セイズファームとは?
セイズファーム(SAYS FARM)は、富山県氷見市(ひみし)の余川(よかわ)という山あいの地区にあるワイナリーです。富山湾を見下ろす小高い丘の斜面にぶどう畑があり、丘の上にはレストランとショップ、1日1組だけが泊まれる一棟貸しの宿があります。
母体は、氷見の老舗の魚問屋だと会社は書いています。氷見は寒ブリで知られる漁師町で、富山湾で江戸時代から続く定置網漁の発祥の地とされています。定置網漁は、回ってくる魚を網で待ち受け、入った魚の多くを逃がす漁です。会社は、とり尽くさずに次の世代へつなぐこの漁の考え方を、ぶどうの栽培とワイン造りにも受け継いでいると書いています。
ワインは、自分たちの畑で育てたぶどうだけで造っています。会社はこれを「ドメーヌとして100%自社原料のみ」と言い表し、目指すものを「北陸が生む美しいワイン造り」と書いています。
富山湾と北アルプスを望む丘
畑があるのは、標高150メートルほどの丘の斜面です。会社によれば、丘からは田園と氷見の街並み、弧を描く海岸線、富山湾が見下ろせ、水平線の向こうには3,000メートル級の北アルプスの山々が屏風のように連なります。
会社は、一本の瓶に「海から丘に吹く心地よい風」や「北陸のやさしい陽の光」、畑に降り積もる雪まで詰め込みたいと書いています。2月は、ひと月まるごと店を休みます。
最初の畑は、余川の耕作放棄地を切り開いて作ったものです。2008年の春に1本目の苗を植え、いまは約7ヘクタールに、ヨーロッパ系のワイン用ぶどうが1万8,000本ほど植わっています。開いたときから除草剤を使わず、農薬も必要な分だけにとどめているといいます。余川のほかに、磯辺と十二町(じゅうにちょう)にも畑があり、十二町の畑は2019年に開いたものです。
畑には薔薇も植えてあります。2008年に最初の畑を開いたとき、ぶどうの苗と一緒に何種類かの薔薇の苗木を植えたのが始まりで、いまは敷地に80種類ほどが咲くそうです。
歩み
会社の設立は2007年7月です。公式サイトは、ここを「ひとりの男のSAY(ひとこと)から始まった」農園だと紹介しています。
苗を植えてから数年で畑を広げ、会社はワイナリーとしての創業を2011年としています。2015年3月には、ぶどう畑の中に一棟貸しの宿「STAY」を開きました。キッチンのある3LDKの平屋で、氷見の港で揚がった魚を地元の店で買って自分で料理することもできます。
丘の上のレストランは「農園から食卓へ」を掲げ、料理はシェフのおまかせのコースだけです。イタリア料理をもとに、自家菜園の野菜やハーブ、平飼いの鶏の卵、氷見漁港に揚がった魚や氷見牛を使い、ときには地元の余川でとれた米のご飯と、余川の味噌の味噌汁を出すこともあると会社は紹介しています。
2023年は記録的な猛暑と少雨で、一部の畑では実が日に焼けました。会社は暑さで熟しすぎるのを避けるため、ソーヴィニヨン・ブランやアルバリーニョ、シャルドネ、ピノ・ノワールを、それまでで最も早い時期に摘んだといいます。それでも若い畑が実をつけるようになって、収穫量は大きく増えました。2024年は元日の能登半島地震で氷見も強く揺れましたが、醸造棟や樽に被害はなく、8月27日から10月6日まで続いた収穫では、過去最大の量のぶどうが穫れました。
2026年の春には、地下にワインを10万本ほど寝かせられるセラー棟が完成しました。屋上は展望デッキになっていて、店の営業時間には誰でも上がれます。
代表的なワイン
シャルドネ(Chardonnay)は、2015年にこのワイナリーを紹介した雑誌のウェブ記事が「一番人気」と書いた白ワインです。2024年3月には、2021年のシャルドネで造った「シャルドネ 2021 スウィートライン」も売り出しました。ごくわずかに泡を含むので、会社は冷蔵庫かワインセラーで15度以下に保つよう呼びかけています。
ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)は、会社が「青さやシャープな酸味が持ち味」と書く白ぶどうです。暑かった2023年のものは、熟した柑橘の香りに、なめらかな口当たりと穏やかな酸があり、厚みのある仕上がりになったと会社は書いています。
アルバリーニョ(Albariño)は、スペイン北西部の白ぶどうです。2023年の特別な仕込みの「プライベートリザーブ アルバリーニョ」は、2025年の夏に航空会社の国際線ファーストクラスで出されました。このワインは店では売っていません。
赤ワインでは、2015年の同じ記事がメルロー(Merlot)を挙げていました。ロゼワインは2種類あり、会社は、冬の寒ブリのような脂ののった魚に、ロゼワインやシャルドネを合わせることをすすめています。
価格は、公式のオンラインストアが開けず、調査時点(2026年10月27日)には確かめられませんでした。

