ふくしま逢瀬ワイナリーとは?
ふくしま逢瀬(おうせ)ワイナリー(FUKUSHIMA OUSE WINERY)は、福島県郡山市の逢瀬町にあるワイナリーです。東日本大震災からの復興を後押しするために、三菱商事が設けた公益財団法人三菱商事復興支援財団が建て、2015年10月に完成しました。
財団の発表によれば、ねらいは、福島県で盛んに育てられている生で食べる果物、つまり桃や梨、りんごを使うことと、ワイン用のぶどうを育てる農家を新しく育てることの二つでした。果物を育てる人、加工する人、売る人を一続きにする「果樹農業6次産業化プロジェクト」として、郡山市と手を組んで始めたものです。
そのため、このワイナリーの棚には、ぶどうのワインと並んで、桃やりんごのお酒が並びます。ワイン用のぶどうを育てているのは、ワイナリーができた2015年に栽培を始めた郡山の農家たちです。
郡山の農家の畑から
ワイナリーは、郡山の市街から猪苗代湖(いなわしろこ)の方へ向かう道の途中にあり、郡山駅から車で30分ほどです。冬の12月から3月ごろは雪が積もり、道が凍ることもあると、ワイナリーは来訪者に注意を促しています。
ぶどうを届けているのは、「郡山地域果実醸造研究会」の農家の人たちで、ワイナリーの紹介では十数軒の名前が並びます。田村町の鈴木農園はメルロー(Merlot)とシャルドネ(Chardonnay)、三穂田町の富澤富一さんはメルローとソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)というように、郡山のあちこちで、それぞれの畑がワイン用のぶどうを育てています。ワイナリーの近くには、自社の「多田野ヴィンヤード」もあります。
醸造では、小さなタンクを使って、農家ごと、畑ごとにぶどうを分けて仕込むことがあるといいます。同じ品種でも、土地や育てた人によって違う個性を、ワインに映すためだと説明しています。運ばれてきたぶどうは、振動する選果機で葉や未熟な実を取り除いたあと、ベルトの上を流しながら一粒ずつ人の目でも確かめます。
果物のお酒の原料は、ワイナリーができたころから付き合いのある県内の果樹農家が育てています。
歩み
2015年2月、財団と郡山市は連携の協定を結びました。10月27日の完成の日の発表では、その月のうちに仕込みを始め、年が明けたら最初の出荷をする予定で、量は当面、リキュールとワインを合わせて年に1万2,000リットルほど、将来は2万5,000〜3万リットルを目指すとしています。
2024年5月、財団は醸造の施設などを郡山市に寄附することで市と協定を結び、市は運営を担う会社を募りました。選ばれたのは株式会社ISホールディングスで、2025年4月1日に施設は市のものになり、同じ日から同社が市から借りて運営しています。市の資料によれば、貸す期間は50年で、ワイナリーを続けること、農家にワイン用ぶどうの栽培の技術を教え、長い期間の栽培の契約を結ぶこと、それまでの従業員を雇い続けることが条件に入っています。
2026年4月には、醸造施設の中に空中見学通路ができました。それまでは製造の現場を見るための専用の通路がなかったといい、いまは来館者が製造室に入らずに、上から設備を見下ろせるようになっています。この通路は運営会社が整備して市に寄附したもので、7月に市から感謝状を受けています。
代表的なワイン
ワインには「Vin de Ollage(ヴァン・ド・オラージュ)」の名が付きます。ollage は、香りを意味するラテン語の oleum と、集めることを表す collage などを組み合わせた造語だと、ワイナリーは説明しています。
郡山メルロは、田村町の鈴木農園が育てたメルローだけで造る赤ワインです。2023年のものはフランスのオーク樽で9か月熟成させ、ブルーベリーやブラックチェリー、プラムの香りに、スミレやスパイス、ハーブの香りが重なるとされています。フレッシュな酸ときめ細かな渋みのある、中くらいの重さの辛口です。日本ワインコンクール2026で、ヨーロッパ系の品種の赤ワインの部門で銅賞を受けました。
郡山シャルドネ 樽熟成は、同じ鈴木農園のシャルドネで造る白ワインです。フランスのオーク樽と、アカシアの樽で熟成させています。色は明るいレモンイエローで、青りんごやカリン、金木犀を思わせる香りに、樽からのサワークリームやビスケットのような香りが重なります。しっかりした酸があり、やや辛口です。
ふくしま もも SPARKLINGは、福島県産の桃「あかつき」だけで造る甘口のスパークリングで、「ももスパ」と呼ばれています。桃を頬張ったような甘みに、きめ細かな泡が合わさるとされ、ラベルは漫才コンビ「母心」の関あつしさんが描きました。
調査時点(2026年10月27日)の公式サイトの税込価格は、郡山メルロ(2023年、750ミリリットル)が2,970円、郡山シャルドネ 樽熟成(2023年、同)が3,300円、ふくしま もも SPARKLING(375ミリリットル)が1,650円でした。

