奥出雲葡萄園とは?
奥出雲葡萄園(Oku-Izumo Vineyard)は、島根県雲南市(うんなんし)の木次町(きすきちょう)にあるワイナリーです。雲南市は島根県の南東部、広島県との境に接する山あいの市で、斐伊川(ひいかわ)が流れています。公式サイトは、出雲神話とともに歩んできたこの土地を「奥出雲地方」と呼んでいます。
始まりは地元の乳業会社です。酒類の卸会社モトックスの生産者紹介によれば、昭和60年代に木次乳業が山ぶどうの交配品種を育て始め、その関連会社として1990年に奥出雲葡萄園が設立されました。いまのワイナリーの看板は、その山ぶどうの血を引く「小公子(しょうこうし)」と、ヨーロッパの品種シャルドネ(Chardonnay)の二つです。
自然と共生する、山あいの畑
ワイナリーが掲げる言葉は「symbiosis(共生)」です。公式サイトは、自然と共生し、地域と共存していくことをワイン造りの考え方とし、土地の生態系を崩さないぶどう作りをすると書いています。その考えはラベルにも表されているといいます。
山あいにあるので、春先のまだ寒い時期には、ぶどうの芽が凍ってしまうことがあります。それを防ぐために、夜中の2時から火をたいて木を温めると公式サイトは書いています。「葡萄の味は葡萄にしか決められない」として、人ができるわずかなことを一生懸命に、ていねいにするという考え方です。
モトックスの紹介によれば、ワイナリーは「品種に勝る技術なし」と考え、造りたいワインから逆算して栽培するより、その土地にいちばん合う品種を見つけて素直に育てることを目指しています。1999年に、いまの「食の杜(もり)」と呼ばれる場所へ移りました。島根県の観光サイトの2018年の記事は、食の杜を、自然と食を大切にする考え方を共有する農園や店が集まる場所として紹介しています。
歩み
1990年に会社ができ、1992年からワインの醸造を始めました。創業のころは山ぶどうの交配品種のワイン造りが中心で、その後、醸造の腕を上げるためにヨーロッパの品種の栽培と醸造にも取り組むようになったと、モトックスの紹介は伝えています。
いまの生産量は、年に5万本ほどです。公式サイトは、小さなワイナリーだから1本1本に妥協せずに造れると書き、ラベル貼りも手作業で行っています。収穫には、生産者だけでなく、ワインを愛飲する人や地域の人も加わるイベントを毎年開いていて、これも「共生」の考えから来ていると説明しています。
ワイナリーの建物には、ショップと庭カフェのほか、樽の貯蔵室と地下のギャラリーがあります。庭カフェは、芝生の上でのんびりしてほしいという考えから始めたと公式サイトは書いていて、県の観光サイトによれば2017年に開きました。
代表的なワイン
小公子は、日本の山野に自生する山ぶどうをはじめ、いくつもの品種を掛け合わせて生まれたぶどうです。公式サイトはこの赤ワインを、色が深く濃く、野趣のある香りに印象に残る酸があり、渋みは控えめながら中身の詰まった味わいだと説明しています。ヨーロッパの品種にはない個性だ、とも書いています。雲南市観光協会によれば、小公子は1年間樽で熟成させて造ります。ほかに樽を使わない「UNWOODED」とスパークリングワインがあります。2025年産の小公子は予約を受け付けていて、2026年11月2日に先行予約の分が売り切れたと公式サイトが伝えています。
シャルドネは、奥出雲で世界の標準とされる品種を育てて醸造したらどうなるか、という挑戦から生まれたワインだと公式サイトは書いています。樽を使わずに造る「アンウッディッド」と、樽の中で発酵させる「樽発酵」を含めて3種類があります。ほかにソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)、メルロ(Merlot)、ピノ・グリ(Pinot Gris)も出しています。
日常向けには「杜のワイン」があり、赤ワイン・白ワイン・ロゼがそろいます。
調査時点(2026年11月3日)の公式サイトの税込価格は、小公子(750ミリリットル)が5,500円、シャルドネ アンウッディッド(同)が3,080円、シャルドネ(同)が3,520円、杜のワイン(同)が2,200円でした。
