生ワイン」を守ってきたことを特徴に挙げ、本社の醸造所を「日本でいちばん日本ワインを生産するワイナリー」と紹介しています。日本ワインは、国産のぶどうだけを使って日本で造ったワインのことです。
公式サイトの年表は、1971年、空知地方の浦臼町(うらうすちょう)の町長から、耕作をやめた広い水田について相談を受けたところから始まります。創業者の嶌村彰禧は、増え続ける耕作放棄地を見過ごせず、ワイン用のぶどうを育てて北海道の農業を立て直そうと決めた、と会社は書いています。
豪雪の浦臼に拓いた垣根の畑
最初の畑になったのは、浦臼町鶴沼(つるぬま)の、水田にする予定のまま放っておかれていた土地でした。土は粘土質で、公式サイトによれば、雪の深い土地でワイン用のぶどうが育つわけがないと専門家に見放され、失敗が続くと「どうせすぐつぶれる」と言われたといいます。浦臼は日本海側の気候で、平年の降雪量は8メートル近くになります。その一方で、ぶどうの育つ4月から10月には昼と夜で10度近い気温の差があり、会社はこれを栽培に向く条件に挙げています。
1974年に造成を始めたこの直轄農場「鶴沼ワイナリー」は、いま敷地が447ヘクタールあり、会社は日本最大の垣根式(ぶどうの木を生け垣のように一列に仕立てる方式)のぶどう畑としています。試験中のものを含めて40ほどの品種を育て、北海道大学などと組んで、無人の草刈り機や収穫用のロボットアームの研究も進めています。
ぶどうの多くは契約農家から届きます。日本海に面した余市町と隣の仁木町を中心に、生食用のナイアガラやキャンベル、デラウェアを育てる200軒以上の農家と取引しています。2020年には仁木町に3つ目の直轄農場「後志(しりべし)ヴィンヤード」を開き、2021年に有機JASの認証を取りました。
歩み
会社をつくった1974年、社員2人をドイツのヴァインスベルクにある国立のワイン・果樹の教育研究機関へ送り出しました。1978年にはドイツから技術者のグスタフ・グリュンを招き、3年間指導を受けています。最初に市販したワインは1979年のミュラー・トゥルガウ(Müller-Thurgau)でした。醸造の技法は、いまも創業のときにドイツから伝わったものを土台にしていると公式サイトは書いています。1986年には、いまも看板商品の「おたるナイヤガラ」を売り出しました。
20世紀の終わりの赤ワインの流行は、会社にとって大きな試練になりました。公式サイトによれば、ワインメーカーに頼まれて農家がワイン用のぶどうを増やしたものの、3年後に収穫できるころには流行が去り、大量のぶどうの引き取り手がなくなりました。困った農家が次々に訪ねてきます。会社もすでに受け入れる量の限界にありましたが、悩んだ末に引き取ると決め、全国から日本酒用の中古タンクを集めて仕込みを続けました。その年のワインを売り切るのに3年かかったといいます。この一件のあと、多くの農家が取引を申し出てくれるようになった、と会社は振り返っています。
2008年の北海道洞爺湖サミットでは、鶴沼のケルナーで造った「2006鶴沼ウィンターハーベストケルナー」が出されました。2018年には、地理的表示「北海道」(GI北海道)の最初の認定で、この会社の43銘柄が認められています。地理的表示は、産地の名前を守るための国の制度です。創立50周年の2024年には、小樽の見学施設を体験型に改め、「おたるワインギャラリー」として開き直しました。
代表的なワイン
公式サイトによれば、冷涼な北海道のぶどうは酸が多いため、雪に覆われた冬の屋外のタンクでワインを冷やし、酸の結晶ができるのを促すこともしています。ワインは、手ごろな「おたる」、北海道産のワイン用品種だけで造る「北海道」、直轄農場の「鶴沼」、契約農家ごとに仕込む「葡萄作りの匠」のシリーズに分かれます。
おたるナイヤガラは、生食用のぶどうナイアガラ(Niagara)から造る、やや甘口の白ワインです。華やかな香りとフルーティーな味わいがあり、公式通販は「おたるワイン」の代名詞と呼んでいます。
鶴沼ゲヴュルツトラミネールは、直轄農場で1980年から育てている品種、ゲヴュルツトラミネール(Gewürztraminer)の白ワインです。ライチや桃、柑橘のような香りに、冷涼な北海道らしいさわやかな酸があり、味わいはやや辛口とされています。
北島秀樹 ケルナーは、余市町登(のぼり)地区の北島秀樹さんの畑のケルナー(Kerner)だけで仕込む白ワインです。公式サイトは北島さんを、収穫の前に一房ずつ見て回り、傷んだ実をピンセットで取り除く栽培家と紹介しています。ワインは辛口で、柑橘やユリの花のような香りと、さわやかな酸を持つとされています。
調査時点(2026年10月27日)の公式通販の税込価格は、おたるナイヤガラ(720ミリリットル)が1,430円、鶴沼ゲヴュルツトラミネール(2024年、750ミリリットル)が3,300円、北島秀樹 ケルナー(2021年、同)が2,992円でした。

