サンマモルワイナリー 第2工場とは?
サンマモルワイナリー(Sun Mamoru Winery)は、本社と第1工場を青森県むつ市川内町、下北半島に置くワイナリーです。その第2工場が、津軽地方の大鰐町(おおわにまち)にあります。阿闍羅山(あじゃらさん)の中腹に建つ青森ワイナリーホテルの地下で、ホテルの公式サイトによれば標高は550メートルです。
第2工場で造っているのは、津軽地方のスチューベン(Steuben)と、青森県産のりんごを使ったワインです。スチューベンは青森県の特産の黒ぶどうで、会社は青森県をスチューベンの生産量が全国一の県と紹介しています。このぶどうのワインを、会社は「津軽ワイン」のシリーズとして出しています。
この黒ぶどうでワインを造ると決めたとき、地元のぶどうの組合からは止められたと、会社は書いています。以前にスチューベンのワインに挑んだ会社がうまくいかず、津軽では「スチューベンのワインは美味しくない」というレッテルが貼られていたからです。
阿闍羅山の中腹、ホテルの地下の醸造所
青森ワイナリーホテルは、大鰐温泉の町の背にそびえる阿闍羅山の山腹に建っています。山頂には青森ロイヤルゴルフクラブがあり、冬は大鰐スキー場として知られる山です。ホテルの案内によれば、夜は星空と津軽平野の夜景が見え、7月と8月の早朝には、条件がそろうと眼下に雲海が広がります。ふもとの大鰐温泉は、弘前藩の藩主にも好まれた温泉で、江戸時代の温泉の番付「諸国温泉効能鑑」にも載っていると、ホテルは紹介しています。
醸造所は、このホテルの地下に組み込まれています。ぶどうやりんごを搾る圧搾機と、5,000リットル入りの発酵タンクが24基あり、1基のタンクから7,000本近いワインができるといいます。客が歩く通路とのあいだはガラスで仕切られていて、通路に貼られたパネルでワインの特徴を読みながら、タンクの並ぶ工場を見下ろせます。ホテルは自らを、ワイナリーを併設した全国でも珍しいホテルと書いています。
ホテルのワインの説明は、「食事に合うこと」を意識して造っている、という一点に絞られています。地元の食材を使ったホテルの料理と合わせることを前提に、大鰐町と津軽地区の青森県産のぶどうとりんごで造っている、という説明です。
歩み
サンマモルワイナリーの始まりは、下北半島です。会社によれば、1998年に下北半島でピノ・ノワール(Pinot Noir)を植え、10年ほどで商売になる量が穫れるようになりました。2016年には、ピノ・ノワールで造った「下北ワイン Ryo Classic 2014」が日本ワインコンクールで金賞を受け、会社はこれを同コンクールで初めてのピノ・ノワールの金賞としています。いまの畑は下北連山のすそに12.3ヘクタールあり、2025年6月には創業23周年の感謝祭を開いています。
ただ、会社の記事によれば、自社の畑だけでは計画どおりのぶどうが穫れませんでした。10ヘクタールの畑から100トンを収穫して10万本を造るつもりが、実際の収穫はその3分の1ほどだったといいます。社長の北村は青森県農林水産政策課に相談し、県の特産のスチューベンの育て方を学んではどうかと助言を受けます。紹介された青森県葡萄貯蔵組合を訪ねると、ちょうど実ったスチューベンがあり、これでワインを造れないかと思いついた、と会社は書いています。
組合の幹部の答えは「スチューベンでワインを作るのは止めた方が良い」でした。北村はそれでも、スチューベンのワインで経営を立て直すと決めます。まず「まずい」という印象を覆すため、スチューベンを冷凍庫で凍らせ、人工的にアイスワインのような極甘口のロゼワインを造りました。これが国産ワインのコンクールで銅賞を受け、報道に取り上げられて売り切れたといいます。
そのあと造り始めたもののひとつが、黒ぶどうのスチューベンから造る白ワインです。会社の記事は、スチューベンのワインを主に造っているのが大鰐町の第2工場だと書いています。2024年秋の新酒「青森ヌーヴォー」の瓶詰めの知らせでも、第1工場と第2工場の名前が並んでいます。
代表的なワイン
津軽ワイン ホワイトスチューベンは、青森県産のスチューベンだけで造る辛口の白ワインです。黒ぶどうの皮の色がわずかに移り、色は淡いオレンジ色になります。花の蜜を思わせる甘い香りがあり、飲み口はすっきりと軽く、柑橘の皮のようなほろ苦さが後に残ると説明されています。アルコール度数は11.5%です。会社によれば、水産業の盛んな青森で、ホタテや白身魚と合わせても魚の臭みを強めないワインとして評判を呼びました。
津軽ワイン ホワイトスチューベン クラシックは、その一段上に置かれた白ワインです。発酵のあとに沈んだ酵母(おり)とワインをしばらく一緒に置く「シュール・リー(sur lie)」という造り方で、うまみとコクを足しています。香りはアプリコットやプラムにたとえられ、色は淡いピンクベージュで、熟成が進むと淡いオレンジに変わるといいます。
津軽ワイン レッドスチューベンは、同じぶどうで造る赤ワインです。会社の発表では、サクラアワード2026で「RED STUBEN 2023」がゴールドを受けています。
甘口では、甘酸っぱさと白い花のような香りを持つ「ホワイトスチューベン SWEET」があります。第2工場はりんごのワインも造っていて、会社は2017年から毎年、三戸町(さんのへまち)の梅内りんご組合から紅玉を仕入れています。
調査時点(2026年10月27日)の公式通販の税込価格は、ホワイトスチューベン(2024年、720ミリリットル)が1,780円、ホワイトスチューベン クラシック(2025年、同)が2,180円でした。

