カンティーナ・リエゾーとは?
カンティーナ・リエゾー(Cantina Riezo)は、長野県上高井郡高山村(たかやまむら)にある小さなワイナリーです。湯本康之さんと理絵さんの夫妻が、自宅のそばの畑でぶどうを育て、隣の醸造所でワインにしています。長野県の公式観光サイト「Go NAGANO」は、村にある7軒のワイナリーのうち最初の1軒として、2015年に開設されたと紹介しています。
カンティーナ(cantina)は、イタリア語でワインの醸造所や蔵を指す言葉です。グルメサイト「ヒトサラ」の記事によれば、リエゾーの名は、ワイナリーを立ち上げるまでの苦しい時期を共にした理絵さんにちなんだものです。湯本さんが目標にしたのは、イタリアで出会った、家族で営む小さなワイナリーの姿でした。
善光寺平を見下ろす西向きの斜面
畑は、標高600メートルほどの西向きの斜面にあります。眼下には長野市を中心とする盆地、善光寺平(ぜんこうじだいら)が広がり、その向こうに北信の山々と北アルプスが見えます。Go NAGANO の記事は、この斜面について、日当たりがよく、砂や小石の多い土は水はけがよく、雨が少なく、昼と夜の気温の差が大きいと書いています。ヒトサラの記事には、春や秋の冷え込む朝には眼下に雲海が広がるとあります。
高山村は志賀高原の南にある村で、松川渓谷に沿って温泉が点在し、春は古いしだれ桜やエドヒガンザクラが花を付けます。ワイナリーのお知らせによれば、村の五大桜の一つ「黒部のエドヒガンザクラ」までは、ワイナリーから歩いて8分ほどです。
Go NAGANO は、村のワイン用ぶどうの歴史を、1980年代にメルシャンの委託を受けた栽培家が竜眼(りゅうがん)を植えたところから書き起こしています。2006年に「高山村ワインぶどう研究会」ができてからは、村を挙げての取り組みになりました。2011年には、少ない量でもワインの製造免許を取れるようにする国の「ワイン特区」に認められています。カンティーナ・リエゾーは、この特区を使って生まれた村で最初のワイナリーです(ヒトサラ)。
公式サイトによれば、畑には乗用の大きな機械を入れていません。土を踏み固めないよう、乗用の草刈り機や薬剤の散布機を使わず、作業は自分の足で歩いて手で行い、除草剤や殺虫剤にも頼らないとしています。
歩み
湯本さんは新潟県妙高市の生まれです。ヒトサラの記事によれば、両親の移住をきっかけに2000年に高山村へ移り、飯綱町のワイナリー「サンクゼール」に勤めました。はじめは加工品の担当でしたが、ワイン部門に欠員が出て醸造を任されたことが、ワインに関わるきっかけになったといいます。
5年ほど勤めたあと、職場で出会った理絵さんと、トスカーナやヴェネトなどイタリアのワイン産地を半年ほど巡りました。飛び込みで訪ねたワイナリーで醸造を手伝い、家族で営む小さなワイナリーに出会っています。高山村に戻ると、りんご畑を手放す人が現れ、その畑に少しずつワイン用のぶどうを植えていきました。植え始めた年は、ヒトサラの記事が2006年、Go NAGANO の記事が2007年としていて、資料によって1年ずれています。
最初に植えたのは育てやすいシャルドネ(Chardonnay)でした。続いて、日本ではまだ栽培例の少ないイタリアの黒ぶどうバルベーラ(Barbera)を、2015年からは同じくイタリアのドルチェット(Dolcetto)を育て始めています。イタリアの品種を選んだ理由を、湯本さんは記事の中で、日本ではまず見ない品種で、自分なりの個性が出せると思うから、と話しています。
醸造所を建てる資金は、2014年のはじめに銀行で知ったクラウドファンディングで集めました。樽や圧搾機は注文してすぐ届くものではないため、資金が集まる前に思い切って発注したといいます。2015年に醸造所が完成し、自分の畑のぶどうを自分の醸造所でワインにできるようになりました。
2023年には、ワインの販売や見学に使うラウンジを新設しました(公式サイト)。いまは村内のほかの栽培者のワインの委託醸造も引き受けていて、2026年4月には、そのうち5者のワインを集めたワインフェス「Riezo itto」をワイナリーで開いています。
代表的なワイン
公式サイトによれば、醸造所の中では温度の管理も炭酸ガスの使用もせず、最後もろ過をしないで瓶に詰めています。畑で採れたぶどうをすぐに醸造所へ運ぶやり方を、イタリア語の「キロメトロ・ゼロ(Kilometro Zero=距離ゼロ)」という言葉で説明しています。
Ciao Ciao ROSSO(チャオ・チャオ・ロッソ) Merlot は、メルロ(Merlot)の赤ワインです。公式サイトの2023年の説明では、色は落ち着いたルビーで、すりつぶしたラズベリーやクランベリー、プルーン、バラの香りがあり、口当たりは柔らかく、甘酸っぱい果実味のあとに、若々しい酸と細やかなタンニン(渋み)が続きます。冷えていると若々しく、温度が上がると果実味が前に出るといいます。
Ciao Ciao BIANCO(チャオ・チャオ・ビアンコ) Barbera は、黒ぶどうのバルベーラを、果皮の色を移さずに白ワインに仕立てたものです。2023年は、色がしっかりとした麦わら色で、控えめなプラムやグレープフルーツの香りに、乳製品や酵母を思わせる香りが混じります。黒ぶどうらしいふくらみがあり、余韻には細かい苦みと伸びのある酸が残ります。
RIEZO BIANCO(リエゾー・ビアンコ) Chardonnay は、シャルドネの白ワインです。2025年は、かすかに濁りのある淡い黄色で、青梅や桃、文旦のような香りがあり、うまみのある酸と、和柑橘のような苦みが後に残ります。
2018年のヒトサラの記事には、ワインのラベルに3人の子どもを描いた絵を使っているとあります。

