ワイン工房あいづとは?
ワイン工房あいづ(Wine Making Shop AIZU)は、福島県の猪苗代町(いなわしろまち)、会津磐梯山のふもとにある小さなワイナリーです。JR猪苗代駅から歩いて5分ほどの町なかで、店舗の奥がそのまま工房になっています。2025年4月に会社の名前が「昭和化工株式会社 果樹研究所」に変わりましたが、ウェブサイトや店の名前には、いまも「ワイン工房あいづ」が使われています。
この工房では、ワインを主に23リットル入りのガラスの容器で発酵させ、熟成も木の樽ではなく同じガラスの容器で行っています。フルボトルで30本近くになる量です。公式サイトは、木の樽の香りが付かないので、ぶどう以外の成分が入らない「すっきり」とした味わいになると説明しています。
会津の農家から届くぶどう
工房はぶどうやりんごを、会津や福島、東北の農家から仕入れています。よくある質問には、原料は「すべて専門の方に栽培して頂いています」とあります。開いた当初は、原料の多くを輸入した濃縮果汁に頼っていましたが、その後は地元の果実に切り替えてきたと公式サイトは書いています。
マスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)とピノ・ノワール(Pinot Noir)は、会津若松市北会津(きたあいづ)の「小森ぶどう園」のものです。平らな土地ですが、砂の多い土で水はけがよく、ピノ・ノワールはこの土地では育てにくい品種なのに、農家の試行錯誤でワインに向くぶどうが穫れるようになったといいます。シャルドネ(Chardonnay)は、長くシャルドネが育てられてきた会津美里町の新鶴(にいつる)地区から、NPO法人会津ワイナリー会が育てたものを仕入れています。ほかに、郡山市の磐梯熱海のメルロ(Merlot)やサンセミヨン、猪苗代町の磐梯山麓や石川町の山ぶどう、山形県南陽市の種のあるデラウェア(Delaware)も使ってきました。
商品にはぶどうの品種と産地を書いています。公式サイトの言葉では、「生産者の顔が見える国産の原料を、当工房が会津で醸造する」ワインです。
地元の人が庭で育てたぶどうやりんご、ときにはサルナシを持ち込み、ワインにしてほしいと頼むこともあります。工房は持ち込みの果実の委託醸造を受けていて、23リットルの容器ひとつ分から引き受けます。
歩み
公式サイトの「目指しているもの」には、創業者が自分の歩みを書いています。若いころ、山形県南陽市の実家でぶどうの出荷を手伝っていて、大きさや形のせいで出荷できない房を一か所に集めておくと、いつのまにか発酵していたそうです。それを「大自然が作ったワイン」と感じたことが、この工房の「自然回帰のワイン醸造」という考えのもとになったといいます。
創業者が歩んできたのは、もともと電気工学の道でした。定年を迎えるとき、職場に残る道もありましたが、それまでとは違うことをしてみたいと考えて、ワイン造りに出会ったと書いています。計画を立て、段取りをし、結果を見て次の計画に生かす点で、電気工学とワイン造りは同じ「ものづくり」だという考えです。
会社の沿革では、2005年9月に会社を設立し、10月からカナダで研修を受けています。研修先のバンクーバーでは、町なかに小さな工房がいくつもあり、客が自分で瓶に詰めて持ち帰る様子だったといいます。ガラスの容器を並べて造るやり方はそこから来ていて、公式サイトはこの形の醸造所を、日本では富良野と猪苗代のこの工房など数社しかないと書いています。
2006年11月に醸造の免許を取り、2007年1月に店を開きました。2010年7月に醸造所を広げ、2022年1月に大阪府吹田市の昭和化工のグループに入り、2025年4月に社名を変えています。猪苗代の山ぶどうでつくった微発泡のワインは、平成26年度の「ふくしま新風味開発」に選ばれました。
代表的なワイン
醸造は、つぶしたぶどうをまずタンクで発酵させ、搾ってからガラスの容器に移して発酵を続けます。容器の口には水を入れた栓(エアロック)を付け、発酵で出るガスだけを外へ逃がします。赤ワインは仕込んでから3か月以上、白ワインは3〜4か月以上たってから瓶に詰めることを目指しています。保存料は使わず、酸化防止剤は食品衛生法で認められた量の半分ほどにとどめています。
ベーリーA(会津産)は、北会津の小森ぶどう園のマスカット・ベーリーAでつくる赤ワインです。甘いキャンディのような香りと、ほどよい酸があるとされています。飲む半日前には冷蔵庫から出して常温に戻すと、香りと味がよく分かるとすすめています。
ピノ・ノワール(会津産)は、同じ北会津のピノ・ノワールの赤ワインで、赤い果実の香りに、渋みは少なく、ほどよい酸があります。
シャルドネ(会津・新鶴産)は、新鶴のシャルドネだけでつくる辛口の白ワインです。香りも味もフレッシュで、ほどよい酸と渋みがはっきりしていて、食事と一緒に飲むワインとして紹介されています。
やまぶどうは、山ぶどうからつくる赤ワインです。2024年のものは石川町の山ぶどうで、濃く、果汁の酸味が効いていて、厚いステーキにも合うとされています。濃いので、好みで氷を入れて飲んでもよいと書かれています。
ほかに、スチューベン、ポートランド、ニューナイアガラといった、生で食べるぶどうの品種からつくるワインや、りんごのシードルもあります。
2026年7月1日に価格が改定されました。調査時点(2026年10月27日)のオンラインショップの税込価格は、720ミリリットルで、ベーリーA(2025年)が6,180円、ピノ・ノワール(2025年)が7,340円、シャルドネ(2025年)が4,190円でした。やまぶどう(2024年)は500ミリリットルで6,010円です。

