大池ワイナリーとは?
大池ワイナリー(Oike Winery)は、長野県の山形村(やまがたむら)にある小さなワイナリーです。松本市の南西にある村で、ワイナリーは自分たちのワインを、村の暮らしの時間に育てられた「ガレージワイン」と呼んでいます。公式サイトでは「大池ワイン」とも名乗っています。
始まりは、ひとつのぶどう畑を引き受けたことでした。2011年、前のオーナーのもとに、伯父から「山葡萄園を引き受けてくれないか」と話が来ます。宮田村から譲られたヤマ・ソービニオンの畑でした。前のオーナーはそのとき、こう答えたといいます。
教わりながらやるのならいいですよ
公式サイトはこれを「安請け合い」と書き、そこからワインづくりの物語が始まったとしています。
鉢盛山のふもとの扇状地
山形村は長野県のほぼ真ん中、松本盆地の南西にあります。公式サイトによれば、村の西側は鉢盛山(はちもりやま)のふもとの山地と集落で、東側には肥えた扇状地がなだらかに広がっています。標高はおよそ700メートルの高原です。
気候についても、公式サイトは具体的に書いています。年間の降水量は1,600ミリほど、平均気温は11度ほどで、冬は零下15度まで下がり、夏は35度まで上がります。1日の中でも朝と昼の温度差が大きく、日照時間は年に2,000時間前後あります。土は火山灰の土が基本で、水はけがよいといいます。
自社の畑は村内のいくつかの地区に分かれていて、標高はどれも700メートル前後です。中大池(なかおおいけ)地区ではシャルドネ(Chardonnay)とソーヴィニヨン・ブラン(Sauvignon Blanc)を、東原地区ではヤマ・ソービニオンを、小坂地区ではメルロ(Merlot)を育てています。りんごの畑もあります。2025年10月には、松本平を見渡す西側の山の斜面の畑で、ピノ・ノワール(Pinot Noir)を収穫しました。前の年は10キロほどしか穫れなかったところ、この年は100キロほど穫れそうだと書いています。
村の特産は長芋やそば、長ねぎ、りんごです。ワイナリーは、地元で穫れる素材をそのままおいしくいただくのが「山形村流」だと書いています。
歩み
引き受けたヤマ・ソービニオンからワインを造りたいと考え、2014年に「信州山形ワイン特区」の認定を受け、翌年に大池ワイナリーが生まれました。ワイン特区は、地域の果物でつくるワインについて、醸造の免許に必要な年間の製造量の基準を下げる国の特例です。
2023年2月、ワイナリーは醸造を担当していた小林和俊(こばやし かずとし)に引き継がれました。小林は、学校を出てからワインの醸造とぶどうの栽培に12年間たずさわってきた人で、そのあいだにシードルの醸造にも興味を持ったといいます。公式サイトでは、畑の作業に力を入れ、体験型のワイナリーとして訪れる人と一緒にワインをつくりたいと書いています。
その言葉どおり、ワイナリーは剪定や収穫、醸造を手伝う仲間を「カマラード(Camarade)」と呼んで募っています。2025年には「ワイナリーで学ぶワイン講座」を開いて、参加者が醸造施設を見て、ソーヴィニヨン・ブランを収穫しました。村の小学4年生の収穫体験も受け入れています。
代表的なワイン
ヤマ・ソービニオン スパークリングは、ワイナリーの始まりの品種でつくる泡のワインです。ヤマ・ソービニオン(ヤマ・ソーヴィニヨンとも書く)は、山梨大学で生まれた赤ワイン用のぶどうで、日本の山ぶどうとカベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)を掛け合わせたものです。一度赤ワインに仕上げてから瓶の中でもう一度発酵させていて、ワイナリーはイタリアの微発泡の赤ワイン、ランブルスコ(Lambrusco)のようなやさしい泡だと説明しています。グラスに注ぐと色は赤紫で、ぶどうの粒をそのまま食べたような果実味があり、辛口に仕上げています。
ソーヴィニヨン・ブランは、草のような緑の香りがあり、時間をおくとパッションフルーツのような南国の果物の香りが出てくる白ワインです。後味に少し苦みがあり、それが全体を引き締めているとされています。魚の塩焼きや生牡蠣、とんかつや天ぷらに合わせることを勧めています。
村民ワインの赤ワインは、メルロを主体に、ワイナリーの始まりの品種であるヤマブドウを少しだけ合わせています。色は落ち着いたガーネットで、口当たりは軽くすっきりしているとされています。醤油を使った料理のほか、山形村の名産の長芋を使った田楽や鉄板焼きにも合うとワイナリーは書いています。
調査時点(2026年11月3日)の公式オンラインショップの価格(税込、750ミリリットル)は、ヤマ・ソービニオン スパークリング2024とソーヴィニヨン・ブラン2025が3,630円、村民ワインの赤ワインが2,200円でした。
