アルナルド・カプライのワイン一覧
アルナルド・カプライとは?
アルナルド・カプライ(Arnaldo Caprai)は、イタリア中部ウンブリア州の丘の町モンテファルコ(Montefalco)にあるワインのつくり手です。この土地の黒ぶどう、サグランティーノ(Sagrantino)でつくる、色が濃く渋みのしっかりした赤ワインで知られています。
名前は創業者からきています。アルナルド・カプライは繊維の事業で成功したあと、1971年にモンテファルコに土地を買い、ワインづくりを始めました。2026年1月4日、92歳で、モンテファルコの自宅で亡くなっています。
この家の話でいちばん大事なのは、息子の代にサグランティーノの苗を選び直したことです。1990年代のはじめ、大学の研究者とともに、町の庭や菜園、捨てられた古い畑に残っていた株を一本ずつ探して歩き、そこから新しい畑の苗をつくりました。
畑のある土地
モンテファルコは、アッシジとスポレートのあいだに広がる平野、ウンブラ谷(Valle Umbra)のふちに並ぶ丘のなかで、いちばん高い丘の上にある町です。高さは500メートル足らずですが、まわりが開けているので、公式サイトは「ウンブリアのバルコニー(ringhiera dell’Umbria)」という呼び名を紹介しています。町の名前は「鷹の山」という意味で、鷹狩りを好んだ神聖ローマ皇帝フリードリヒ2世にちなむとされています。

サグランティーノの畑は、この町と、まわりのベヴァーニャ(Bevagna)など四つの村の一部に限られています。標高200〜400メートルあまりのなだらかな丘で、土は粘土が中心です。夏は暑く、冬はかなり冷え込みます。
町の中にも、このぶどうは生きています。生産規定には、かつてモンテファルコでは多くの家の壁にサグランティーノのつるが這い、城壁の中の修道院でも古い株が育てられてきたと書かれています。カプライの公式サイトも、城壁の内側の路地や菜園に残る古い株を紹介しています。
歩み
サグランティーノは、もともと辛口の赤ワインのぶどうではありませんでした。生産規定によれば、小さな房を葦で編んだ棚に広げてクリスマスまで干し、手で粒をはずして搾り、甘口ワインにしていました。祝いの日に家で少しずつ飲むもので、売り物にはならなかったといいます。辛口のサグランティーノが記録に現れるのは1925年で、売り出されるようになったのは1970年代のはじめからです。そのころ、このぶどうの畑は10ヘクタールに満たなかったと、ペルージャ大学の研究者は書いています。
アルナルドが土地を買ったのは、ちょうどその時期でした。公式サイトによれば、買ったのは42ヘクタールで、そのうちぶどう畑は4ヘクタールだけでした。広報資料では45ヘクタールとなっていて、数字が少し違います。
1986年、息子のマルコ(Marco)が経営を引き継ぎます。マルコはミラノ大学の果樹の研究室と組み、サグランティーノの研究を始めました。1990年代のはじめには、モンテファルコやベヴァーニャの家の庭や菜園、古い畑、なかには見捨てられた畑まで回り、親木にする株を探しています。家で飲むぶん、何代も挿し木で受け継がれてきた株でした。その枝から苗を育て、1994年に試験の畑に植えて、何年も比べ続けました。選ばれた三つの系統には、「25アンニ」「コブラ」「コッレピアーノ」という名前が付いています。
アルナルドの人柄を伝える話もあります。同じモンテファルコの造り手は、アメリカのワイン誌に、20年ほど前の授賞式でアルナルドにこう言われたと話しています。
全員の名前が呼ばれるまで待って、それからいっしょに立って、いっしょに舞台に上がろう。そのほうがモンテファルコという土地の重みが伝わる。
代表的なワイン
「モンテファルコ・サグランティーノ(Montefalco Sagrantino)」はDOCGの赤ワインです。DOCGはイタリアでいちばん条件の厳しい原産地呼称で、品質の等級ではなく、産地と造り方の決まりを示します。サグランティーノだけでつくり、3年近く寝かせてから売り出す決まりで、辛口のものはそのうち1年以上を木の樽で過ごします。色は濃いルビーで、紫がかった光を帯び、熟成とともにガーネットに近づきます。香りはブラックベリーを思わせ、味は辛口で、渋みがはっきりしています。干したぶどうからつくる昔ながらの甘口も、「パッシート(Passito)」としていまも同じDOCGで認められています。
合わせる料理について、カプライの広報資料は、辛口には肉の料理や狩猟肉、熟成したチーズを、甘口にはロッチャータ(rocciata)などの地元の伝統的な菓子や、ブラックベリーのジャムのタルトを勧めています。
この家を知らしめたのが「25アンニ(25 Anni)」です。広報資料によれば、1993年産が最初で、創業25周年を記念して名付けられました。小さな樽で2年、瓶でさらに8か月以上寝かせます。もう少し手に取りやすいのが、同じDOCGの「コッレピアーノ(Collepiano)」です。
サグランティーノをほかのぶどうと合わせた「モンテファルコ・ロッソ(Montefalco Rosso)」はDOCの赤ワインです。白ワインでは、ウンブリアの白ぶどうグレケット(Grechetto)でつくる「グレカンテ(Grecante)」があり、コッリ・マルターニ(Colli Martani)というDOCの名前で出しています。
調査時点(2026年10月6日)に楽天市場で確認できた750ミリリットルの価格は、モンテファルコ・ロッソとグレカンテが3,000円ほど、コッレピアーノが9,000円前後、25アンニが1万5,000円から1万7,000円ほどでした。

訪ねるには
醸造所はモンテファルコのトッレ(Torre)地区にあり、公式サイトによれば、見学はすべて予約制で、毎日受け付けています(2026年10月6日時点)。基本の「ツアー&フード」は1時間半ほどで、畑と醸造所を回ったあと、モンテファルコ・ロッソ、コッレピアーノ、グレカンテの3本を、ウンブリアのハムやチーズと合わせて試飲します。料金は1人35ユーロです。条件は変わるため、訪ねる前に公式サイトで確認してください。

