Vino Storia

ワインのお話

ラツィオ

高台から見下ろした青い湖。手前に木々と家並みがあり、湖の向こうにはなだらかな山が連なる。空は青く晴れている
ブラッチャーノの町から見た、夏のブラッチャーノ湖MittesR / CC BY-SA 3.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)
ローマティレニア海1 カンネッリーノ・ディ・フラスカーティ12 チェザネーゼ・デル・ピーリオ23 フラスカーティ・スペリオーレ3
名前になっている村 地域の名前の呼称。生産規定が挙げる村をまとめた範囲のなかほど 点が重なるところは少しずらし、元の位置へ線を引いています。 地図: Istat(CC BY 4.0・加工あり)
  1. カンネッリーノ・ディ・フラスカーティ Cannellino di Frascati
  2. チェザネーゼ・デル・ピーリオ Cesanese del Piglio
  3. フラスカーティ・スペリオーレ Frascati Superiore

火山の丘と、ローマのまわりの畑

ローマ(Roma)を州都とし、ティレニア海(Tirreno)に面した州です。長い海岸線と丘、アペニン山脈(Appennino)の山々があります。ボルセーナ(Bolsena)やブラッチャーノ(Bracciano)は火山でできた湖で、ローマのすぐ南東にはコッリ・アルバーニ(Colli Albani)と呼ばれる火山の丘があります。ローマDOCの決まりは、よそから来た人が市民の権利を得るには、市内の家と、町から3マイル以内のぶどう畑が要ったという昔の規則を引いています。

コッリ・アルバーニの斜面は、カステッリ・ロマーニ(Castelli Romani)と呼ばれる古い町々の土地です。フラスカーティ・スペリオーレの決まりによれば、ここにはかつて高さ2,000メートルを超える火山があり、噴火は2万5,000年ほど前までつづきました。アルバーノ湖とネーミ湖は、新しい火口に水がたまった湖です。畑は火山灰の積もった斜面にあり、西から北西を向いています。州の東寄りのフロジノーネ(Frosinone)県では、エルニチ山地(Monti Ernici)の斜面の、鉄分などで赤く色づいた土でぶどうが育ちます。

白ワインのフラスカーティと、赤ワインのチェザネーゼ

カステッリ・ロマーニの町の名を持つ白ワインが、フラスカーティ(Frascati)です。フラスカーティ・スペリオーレ(Frascati Superiore)の決まりは、白ぶどうのマルヴァジア(Malvasia)の仲間を7割以上使うよう求めています。甘口ワインのカンネッリーノ・ディ・フラスカーティ(Cannellino di Frascati)の決まりの文書は、ぶどうを木の上でしおれかけるまで置き、ローマの酒場の主人たちが求める甘いワインをつくっていたという古い記録を引いています。フロジノーネの丘では、黒ぶどうのチェザネーゼ(Cesanese)から赤ワインのチェザネーゼ・デル・ピーリオ(Cesanese del Piglio)がつくられます。

産地や品種、造り方の条件を満たしたワインだけが名乗れる名前を「原産地呼称」といい、そのうち条件のより厳しい区分をDOCGと呼びます。農業省の2026年3月の一覧では、ラツィオ州のDOCGは3つです。DOCは州の中だけのものが26あり、ウンブリア州にまたがるオルヴィエート(Orvieto)を加えると27になります。産地をゆるやかに示す区分(IGT)は、2026年5月の省の一覧で6つです。

穏やかな海辺と、あとから広がった州の名

百科事典のトレッカーニによれば、気候は地中海性です。海沿いは穏やかで、雨は秋と春に降ります。内陸の山は寒暖の差が大きく、雨も多く、冬には雪になります。ブラッチャーノ湖のトレヴィニャーノ(Trevignano)の盆地やフォンディ(Fondi)の平野には、柑橘の育つ「気候の島」があります。

ラツィオの名は、古代にはテヴェレ川(Tevere)からコッリ・アルバーニまでの限られた土地を指し、ローマの征服とともに広がりましたが、中世には使われなくなりました。教皇の支配が終わった1870年に、この名は教皇領のうち残っていた土地の全体へ広げられました。チェルヴェーテリ(Cerveteri)とタルクイーニア(Tarquinia)には、世界遺産のエトルリア人の墓地が残ります。