天橋立ワイナリーとは?
天橋立ワイナリー(Amanohashidate Winery)は、京都府宮津市の国分(こくぶ)にあるワイナリーです。日本三景の天橋立と、その内側の海「阿蘇海(あそかい)」に面していて、公式サイトはワイナリーを、二つが織りなす景色の中に建つ「シャトー」と紹介しています。運営は天橋立ワイン株式会社で、天橋立の文珠にある老舗の旅館「千歳」と同じグループです。
会社が掲げているのは、丹後で育てたぶどうへのこだわりです。ワインを造る前にまず畑から始め、1991年に有限会社たんごワイナリーを立ち上げて、ワイン用のぶどうを植えました。公式サイトの年表には「ワインづくりは農業なり」という見出しが付いています。

牡蠣殻をまいた海辺の畑
ワイナリーの畑には、阿蘇海から回収した牡蠣(かき)の殻が敷きつめられています。公式サイトによれば、一斉の回収作業のほか、スタッフが一年を通して集めていて、処理する量は年に90トンほどになります。土を良くするのに使うだけでなく、海の景観をきれいにし、貝の漁場を整え、船の通り道を確保することにもつながる、と会社は説明しています。海から出たものを畑に戻すこのやり方を、サイトは「当地ならではの資源の再利用」と呼んでいます。
畑には、ヨーロッパの品種と、病気に強いように交配された品種が並んでいます。いくつものワインに使われているのが、ジョージア東部のカヘティ地方が原産の黒ぶどう、サペラヴィ(Saperavi)です。白ぶどうでは、セイベル9110(Seibel 9110、別名ヴェルデレー Verdelet)を多く使っています。フランスのアルベール・セイベルが、ヨーロッパのぶどうとアメリカの野生のぶどうを掛け合わせて生み出した系統の品種で、公式サイトは、柑橘系の香りのすっきりした白ワインになると説明しています。ほかにシャルドネ(Chardonnay)、ピノ・ブラン(Pinot Blanc)、ドイツ生まれの黒ぶどうレゲント(Regent)、ピノ・ノワール(Pinot Noir)なども植えています。
ワインは加熱して殺菌することをせず、「生」のまま熟成させる造り方をとっていると会社は書いています。
歩み
代表の山﨑浩孝(やまさき ひろたか)は、1960年に宮津市で生まれました。大阪の大学を出たあと、北海道ワイン株式会社で10年働き、1995年に故郷へ戻っています。妻の実家である旅館「千歳」の経営を引き継ぎ、ワインの輸入や卸も手がけるグループの代表を務めています。
ワイン造りは、まず人に頼むところから始まりました。年表によれば、1998年に丹後のぶどうを使った最初のワイン「たんごわいん」が北海道ワインへの委託醸造で完成し、1999年に天橋立ワイン株式会社を設立して、丹後のぶどうを100%使った「天橋立ワイン」を出しています。
2001年に自前のワイナリーが完成しました。ドイツ人のケラーマイスター(醸造責任者)、グスタフ・グリュンの指導を受けて醸造を始め、セイベル9110の白ワイン「こだま」や、セイベル13053の赤ワイン「茜(あかね)」を造りました。2006年にはワイナリーを広げて1階をワインショップにし、地下に2,000本ほどを寝かせられるワインセラーを設けています。2012年には農産物の直売所と、ビュッフェのレストランを開きました。
ドイツの影響は、いまもワイナリーで飲める一杯に残っています。「フェーダーロータ」は、発酵が始まって数日しかたっていない赤ワインで、ドイツ語で「赤い羽根」を意味すると会社は説明しています。アルコールはごく低く、ぶどうの甘みと酸味に、発酵で生まれる細かい泡があり、常温で数日置くと辛口に変わります。醸造長が毎朝仕込み、醸造所でしか出していません。
代表的なワイン
茜は、京都産のサペラヴィを12か月、樽で熟成させた辛口の赤ワインです。きれいな酸と豊かな香りがあり、重さは中くらいのミディアムボディです。ワイナリーを始めたころはセイベル13053で造っていましたが、いまの商品紹介ではサペラヴィだけを使っています。
こだま 樽熟成は、京都産のヴェルデレーを主体に、シャルドネやピノ・ブランなどを合わせた辛口の白ワインです。搾った果汁の上澄みだけをステンレスのタンクで発酵させ、さらに上澄みだけを樽に移して12か月ほど熟成させます。柑橘系のさわやかな香りと酸に、樽からのバニラやナッツのような風味が加わり、ほろ苦い余韻が残るとされています。
ナイヤガラは、生で食べるぶどうのナイアガラ(Niagara)で造る甘口の白ワインです。南国の果物のような香りと、さっぱりした甘さがあります。ワイナリーで売っている白ワインのソフトクリームにも、このワインが使われています。
ふだんの食卓向けには、セイベルやサペラヴィ、マスカット・ベーリーA、ヤマ・ソーヴィニヨンを合わせた軽い辛口の赤ワインもあります。商品名は「とよさか」で、同じ名前の辛口と甘口の白ワインも出しています。
公式サイトの商品紹介に載っている税込価格は、茜(720ミリリットル)が3,080円、こだま 樽熟成(750ミリリットル)が3,300円、ナイヤガラ(720ミリリットル)が1,650円でした。2026年10月27日に確認したもので、紹介されているのは2021〜2022年産の版です。

