マンズワイン 小諸ワイナリーとは?
マンズワイン 小諸ワイナリーは、長野県小諸市の、浅間山のふもとにあるワイナリーです。マンズワイン(MANNS WINE)は、しょうゆのキッコーマンの子会社として1962年に山梨県の勝沼で設立されたワインの会社で、小諸ワイナリーは勝沼ワイナリーに続いて1973年に開きました。会社がいちばん上に置くワインのシリーズ「ソラリス(SOLARIS)」は、ここで生まれています。
このワイナリーは、長野で古くから育てられてきた「善光寺ぶどう」、いまは龍眼(りゅうがん)と呼ばれるぶどうからワインを造るために建てられました。ヨーロッパの品種へ大きく向きを変えたきっかけは、1988年10月の季節外れの大雪です。
浅間山のふもとの庭と畑
ワイナリーは、マンズワインが1971年にぶどうの契約栽培を始めた、上田から小諸にかけての千曲川(ちくまがわ)の流域にあります。会社は、ワイナリーのまわりを標高650メートルほどの冷涼な土地で、浅間山の火山灰の土だと紹介しています。千曲川の流域については、雨が少なく、日照時間が長く、水はけのよい土の土地だとしています。
ワイナリーの敷地には、1981年に植え始めたシャルドネ(Chardonnay)の畑が30アールほどあります。会社は、ヨーロッパの品種でここまで樹齢を重ねた畑は日本にほとんどない、としています。敷地の品種園には、ワイン用のぶどうが32品種、一つの区画に植えてあります。
畑の真ん中にあるのが、およそ3,000坪の日本庭園「万酔園(まんすいえん)」です。ヨーロッパには、ぶどう畑の中心に庭園に囲まれたシャトーを持つワイナリーがあります。それにならい、ここでは千曲川の流域の風土を写した和の庭を置きました。庭は誰でも自由に歩けます。特別な催しのときだけ公開される茶室は、宮大工が3年をかけて建てたものです。ぶどうの文様を手で彫った敷石には、愛知県の三州瓦(さんしゅうがわら)が使われています。木々のあいだの大きな石は、小諸に7年暮らした島崎藤村の歌碑で、「秋のうた」が刻まれています。
庭の地下には、ワインを寝かせるセラーが広がっています。ふだんは公開していませんが、ツアーではスタッフが案内し、1970年代に試しに造ったワインや、VIPルームを見せています。敷地のけやき並木は、「小諸眺望百景」に選ばれています。
歩み
1967年、マンズワインの3代目の社長、茂木七左衞門(もぎ しちざえもん)が、ある民家の庭先で善光寺ぶどうを見つけました。会社によれば、このぶどうは当時、絶えかけた幻のぶどうになりつつありました。研究を重ねてよいワインが造れると分かり、1971年に上田市や小諸市の農家とぶどうの契約栽培を始めます。その中心の小諸に建てたのが小諸ワイナリーで、1973年の秋に最初の善光寺ぶどうを仕込みました。そのとき見つけた木は小諸ワイナリーに移され、樹齢は100年をこえたと会社は書いています。
1981年には、ワイナリーの中にシャルドネを垣根に仕立てた畑を開きました。1987年には、雨の多い日本でぶどうを育てるための「マンズ・レインカット栽培法」を確立し、特許を出願しています。
転機は1988年10月の下旬でした。季節外れの大雪が小諸市の大里地区を襲い、善光寺ぶどうの棚の多くがつぶれました。会社は、棚を建て直す農家とともに、レインカットの垣根でヨーロッパの品種を育て始めます。植えたのはメルロー(Merlot)、シャルドネ、信濃リースリングの3品種で、のちにソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)も加わりました。信濃リースリングは、シャルドネとリースリングを掛け合わせてマンズワインが生み出した品種です。会社はこの雪害を、のちのソラリスへの「大きな足掛かり」と呼んでいます。
1990年代、小諸ワイナリーは少量の高級なワインを造れるよう、設備と体制を改めました。2001年にソラリスのシリーズが生まれ、2008年からは、ソラリスを小諸ワイナリーから温度を管理したまま直接送り出しています。2026年8月には、龍眼がワインの国際機関であるOIV(国際ブドウ・ワイン機構)に品種として登録されました。会社は、日本固有の品種としては4つめの登録だとしています。
代表的なワイン
ソラリス 小諸 シャルドネ ヴィエイユ・ヴィーニュは、ワイナリーの中の古木の畑のシャルドネだけで造る白ワインです。ヴィエイユ・ヴィーニュ(vieilles vignes)はフランス語で「古い木」のことです。木は樹齢35年をこえ、半分ほどは40年をこえています。収穫を厳しく絞り、樽で発酵と熟成をさせています。色は黄金色がかった黄色で、黄桃や洋梨、アプリコットの香りに、樽からのバニラやトースト、ナッツの香りが重なります。口に含むと黄色い果実の濃さがあり、終わりにはグレープフルーツの皮のような心地よい苦みが残ります。会社はハーブをきかせたローストチキンと合わせることを勧めています。
ソラリス 小諸 メルローは、大里地区の自社で管理する畑と契約農家の畑のメルローで造る赤ワインです。会社は、小諸の強い粘土の土で育つメルローと説明しています。粒を手で選り分けてステンレスのタンクで発酵させ、樽で20か月ほど寝かせます。色は紫がかったルビーで、ブラックチェリーやプルーン、カシスの香りがあり、なめらかな渋みが長く続きます。
千曲川 龍眼は、千曲川の流域で育った龍眼の白ワインです。色はレモンのような黄色で、白い花やレモン、グレープフルーツの香りがあり、いきいきとした酸味の軽やかな辛口です。会社は鮎の塩焼きや茸の料理、蕎麦を勧めています。一方で、小諸ワイナリーのまわりでは龍眼を育てる農家が年ごとに減っている、とも書いています。
調査時点(2026年10月27日)の公式通販の価格は、ソラリス 小諸 シャルドネ ヴィエイユ・ヴィーニュ(2025年、750ミリリットル)とソラリス 小諸 メルロー(2022年、同)がどちらも11,000円、千曲川 龍眼(2025年、同)が1,990円でした。
