あきた野ワイナリーとは?
あきた野ワイナリー(Akitano Winery)は、秋田県の内陸の北部、北秋田市の米内沢(よないざわ)にあるワイナリーです。森吉山(もりよしざん)のふもとを流れる阿仁川(あにがわ)のそばで、雑木林を抜けた先の台地にぶどう畑が広がっています。運営するのは森吉山ファーム株式会社です。秋田市の秋田キャッスルホテルは、北秋田市に初めて誕生したワイナリーと紹介しています。
栽培と醸造を担う北林丈正(きたばやし たけまさ)さんと、ガーデンと広報を受け持つ北林千代さんの、ふたりで営む小さなワイナリーです。ワイナリーは、自らの挑戦を「秋田では育たない」という常識に挑むこと、と書いています。秋田県にはまだワイナリーが少なく、ワイン専用のぶどうを育てている畑もごく限られている、という認識からです。
りんご園だった台地
畑になったのは、もとはりんご園で、そのあと耕作が放棄されていた土地です。北秋田市の記事によれば、会社は2017年からこの土地の再生に取りかかり、土を起こし、土を改良し、ぶどうの苗を植えてきました。ワイナリーのリーフレットは、この土地を冷涼で昼と夜の気温の差が大きい内陸性の気候と書き、そこで育ったぶどうはすっきりした酸と、品種ごとに違う香りを持つと説明しています。
選んだのは、秋田の気候では育てるのが難しいと言われてきた、ヨーロッパ系のワイン専用の品種です。公式サイトによれば、赤ワイン用にメルロー(Merlot)、ピノ・ノワール(Pinot Noir)、カベルネ・フラン(Cabernet Franc)など7種類、白ワイン用にシャルドネ(Chardonnay)、ピノ・グリ(Pinot Gris)、ソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)など6種類を育てています。2022年の北秋田市の記事は、白ワイン用の品種にリースリング(Riesling)も挙げています。
畑の背にそびえる森吉山は、ワインの説明の中にもたびたび出てきます。ワインリストはピノ・グリを、冬に樹氷ができる森吉山の冷たい空気と朝霧の中で育ったぶどう、と紹介し、メルローには「花の百名山」として知られる森吉山のふもとで育てた、と添えています。
敷地の中には、直径30メートルの円形のガーデンもあります。この冷涼な気候は宿根草にも向いているといい、春はスイセンやチューリップ、梅雨はアジサイ、夏はバラやユリ、秋はアスターやコスモスが咲きます。
歩み
公式サイトの年表は、2018年に耕作放棄地を引き継いでぶどう畑として開墾を始めたところから始まります。2019年の春には、ピノ・グリ、シャルドネ、ピノ・ノワール、メルロー、カベルネ・フランなど、ヨーロッパ系の品種を約2,000本植えました。
北秋田市によれば、2021年に醸造所を建て、2022年7月に果実酒の製造免許を取りました。同じ年の8月30日には竣工式が開かれ、市長のメッセージが代読されています。北林丈正さんはその場で、四季の美しい自然の中にあるぶどう畑の景色を楽しみ、テロワールを感じて、ここで造ったワインを多くの人に味わってほしい、と話しました。テロワールは、畑を取り巻く土や気候、地形など、その土地らしさの全体を指す言葉です。
それからは、ぶどうの栽培から醸造、瓶詰めまでを自分たちの敷地で行っています。収穫したぶどうは、ひと房ずつ摘んで新鮮なうちにステンレスのタンクで発酵させる、と公式サイトにあります。2025年12月には、秋田市の秋田キャッスルホテルのバーが、このワイナリーのシャルドネを出し始めました。
代表的なワイン
ピノ・グリは、やわらかな酸とミネラル感のある白ワインです。洋梨や白い花の香りにたとえられ、山の料理にも海の料理にも合わせやすいと紹介されています。
シャルドネは、熟成からくる奥行きと、凛とした酸が特徴とされる白ワインです。香りは桃や蜂蜜、レモンにたとえられています。秋田キャッスルホテルのバーが出しているのも、このワインです。
ロッソ・ディ・あきた野(Rosso di Akitano)は、メルローとカベルネ・フランを合わせた、中くらいの重さの赤ワインです。アルコールの発酵のあとに、酸をまろやかにする「マロラクティック発酵」をさせています。香りはブラックチェリーやスミレ、森の土にたとえられ、合わせる料理に比内地鶏のローストやきのこのソテーが挙がっています。
ピノ・ノワールは、寒暖差のある森吉山のふもとで育った、凛とした酸と上品な香りの赤ワインと紹介されています。野いちごやスパイス、森の土の香りがあるとされます。
ほかに、秋田県産のりんごで造るシードルもあります。
調査時点(2026年10月27日)の公式通販の税込価格は、ピノ・グリ(750ミリリットル)が2,200円、シャルドネ(同)が2,420円、ピノ・ノワール(同)が2,860円、ロッソ・ディ・あきた野(同)が3,080円、シードル(330ミリリットル)が550円でした。シャルドネとピノ・ノワールは、この日は在庫切れでした。

