uniとは?
uni(ウニ)は、兵庫県加西市(かさいし)にあるワイナリーです。ぶどう農家の福永淳平さんが営む Botanical Life(ボタニカルライフ)の醸造所で、2021年に完成しました。名前は、醸造所のある「宇仁(うに)」という地区の名からとったと、オランダの輸入元が紹介しています。
福永さんのワインは、ぶどう以外のものをほとんど足しません。公式サイトによれば、発酵は基本的にぶどうについている野生の酵母にまかせ、糖や酸を加えず、ろ過もせず、瓶に詰めるまで酸化防止剤の亜硫酸を使いません。房はすべて手で選り分け、軸を外すときも機械にかけず、自作の網でやさしく外します。果汁を動かすときはポンプを使わず、すべて高低差で流しています。それでも会社は「ナチュラルワインを造ることが目的ではありません」と書き、土地とぶどうの1年を化粧せずに表すための手段だと説明しています。
播州の古い棚から
加西市は、兵庫県の南部に広がる播州(ばんしゅう)の内陸にある町です。神戸新聞の2022年の記事によれば、市内では1955年からマスカット・ベーリーA(Muscat Bailey A)が育てられ、種を抜いて粒を大きくした「種なしベリーA」は、1973年ごろ全国に知られるようになりました。いまは「加西ゴールデンベリーA」の名で、生で食べるぶどうとして出荷されています。
福永さんのワイン造りも、この町のベーリーAから始まりました。最初の年に借りた畑は、樹齢40〜50年のベーリーAの棚で、木も棚も手入れされずに荒れていたといいます。収穫のとき、房の3分の1は色づかない未熟な実でした。福永さんは商品の説明に、そのときのことをこう書いています。
本来なら捨てられるようなぶどうたち。木が枯れかけていて最後に精一杯実らせようとしているのか、栽培も醸造も未熟な自分はどうしても捨てられず一緒にワイナリーまで運びました。
できたワインは、ロゼのような色の薄い赤ワインでした。1年半ほど瓶で寝かせると、ミントのような香りがなじんでうまみに変わり、「力強さや分厚さはないけども、優しくスルスルと飲める薄旨なワイン」になったと説明されています。
畑には3年目から肥料も農薬も使わず、有機栽培で認められているボルドー液も撒かなくなりました。コガネムシやカラス、台風に悩まされた年が、商品の説明に一年ずつ書き残されています。輸入元の紹介では、のちに借りていた畑を返し、淡路島を望む場所に1.2ヘクタールの畑を新しく拓いたとされます。土は鉄分を多く含む粘土で、ベーリーAのほかにムールヴェードル、サペラヴィ、甲州、アルバリーニョなどを植えているといいます。
歩み
輸入元の紹介によれば、福永さんは姫路の生まれです。20代は工場で働きながら趣味でDJをしていて、西宮のパン屋でフランスの造り手マルセル・ラピエールのワインに出会ったといいます。2020年のワインの説明には、東日本大震災と原発の事故で生き方が大きく動かされ、農業とワイン造りの世界に導かれた、と書かれています。
生食用ぶどうの農家で1年学んだあと、2014年に畑を始めました。自分の醸造所はまだ無く、ぶどうはほかのワイナリーに運んで仕込みました。滋賀のヒトミワイナリー、大阪の島之内フジマル醸造所、三重県名張市の國津果實酒醸造所と場所を変え、2020年は山梨の醸造所で仕込んでいます。この委託醸造の7年を経て、2021年に念願の醸造所が完成しました。輸入元の紹介では、建物はもとは工場で、外観はそのままに内装だけを改め、醸造室のほかにゲスト用のキッチンとダイニング、ショップを設けたといいます。
ところが、醸造所が完成したその年に、畑はほとんど壊滅しました。英文の公式記事によれば、福永さんは畑を一からつくり直しながら、農家からぶどうを買ってワインを造り続けました。2023年には、加西市やJA、商工会議所の依頼で、2022年に穫れた加西ゴールデンベリーAだけを使った赤ワイン「vin-shu no shinshu」を出しています。
2024年、仮の醸造の免許を期限のないものに切り替える時期に、それができなかったと同じ記事は書いています。福永さんはそこで、福永さん自身が8,000年のワインの歴史の源と呼ぶジョージアへ、片道の切符だけを持って渡りました。首都トビリシから車で50分ほどの、カルトリ地方の村で、土地の農家から譲られたチヌリ(Chinuri)を、クヴェヴリ(qvevri)と呼ばれる素焼きの大きな甕で仕込んでいます。日本でまた造るのか、海外に拠点を移すのかは、まだ決めていないとしています。
代表的なワイン
vin-shu(ヴァンシュウ)は、自社の畑のベーリーAで造ってきた赤ワインです。名前の「vin」はフランス語のワインに、播州の「播」の響きを重ね、「shu」には「集」「酒」「州」を込めたと輸入元は紹介しています。2015年からは、房をつぶさずに丸ごとタンクに入れて発酵させる、フランスのボージョレ地方の造り方(マセラシオン・カルボニック)で仕込みました。2018年のものは、開けたてにイチゴの華やかな香りがあり、2〜3日たつとザクロやクランベリー、柑橘の皮のほろ苦さに落ち着くと説明されています。
vin-shu plusは、買ったぶどうで造るシリーズです。2024年の「rouge 1 detour」は、加西市と加古川市のベーリーAを使った軽やかな赤ワインで、明るいルビー色に、いちごやラズベリー、スミレの花、紅茶のような香りがあるとされます。「amber detour」は山形県のデラウェアを皮ごと漬け込んだ琥珀色のワインです。
Jumberi Wines(ジュンベリ・ワインズ)は、ジョージアで仕込むワインです。最初に手伝ったワイナリーの主から、福永さんの日本の名をもとに「ジュンベリ」と呼ばれたことが名の由来だといいます。2024年のチヌリは、皮を漬け込む期間を2週間と5か月に分けた2種類で、2週間のものは桃や青りんご、マルメロの香りにさわやかな酸、5か月のものは琥珀色で、ドライフルーツや蜂蜜の香りにやわらかな渋みがあると説明されています。
調査時点(2026年10月27日)の公式オンラインストアの税込価格は、vin-shu plus の2024年がどちらも3,300円でした。Jumberi Wines の2025年は、2本組の8,800円からの予約販売でした。
