広島三次ワイナリーとは?
広島三次ワイナリー(Hiroshima Miyoshi Winery)は、広島県北部の三次市(みよしし)にあるワイナリーです。会社は1991年に設立され、1994年に営業を始めました。中国自動車道の三次インターチェンジから車で3分ほどのところにあり、ワインの売り場のほかに、バーベキューのレストランやカフェ、土産物の売り場がひとつの敷地に集まっています。
いま、このワイナリーが看板にしているのは、三次で育ったぶどうだけでつくる「TOMOÉ(トモエ)」のシリーズです。このシリーズを育てた醸造家の太田直幸さんは、公式サイトのインタビューで、自分が来たころのことをこう振り返っています。
世間一般的に「三次のワイン」=「お土産屋さんのワイン」というイメージが根強く残っていて、このことが私のワイン魂に火を付けました。
霧の出る盆地の畑
会社は三次盆地を「広島県一のブドウ産地」と書いています。畑は、三次市内の東酒屋(ひがしさけや)、上井田(かみいだ)、畠敷(はたじき)の三つの地区にあり、標高350メートルほどの山あいを切り開いたところにあります。県内でも大きな盆地なので、昼と夜の気温の差が大きく、ぶどうはゆっくり熟して糖度が上がるとワイナリーは説明しています。
自社の畑では、シラー、メルロー、ピノ・ノワールといったヨーロッパの品種を、垣根に仕立てて育てています。契約している農家の畑では、昔ながらの棚に枝をはわせ、シャルドネや日本で生まれた黒ぶどうの小公子(しょうこうし)などを育てています。
一方で、栽培のスタッフは公式サイトで、三次はヨーロッパの品種の栽培に向いていないともいわれると書き、年々増える雨、春先の霜、そして美しいと評判の霧がぶどうの負担になると挙げています。とくに花が咲いて実がつきはじめる6月の梅雨は、病気が広がらないか毎日気にかけているそうです。そのため畑の地下にパイプを通して水を抜き、ぶどうの樹に雨がかからない覆いをかけています。2024年からは畑を広げ、ソーヴィニヨン・ブランとプティ・マンサンという白ワイン用の品種を植えはじめました。
三次の地名には、「水」と、村を意味する「すき」を合わせた「水村(みすき)」から来たという説があり、ワイナリーはそれにちなんで、スパークリングワインに「VILLAQUA(ヴィラクア)」という名前をつけています。
歩み
会社の案内によれば、2007年から自社の畑と専用の畑を確保し、ワイン専用の品種でつくるTOMOÉシリーズを始めました。醸造家のページは、シリーズが生まれたのを2008年としています。
太田さんは1969年に大阪で生まれ、1997年にニュージーランドへ渡ってぶどう畑で働きはじめました。現地のワイナリーで働きながらリンカーン大学でワインづくりを学び、2012年末に帰国して三次のワイナリーに入っています。
太田さんが最初に手をつけたのは、醸造ではなくぶどうの栽培でした。契約農家に、一本の枝からとる房の数を減らすことや、収穫を遅らせることを頼んだといいます。それまでと違うやり方に、はじめは農家から反発もあり、畑で熱い議論になったこともあったと書いています。
その成果として太田さんが挙げているのが、2015年のコンクールで「TOMOÉ マスカット・ベーリーA 木津田ヴィンヤード 2013」が受けた金賞です。ワイナリーにとって創業以来はじめての金賞でした。
代表的なワイン
TOMOÉ マスカット・ベーリーAは、日本で生まれた黒ぶどうの品種マスカット・ベーリーAの赤ワインです。色は透明感のあるルビーで、イチゴやチェリー、ラズベリーのような香りがあり、渋みはやさしく、さらさらと飲める軽い赤ワインだと説明されています。合わせる料理には、エビやアサリのアヒージョ、蒸し鶏、チーズが挙げられています。
TOMOÉ マスカット・ベーリーA 木津田ヴィンヤードは、同じ品種を木津田(きづた)という畑で育てたものです。ブラックベリーのような香りに樽の香りが重なり、果実の味が詰まったミディアムボディとされています。
TOMOÉ シャルドネ新月は、太田さんが「造り手として自信を持ってお届けする」と書く白ワインです。よく熟したシャルドネを房のまま搾り、樽で発酵させ、澱(おり)と一緒にじっくり寝かせています。色はやや緑がかった金色で、バニラの香ばしい香りに、グレープフルーツやリンゴ、アンズの香りがあり、重厚な辛口です。シリーズの赤ワインの多くはオークの樽で熟成させています。
ブレンドにも積極的で、たとえばTOMOÉ 小公子・マスカットベーリーAは、野性的な味わいの小公子だけでは癖が強すぎるため、マスカット・ベーリーAのやわらかな果実味を加えて仕上げていると醸造家のページは説明しています。
調査時点(2026年11月3日)の公式オンラインショップの税込価格は、TOMOÉ マスカット・ベーリーA(750ミリリットル)が2,090円、木津田ヴィンヤードが2,530円、メルローが3,300円、小公子・マスカットベーリーAが3,630円、シャルドネ新月が6,600円でした。

