丹波ワインとは?
丹波ワイン(Tamba Wine)は、京都府船井郡京丹波町(きょうたんばちょう)の豊田(とよた)にあるワイナリーです。京都市の北西、およそ50キロの里山にあり、1979年に会社ができました。
創業者の黒井哲夫は、照明器具メーカーの社長でした。公式サイトによれば、海外の駅のホームやカフェで気軽に飲んだワインのおいしさに驚き、日本へ持ち帰りました。ところが日本で飲むと、何かが違います。何度試しても同じでした。匂い、言葉、気候、調味料によって自然にできあがった食文化こそが大事なのだと気づいた黒井は、勤めてきた会社を辞め、私財を投じて、京都の食文化に合うワインを自分で造ろうとしたといいます。
霧の出る丹波高原の畑
ワイナリーのある豊田は、かつて豊田村と呼ばれ、「紅村(べにむら)」という別の呼び名もあったと会社は紹介しています。赤い土の色や夕日の色で、夕方には村じゅうが紅く染まったからなど、いくつかの説があるそうです。

一帯は「丹波霧」という言葉があるほど霧の多い高原です。公式サイトによれば、朝晩は濃い霧に包まれても、日中はすっきり晴れます。夏の暑い日には最高気温が35度ほどまで上がりますが、日が沈むと25度まで下がり、熱帯夜は年に1、2日しかありません。この昼と夜の温度の差が、ぶどうの糖度を上げるのに役立つといわれています。
畑は鳥居野(とりいの)、向上野(むこうじょうの)、千原(ちはら)、平林(ひらばやし)の4か所に分かれています。京丹波町は昔から黒豆の栽培が盛んな土地で、向上野と平林は黒ボク土(火山灰に由来する黒い土)、鳥居野と千原は褐色森林土です。会社は品種ごとに畑を選んでいて、なだらかな稜線の平林にはカベルネ・ソーヴィニヨン(Cabernet Sauvignon)やメルロー、ピノ・ノワール(Pinot Noir)などの黒ぶどうを、ワイナリーに隣り合う鳥居野にはピノ・ブラン(Pinot Blanc)と遅摘みのセミヨンを、千原にはタナ(Tannat)を植えています。
木はすべて垣根に仕立て、除草剤は使わず草を生やしたままにしています。刈った草や、搾ったあとの皮や種は、土に返して肥料にしています。収穫は8月中旬から10月下旬まで、すべて手で摘みます。西日本は台風の通り道でもあるため、台風の前にはスタッフ全員で摘み取ることもあるそうです。
歩み
最初の醸造所は、日本酒の酒蔵でした。いまのワイナリーから車で10分ほどの、白い壁の酒蔵を借り、タンクなどもそのまま使ってぶどうを仕込んだと公式サイトは書いています。会社の年表では、1979年4月に会社を設立し、6月に丹波町富田の酒蔵で、試験用の免許で醸造を始めました。いまでもお客さんから「日本酒のニュアンスがある」と言われることがあり、酒蔵に長く住みついた麹や酵母が影響したのかもしれない、と会社は書いています。
設立の中心になったのは黒井と、丹波で生食用のぶどう園を営んでいた山崎高明の二人で、山梨の洋酒工場に勤めていた大川勝彦が醸造の技術者として加わりました。はじめは山崎のぶどう園のデラウェアやマスカット・ベーリーAといった生食用のぶどうで仕込みました。山崎の長男・高宏がドイツのガイゼンハイムに3年間留学したのをきっかけに、年を追ってワイン用のヨーロッパ系品種を自分たちの畑で育てるようになります。
1981年に本免許での醸造を始め、1986年に本社工場をいまの場所へ移し、1997年にワイナリーショップを開きました。1984年からは、品評会モンドセレクションで6年続けて金賞を受けたと会社は伝えています(受賞歴の一覧では「1983〜88年」と書かれています)。
育てている品種は、畑のページでは48種類、ワインリストのページでは50種にのぼるとされています。会社は「西日本最多の品種栽培ワイナリー」と名乗っていますが、ワインにまで仕上げているのは10種類ほどで、大半は土地に合うかを見きわめるための試験栽培です。苗木もすべて自社で作っています。2018年には北海道の洞爺湖のほとり、壮瞥町(そうべつちょう)にも畑を開きました。
代表的なワイン
会社は醸造の考え方を、京料理のような繊細な味わいに合わせるため、できるだけ雑味の少ないワインを造ることだと説明しています。
京都丹波 タナは、京丹波町の自社農園で育てたタナを主体に、カベルネ・ソーヴィニヨンを少し合わせ、木の樽で熟成させた赤ワインです。タナはフランス南西部で多く育てられている品種で、渋みのもとになるタンニンが強いことで知られます。商品の説明では、色は深みのある濃いダークチェリーレッドで、ブラックベリーやカシス、プラムの香りに、樽からの穏やかな香りが続き、きめの細かいタンニンと強めの酸が締まった味わいをつくるとされています。
京都ワイン ピノ・ブラン&ショイレーベは、京都産のピノ・ブランを主体に、華やかな香りのショイレーベ(Scheurebe)を合わせた白ワインです。グレープフルーツや洋梨、青りんごのような香りで、軽快な中口とされています。会社はピノ・ブランを、単体では主張しないが、和の食材と合わせると良さがわかる品種だと紹介しています。
てぐみの白ワインは、会社が「売上No.1」と呼ぶ微発泡のワインです。国産のデラウェアを主体に、酸化防止剤を加えず、酵母の力だけで泡を生み、ろ過をせずに瓶に詰めています。瓶の底にはおりがたまり、香りは甘い果実を思わせても、味は辛口とされています。
調査時点(2026年10月27日)の公式通販の税込価格は、てぐみの白ワイン(750ミリリットル)が2,090円、京都ワイン ピノ・ブラン&ショイレーベ(2024年、同)が3,300円、京都丹波 タナ(2022年、同)が5,500円でした。

