Vino Storia

ワインのお話

プーリア

波に削られた白っぽい岩のアーチと、海から立ち上がるいくつもの岩の柱。水は青緑色に澄み、岸の上には低い木が茂っている
5月のトッレ・サンタンドレア。メレンドゥーニョの海に岩の柱が立つLuangiphoto / CC BY-SA 4.0 / Wikimedia Commons(長辺1280pxに縮小)
バーリアドリア海イオニア海1 カステル・デル・モンテ・ボンビーノ・ネーロ12 カステル・デル・モンテ・ネーロ・ディ・トロイア・リゼルヴァ23 カステル・デル・モンテ・ロッソ・リゼルヴァ34 プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・ドルチェ・ナトゥラーレ4
名前になっている村 地域の名前の呼称。生産規定が挙げる村をまとめた範囲のなかほど 点が重なるところは少しずらし、元の位置へ線を引いています。 地図: Istat(CC BY 4.0・加工あり)
  1. カステル・デル・モンテ・ボンビーノ・ネーロ Castel del Monte Bombino Nero
  2. カステル・デル・モンテ・ネーロ・ディ・トロイア・リゼルヴァ Castel del Monte Nero di Troia Riserva
  3. カステル・デル・モンテ・ロッソ・リゼルヴァ Castel del Monte Rosso Riserva
  4. プリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・ドルチェ・ナトゥラーレ Primitivo di Manduria Dolce Naturale

二つの海にはさまれた、平らな土地

イタリア半島の南東の端にある州です。北西から南東へ細長くのびてアドリア海とイオニア海にはさまれ、州都はバーリ(Bari)です。百科事典のトレッカーニによれば、土地は平らか、ゆるやかに波打つところがほとんどで、北には石灰岩の台地ガルガーノ(Gargano)が海へ突き出し、その南西に広い平野のタヴォリエーレ(Tavoliere)が開けます。気候は地中海性で、夏は長く暑くて雨が少なく、冬は穏やかです。

州の中央には、石灰岩の台地ムルジェ(Murge)が横たわっています。その北西寄りにあるのがカステル・デル・モンテ(Castel del Monte)の産地で、生産規定は、多くの土が浅く、石や岩が多いと書いています。南のイオニア海側にはマンドゥーリア(Manduria)の、半島サレント(Salento)のレッチェ(Lecce)の北にはサリーチェ・サレンティーノ(Salice Salentino)の産地があります。

土地ごとの黒ぶどう

生産規定によれば、プリミティーヴォ(Primitivo)は名前が実の熟す早さを表す黒ぶどうで、18世紀の終わりにバーリ県のジョイア・デル・コッレ(Gioia del Colle)で選び出されたのが始まりです。ネグロアマーロ(Negroamaro)はサレントの第一の品種で、サリーチェ・サレンティーノの赤ワインとロゼワインに75パーセント以上使います。

産地や品種、造り方の条件を満たしたワインだけが名乗れる名前を「原産地呼称」といい、そのうち条件のより厳しい区分をDOCGと呼びます。イタリア農業省の呼称一覧(2026年3月時点)では、プーリア州のDOCGは4、DOCは28です。産地をゆるやかに示す区分(IGT)は、2026年5月の省の一覧で6つです。DOCGのうち三つはカステル・デル・モンテの名を持ち、黒ぶどうのネーロ・ディ・トロイア(Nero di Troia)を主体にする赤ワインが二つ、ボンビーノ・ネーロ(Bombino Nero)のロゼワインが一つです。残るプリミティーヴォ・ディ・マンドゥーリア・ドルチェ・ナトゥラーレ(Primitivo di Manduria Dolce Naturale)は、プリミティーヴォだけでつくる甘口の赤ワインで、ぶどうを木に付けたまま、または摘んで棚などで干すことが認められています。

名前のついた風と、海を渡ってきた人びと

生産規定によれば、アペニン山脈が西からの風をさえぎり、冬には東から冷たく湿った風が吹きます。カステル・デル・モンテのあたりでは、北からの冷たく乾いた風を「セッラティーナ(Serratina)」、南や南西からの暑く乾いた風を「ファヴォーニオ(Favonio)」と呼びます。海へ突き出したサレントは州のほかの土地より湿気が多く、夏はとくに南のほうが蒸し暑くなります。

トレッカーニによれば、紀元前8世紀の終わりにギリシャ人がターラント(Taranto)に植民市を開きました。13世紀の皇帝フェデリーコ2世(Federico II)の時代には大聖堂や城塞が建ち、八角形の城カステル・デル・モンテは1996年に世界遺産になりました。ワインの名はこの城から取られています。石を積んで円錐形の屋根をのせた家トゥルッリ(trulli)が並ぶアルベロベッロ(Alberobello)も、同じ年に登録されました。