たてしなップルワイナリーとは?
たてしなップルワイナリーは、長野県北佐久郡立科町(たてしなまち)にあるワイナリーです。町のりんごでジュースやお菓子をつくってきた有限会社たてしなップルが、シードル(りんごからつくる発泡性のお酒)を自分たちで造るために立ち上げました。会社によれば、立科町で初めてのワイナリーです。
いまも中心にあるのはシードルで、そこに長野県産のぶどうでつくるワインが少しずつ加わっています。
会社の代表挨拶は、たてしなップルを「小さなりんご農家」から始まった会社と紹介しています。立科町のりんごがおいしく食べられるのは一年のうち数か月しかないので、一年を通して町のりんごに親しんでもらえるものをつくりたかった、というのが出発点だったそうです。
蓼科山のふもとの、りんごの町
立科町は、蓼科山(たてしなやま)のふもとにある町です。会社はこの土地の風土を、蓼科山から流れる清らかな水、晴れの日の多さ、昼と夜の気温の差の大きさ、粘土質の土で説明し、そこで育ったりんごが贈答品として長く好まれてきたと書いています。
ショップとカフェを兼ねた「カフェ&ワイナリー たてしなップル」は、町の茂田井(もたい)地区、国道142号の沿いにあり、大きなりんごのオブジェが目印です。会社は、女神湖などの高原の湖へ向かう途中に立ち寄れる店として案内していて、立科町産のりんごをたっぷり使い、国産のバターと小麦で焼いたアップルパイやアップルクグロフ、地元の野菜をのせたガレットを出しています。
醸造所は別の場所、牛鹿(うしろく)地区にあります。会社によれば、自分たちが育てるりんご畑やぶどう畑の中に建っていて、いまはワイナリーの施設だけを動かしているそうです。
歩み
有限会社たてしなップルの設立は2004年3月25日です。最初の商品は、りんごを丸ごとすりおろして果肉を残したジュースで、会社によれば都内の有名店でも出されるようになりました。続いて、近くの古屋酒造店に醸造を頼み、シードルと、りんごからつくるアップルワインを出しました。会社は、当時はまだシードルが珍しかったと振り返っています。国道沿いには、商品を知ってもらうためのアンテナハウスも開きました。
生産を広げて立科町のりんごをもっと多くの人に知ってもらおうと、2017年4月に「たてしなップルワイナリー」を設立しました。2019年2月に製造免許を取り、3月から自分たちの醸造所で本格的に造りはじめて、同じ年の10月末に最初のシードルを出荷しています。
醸造の責任者は井上雅夫(いのうえ まさお)です。会社の紹介によれば、カリフォルニアのワイナリーで20年ほど醸造と運営に携わり、醸造責任者として造ったワインが国際的なコンクールの赤ワイン部門で最高賞を受けたといいます。帰国後は国内のいくつかのワイナリーで醸造を手がけ、日本ソムリエ協会の認定ソムリエでもあります。会社は、古屋酒造店の製法に井上の経験が重なって、新しい味わいのシードルになったと書いています。委託で造る従来のシードルも売り続けているので、二つを飲み比べることもできます。
ぶどうのワインは2020年に初めて仕込みました。代表挨拶は、立科町の中でもワイン用のぶどうを育てる人が増えていて、そうした人たちと一緒に醸造をして町を盛り上げたいと結んでいます。
代表的なワイン
シードル フェルミエは、ワイナリーが看板に据えるシードルです。立科町産のサンふじを使い、「メトード・アンセストラル(méthode ancestrale)」と呼ばれる昔ながらの造り方で、1本ずつ瓶の中に泡を生ませています。酸化防止剤の亜硫酸塩は加えていません。会社は、完熟したりんごのアップルパイのような香ばしさと、きめの細かい泡があり、辛口すぎず甘口すぎない味わいと説明しています。アルコール度数は9度です。長野県原産地呼称管理制度の認定を受け、2026年のJAPAN CIDER CUPで金賞を受けたと、オンラインショップの説明にあります。
シードル スペシャリテは、自社農園のサンふじだけを使い、瓶の中で発酵させて造るシードルです。補酸も亜硫酸塩の添加もしていません。辛口のブリュットと、ほのかに甘いデミセックがあります。
ぶどうのワインは、漢字一文字の名前でそろえています。蓼(Ryou)は長野県産のぶどうでつくる赤ワインのシリーズで、2021年はメルロー(Merlot)です。オンラインショップの説明によれば、バラの花束のような香りのあとに、ラズベリーやさくらんぼの甘酸っぱい香りが広がり、なめらかな口当たりに、かすかな渋みと樽で寝かせた旨みが重なります。説明には、地理的表示「長野」(GI長野)の記載もあります。
峰(Mine)は、長野県産のぶどうでつくる白ワインのシリーズです。最初の2020年は、売り出す前の申し込みでほとんど売り切れたと会社は書いています。調査時点のオンラインショップには、樽で熟成させたシャルドネ(Chardonnay)の2022年が並んでいました。
橙(Tou)はオレンジワインです。白ぶどうのシャルドネを皮や種と一緒に発酵させ、オレンジ色に仕上げています。2023年が最初の年で、泡のないものとスパークリングの2種類があります。オンラインショップの説明は、クロワッサンやほうじ茶のような香ばしさと、きれいな出汁のような旨みがあるとしています。
調査時点(2026年10月27日)の公式オンラインショップの税込価格は、シードル フェルミエ(750ミリリットル)が2,860円、橙 オレンジ(2023年、750ミリリットル)が2,970円、蓼 メルロ(2021年、同)が3,520円でした。峰 樽リッチシャルドネ(2022年、3,520円)と橙 オレンジスパーク(2023年、3,190円)は売り切れていました。
