Vino Storia

ワインのお話

茨城 / 牛久

牛久シャトー

Ushiku Chateau(Château D. Kamiya)

明治の実業家がボルドーにならって建てたレンガの醸造場は国の重要文化財になり、その中で、いまも牛久のぶどうからワインがつくられています。

  • 見学 予約不要
  • 見学無料
  • 試飲あり
  • ショップ
  • レストラン
青空の下に建つレンガ造りの2階建ての洋館。右に時計塔があり、中央のアーチの上に「CHATEAU D.KAMIYA」の文字がある
写真: Asturio Cantabrio / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)

見学・予約

見学
予約不要(神谷傳兵衛記念館は無料、10時〜16時、年末年始のほかは…
内容
神谷傳兵衛記念館(旧醗酵室。国の重要文化財)の展示。1階は大樽とメトル・ド・シェの部屋、2階は醸造機具と写真・パネル、地下はセラー(樽の展示)と牛久ワイナリー
日時
毎日
10時〜16時
料金
無料
申し込み
このページのフォームから。Vino Storia がワイナリーに確かめて、2営業日以内にご連絡します(手数料なし)
見学を申し込む

営業案内

営業時間
園内・見学施設 10時〜16時
ショップ 10時〜18時
定休日
無休(年末年始と臨時休館を除く)
試飲
ショップの有料試飲機で、牛久シャトーで醸造したワインなどを1杯500円
ショップ
あり(牛久シャトーのワイン・ビール、茨城の特産品)
飲食
レストラン(旧貯蔵庫を改装。カジュアルフレンチ。ランチ11時30分〜15時、ディナー17時30分〜21時)
バーベキュー(4名から予約)

本館(旧事務室)と貯蔵庫は、重要文化財として一般公開していません(オエノンホールディングスの牛久シャトーのページ)。外から眺めることはできます。
同じ敷地の「オエノンミュージアム」は2025年12月29日に閉館しました。
試飲や食事でワインを飲むなら、電車で行くと安心です。駅から歩いて8分ほどです。 情報は2026年11月3日時点で公式サイトなどから確かめたものです。条件は変わるため、お出かけの前に公式サイトでご確認ください。

アクセス

住所
茨城県牛久市中央3-20-1
電車で
JR常磐線 牛久駅の東口(シャトー口)から徒歩約8分
車で
圏央道 つくば牛久ICから国道408号線経由で約20分(常磐自動車道からはつくばJCT経由)
駐車場
隣のタイムズ牛久中央(262台。60分100円、平日は1日最大300円。土日祝は最大料金なし)

見学の申し込み

このフォームは予約の申し込みです。お申し込みを受けて、Vino Storia が牛久シャトーに空き状況を確かめ、2営業日以内にメールでご連絡します。そのご連絡をもって予約の確定となります。

お申し込みの手数料はかかりません。見学の料金がある場合は、ワイナリーの定める額を当日お支払いください。ご希望日は、今日から3日後以降の日をお選びください。

見学の日時: 毎日 10時〜16時

ワイナリーからの当日の連絡用

ワイナリーの話

牛久シャトーとは?

牛久シャトー(Ushiku Chateau)は、茨城県牛久市の中央、JR常磐線の牛久駅から歩いて8分ほどのところにある、明治のワイン醸造場です。浅草の「神谷バー」や「電気ブラン」で知られる実業家、神谷傳兵衛(かみや でんべえ)が、1903年に「牛久醸造場」として開きました。本館の正面には、いまも「CHATEAU D.KAMIYA」の文字が刻まれています。

旧醸造場の事務室、醗酵室、貯蔵庫の3棟は、2008年に国の重要文化財に指定されました。文化庁が付けた指定の名前は「最初期の本格的ワイン醸造場施設」です。所有者のオエノンホールディングスと運営会社は、これを「日本初の本格的ワイン醸造場」と紹介しています。

この場所は、古い建物を眺めるだけの史跡ではありません。運営する牛久シャトー株式会社は、旧醗酵室(いまの神谷傳兵衛記念館)の中にワイナリーを置き、敷地の畑のぶどうからワインをつくっています。2026年6月には、全国の造り手を表彰する日本ワイナリーアワードで3つ星を受けました。


牛久の原野に開いたぶどう園

傳兵衛がぶどう園を開いたのは、茨城県稲敷郡岡田村の女化原(おなばけはら)と呼ばれた原野でした。いまの牛久市です。オエノンの資料によれば、1898年に23町歩を開墾し、東京で試しに育てていたフランスのぶどうの苗を移して「神谷葡萄園」と名づけました。運営会社の年表は、1897年に原野120町歩を買って開墾を始めたと書いていて、数字がそろっていません。

オエノンの資料によれば、当時北海道や新潟で始まっていたぶどうづくりは、どれもアメリカ系の品種でした。同じ資料は、フランスの品種を日本で育てるのは無理だと考えられていたなかで、傳兵衛が「育たないのは研究が足りないからだ」と考えていたと伝えています。

木の支柱を立てたぶどうの垣根が数列並び、奥に木立が茂る畑
牛久シャトーの園内のぶどう畑(2009年)Hasec / パブリックドメイン / Wikimedia Commons

醸造場は1901年に建て始め、1903年9月に完成しました。ボルドーの最新の様式を取り入れたレンガ造りで、文化庁は、醗酵室が階ごとの設備の配置から当時のワイン造りの工程をうかがえる建物だと評価しています。敷地はおよそ6万平方メートルあり、2020年には、山梨県甲州市とともに申請した「日本ワイン140年史」の物語が日本遺産に認められました。


歩み

神谷傳兵衛は1856年、三河国(いまの愛知県西尾市)に生まれました。17歳のころ、横浜の外国人居留地にあったフランス人の洋酒醸造所で働いていたとき、原因の分からない病で弱った体が、雇い主にもらったワインで回復したといいます。オエノンの資料は、これが「日本人の誰もが飲める葡萄酒を国内でつくりたい」と考えるきっかけになったと書いています。

1880年に浅草で酒の一杯売りの店を開き、輸入ワインに蜂蜜や漢方薬を加えた甘い葡萄酒「蜂印香竄葡萄酒(はちじるしこうざんぶどうしゅ)」で成功します。それでも傳兵衛が目指していたのは、ぶどうの栽培から醸造までを自分の手で行うことでした。

その夢を担ったのが、婿養子に迎えた傳蔵です。山形県の出身で、婚礼の3日後にはフランスへ発ち、ボルドーのカルボン・ブラン村の醸造場で2年あまり学んで、修了証を受けました。帰国のときには、参考書や醸造の道具、土のサンプルまで持ち帰ったといいます。

白黒写真。手前にぶどうの畑と柵、その奥の広場に牛が放たれ、時計塔のある洋館と煙突、長い平屋の建物が並ぶ
1905年ごろの牛久醸造場。手前にぶどう畑が広がる撮影者不明(1905年ごろ。オエノン蔵) / パブリックドメイン / Wikimedia Commons

完成した醸造場のワインは、1903年にイギリスの水晶宮で開かれた博覧会で名誉金牌を受けるなど、国内外で賞を重ねました。傳兵衛は1922年に66歳で亡くなり、傳蔵が二代目傳兵衛を継ぎました。

建物はいま、オエノンホールディングスが所有しています。同社は2019年に牛久市と賃貸借の契約を結び、2020年に市が全額を出資して設立した牛久シャトー株式会社が、建物を活かした運営とワインの醸造を担っています。2024年には、市内の少年院、茨城農芸学院で育てたぶどうも使い、醸造場の120周年を記念するワインを出しました。


代表的なワイン

牛久葡萄酒 Merlot(メルロ)は、牛久シャトーの畑で育てたメルロからつくる赤ワインで、会社がこのワイナリーの代表としているものです。甘くやさしい香りに、軽やかな口当たりと、さわやかな酸が広がるとされています。ラベルには明治時代の包装紙のデザインを使っています。2025年産は1,200本限定で、2026年6月27日に発売されました。

マスカットベーリーA F+ と マスカットベーリーA A+ は、牛久で育てたマスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)に、二代目傳兵衛の故郷である山形県のマスカット・ベーリーAを加えた赤ワインです。会社は、さわやかな果実味とやさしい酸があり、渋みがやわらかいので和食と合わせやすいと説明しています。F+はミネラル感のある酸、A+はベリー系の香りとすっきりした味わいが特徴とされています。F+は2026年の日本ワインコンクールで銅賞を受けました。会社によれば、牛久シャトーのワインがこのコンクールで賞を受けたのは初めてです。

調査時点(2026年11月3日)に会社が告知していた税込価格は、牛久葡萄酒 Merlot 2025(750ミリリットル)が4,180円、マスカットベーリーA F+とA+がそれぞれ3,080円でした。ショップで売っています。

基本情報

創業
1903年(神谷傳兵衛の牛久醸造場が竣工した年。いまの運営会社 牛久シャトー株式会社の設立は2020年)
人物
神谷傳兵衛(創設者。1856〜1922年)
神谷傳蔵(養嗣子。フランスでワイン醸造を学び、のちに二代目傳兵衛)
沼田和利(牛久シャトー株式会社 代表取締役)
代表的なワイン
牛久葡萄酒 Merlot / マスカットベーリーA F+ / マスカットベーリーA A+
公式サイト
ushiku-chateau.com

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