横濱ワイナリーとは?
横濱ワイナリー(Yokohama Winery)は、横浜市中区の新山下(しんやました)にある小さな醸造所です。みなとみらい線の元町・中華街駅から歩いて3分ほど、山下埠頭のたもとにあり、会社は自らを「日本で一番小さな、一番海に近いワイナリー」と紹介しています。2017年11月に果実酒をつくる免許を取って、醸造を始めました。
ここでつくるワインは「ハマワイン(hama wine)」と呼ばれています。日本で育ったぶどうだけを使い、ぶどうに付いている自然の酵母で発酵させ、糖を足さず、フィルターを通さず、酸化防止剤もできるだけ抑えるのが造りの方針です。
代表の言葉として公式サイトに載っている文章は、なぜこの場所でワイナリーをつくったのか、という問いにこう答えています。
「食のものづくりを体験する場を作りたかった」から。
海のそばの醸造所と、安曇野の畑
醸造所は港のそばにありますが、ぶどうの多くは遠くの畑から届きます。いちばん縁が深いのは、長野県安曇野市明科(あかしな)の畑です。商品ページによれば、育てているのは横浜から移り住んだ鈴木さん夫妻で、横濱ワイナリーと安曇野との出会いはそのシャルドネからだったといいます。鈴木さん夫妻の畑からはカベルネ・フラン(Cabernet Franc)も届き、同じ明科からはピノ・ノワール(Pinot Noir)やカベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)も仕入れています。
収穫には、毎年ワイナリーの仲間が出かけます。山形県高畠町のデラウェア(Delaware)も、2025年に皆で一房ずつはさみで切って収穫したと商品ページにあります。2026年10月18日には、収穫のために長野へ出かけるので店を一日休む、というお知らせが出ていました。ほかにも、岩手県九戸村のヤマブドウ、長野県塩尻市のナイアガラ、青森県鶴田町のスチューベン、岡山県井原市のマスカット・ベーリーAなど、産地は各地に散らばっています。
2020年の春からは、横浜の中でも自分たちでぶどうを育てています。シャルドネとピノ・ノワールが中心で、会社は有機JASの認証を取った畑で、化学肥料や化学農薬を使わずに育てているとしています。2026年1月の公式ブログには、苗はわずか400本ほどで、一本ずつ様子を見ながら時間をかけて剪定していると書かれています。代表の文章は、横浜を「決してブドウ栽培に適した土地とはいえない」と認めたうえで、2024年からこの畑のぶどうで初めての「横浜ワイン」が生まれたと伝えています。
畑の手入れには、年会費を払って加わる「横濱ヴィンヤードオーナー」の人たちも参加しています。苗や畑の手入れ、収穫、栽培の勉強会に加わり、ほかの県の畑の収穫にも出かけます。
歩み
会社案内によれば、横濱ワイナリーは2016年9月に、果実酒をつくるための合同会社として生まれました。2017年11月に製造の免許を取り、仕込みを始めています。いまの社名は横濱ワイナリー株式会社で、代表取締役は山本佳子です。
代表の文章によれば、補糖をしない、ろ過をしない、という方針は創業のときからのものです。創業から3年ぶんの経験が積み重なった2020年の仕込みから、酸化防止剤を使わないワインづくりにも取り組み始めました。同じ2020年の春には、横浜でのぶどう畑も始めています。
会社は「ブドウの声を聴く」を理念に掲げ、ワインづくりの主役はあくまでぶどうだと書いています。醸造の作業の一部を客に開き、自分の手で作業してもらう場にしていることも、代表の文章にあります。
代表的なワイン
ワインの名前の多くには、「港街の仮面舞踏会」「海と山のコンチェルト」のような音楽にちなんだ題が付き、そのあとに品種名が添えられています。
海と山のコンチェルト(シャルドネ)は、安曇野の鈴木さん夫妻のシャルドネを、酸化防止剤を加えずに自然の酵母で発酵させた白ワインです。洋梨や熟したりんご、はちみつのような香りに白い花の香りが重なり、柑橘のような酸のあとに、ふくよかな果実味とほのかな甘みが出てくるとされています。公式サイトはハマワインの「定番の白ワイン」と呼んでいます。
ルージュのささやき(カベルネ・フラン)は、ほかの品種と混ぜて使われることの多いカベルネ・フランだけでつくる赤ワインで、2021年から出しています。明るい紅色で、さくらんぼや木苺、すみれの花の香りがあり、軽やかな口当たりです。2023年のものは、2026年3月にフランスで開かれた女性のワイン専門家によるコンクール「フェミナリーズ世界ワインコンクール」で金賞を受けた、と会社は伝えています。
まほろばの月雫(デラウェア)は、高畠町のデラウェアでつくる辛口の白ワインで、酸化防止剤を使っていません。白い花やマスカット、柑橘のような香りに、みずみずしい酸があるとされています。同じ年のデラウェアを別の製法でオレンジワインに仕上げた「まほろばの黄昏」もあります。
葡萄色のアリア(ヤマブドウ)は、九戸村で除草剤や化学肥料を使わずに育てたヤマブドウを、自然の酵母で発酵させたあと瓶の中で20か月寝かせた赤ワインです。グラスを染めるほど色が濃く、煮詰めたブラックベリーにハーブやミントの香りが重なり、酸がはっきりしています。
調査時点(2026年10月27日)の公式通販の税込価格は、海と山のコンチェルト(2025年)、まほろばの月雫(2025年)がそれぞれ3,630円、ルージュのささやき(2023年)と葡萄色のアリア(2022年)がそれぞれ3,520円でした。
