常滑ワイナリー ネイバーフッドとは?
常滑ワイナリー ネイバーフッド(Tokoname Winery Neighborhood)は、愛知県常滑市の金山(かなやま)にあるワイナリーです。知多半島の西側、伊勢湾を見下ろす丘の上にあり、醸造所の隣には、同じ会社が営む農家レストラン「サンセットウォーカーヒル」があります。運営するグループは、このワイナリーを「知多半島で初のワイナリー」と紹介しています。
始めたのは、いちご狩りの農園やハンバーガー店を営んできた馬場憲之(ばば のりゆき)です。ぶどうを育てた経験はなく、ワイナリーの紹介ページには、それまでのいちご栽培の知恵を生かしてぶどうを育てていると書かれています。きっかけは、アメリカのオレゴン州で見たワイナリーの風景でした。公式サイトは、その思いを馬場の言葉としてこう伝えています。
オレゴンで見た幸せな光景を日本に再現したい
焼き物の町の、粘土の畑
常滑は、古くから焼き物の町として知られています。ワイナリーの説明では、この粘土の多い土は水はけがよくない一方で、ミネラルを多く含むといいます。ワイン造りの土地としては珍しい、太平洋側の温かい地域でもあります。公式サイトは、この土で育てたぶどうからできるワインを「酸が強く、旨味が十分にある」と書いています。
通販のシャルドネの説明は、もう一歩踏み込んでいます。ミネラルと酸は結びつきやすいので、暑い地域でも酸が抜けず、むしろ鮮やかな酸のワインになる、という説明です。これは造り手の見立てで、畑の分析の結果が示されているわけではありません。
畑で育てているのは、シャルドネ(Chardonnay)、ピノ・ノワール(Pinot Noir)、ピノ・ブラン(Pinot Blanc)などです。ワインの一覧には、スペイン北西部の白ぶどうとして知られるアルバリーニョ(Albariño)もあります。ぶどう畑は常滑市榎戸(えのきど)にあり、春と秋にはここで感謝祭と収穫祭が開かれます。2026年11月22日の収穫祭では、伊勢湾を眺めながら、ぶどう畑でワインとバーベキューを楽しめます。
この土地らしさがいちばんはっきり出ているのが、常滑焼の素焼きの甕(かめ)で寝かせるピノ・ノワールです。ワインの世界では、こうした焼き物の容器を古代ギリシャ・ローマの壺の名からアンフォラ(amphora)と呼びます。通販の説明によれば、甕の内側は蜜蝋で覆われていて、木の樽のように少しずつ空気を通す一方、容器そのものの風味はワインに移りません。常滑の土で育ったぶどうを、常滑で焼いた甕で寝かせるので、会社はこれを「究極のオール常滑ワイン」と呼んでいます。
歩み
運営会社ブルーチップのオーナー紹介によれば、馬場憲之は長崎県佐世保市の生まれです。名古屋空港で会社を興しましたが、2001年のアメリカ同時多発テロで仕事を失い、個人のお客を相手にする商売に切り替えました。カフェやカレー店がうまくいかなかったあと、アメリカの観光農園を手本にしたいちご狩り農園が当たり、それが会社の柱になったといいます。
毎年アメリカを訪ねるうちに、オレゴン州のワイナリーに心を動かされ、農業と飲食を合わせたワイナリーとレストランを目指すようになりました。公式サイトは、温かい地域でぶどうが育つのか、資金がかかる、ワインが完成するまで最低6年はかかる、といった壁が続いたと書いています。
2018年4月、常滑にワイナリーを開きました。オーナー紹介は、醸造の免許を取るところから始めて、愛知県で3つ目のワイナリーになったとしています。同時にレストランも開き、どちらも国家戦略特区の認定を受けたと書かれています。2021年には、ワイン専門誌「ワイン王国」のブラインドテイスティングの企画で、常滑ピノ・ノワールのロゼ(2020年)が最高の5つ星を得たと、同じページにあります。その後、グループは名古屋市の中心部にも醸造所「名古屋ワイナリー」を開いています。
代表的なワイン
ワインは二つのブランドに分かれています。「ネイバーフッド」は自社の畑で育てた常滑のぶどうを品種ごとに仕込むシリーズで、「デリバリング・ハピネス」は愛知県産を中心に、ほかの土地のぶどうも使って新しい造り方を試すシリーズです。紹介ページによれば、気軽に楽しむワインを目指しているので、どのワインも熟成は3か月ほどだといいます。
常滑ピノ・ノワール アンフォラは、上で書いた常滑焼の甕で寝かせる赤ワインです。数を限って造られ、2025年は2026年5月に売り出されました。ラインナップのページは、丸みのあるまろやかな味わいと説明しています。
常滑ピノ・ノワールは、しっかりした酸とベリーの風味が特徴の赤ワインです。通販の説明では、チェリーやラズベリー、いちごのような香りにバニラやチョコレートの気配があり、ローストビーフのような軽い肉料理に合わせるよう勧めています。
常滑シャルドネは、ラインナップのページが「白ワインのフラッグシップ」と呼ぶ1本です。石灰のような土っぽさと酸が特徴で、魚料理や日本料理に合わせるよう勧められています。常滑ピノブランは、シャルドネほど酸が強くなく、青りんごや梨、グレープフルーツのような香りのまろやかな白ワインです。
調査時点(2026年10月27日)の公式オンラインショップの税込価格は、常滑ピノ・ノワール アンフォラ(2025年、750ミリリットル)が5,390円、常滑ピノ・ノワール(2024年、同)が4,290円、常滑シャルドネ(2024年、同)と常滑ピノブラン(2024年、同)が3,960円でした。ワインはレストランでも売っています。

